秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

文字の大きさ
434 / 491

433.あの時とは違う、けど、やっぱり不愉快

しおりを挟む
「ようやっとお越しになられたか。
すぐに本殿の1番良い部屋にお通しせよ」

 耳打ちされたエセ教皇は、途端に顔を可輝かせた。
すぐに席を立ち、耳打ちしたエセ神官に向かって、そう指示を出す。

 もしかしてと僕が思う間もなく、彼は当然のように踵を返した。

 さっき僕のできる専属侍女、ニーアに失礼がどうとか言っていなかったかな?
イタチな他国の侯爵令嬢にならともかく、王族に当たる2人の女性に断りも入れないとか、あり得る?
そっちの方がよっぽど非常識じゃない?

「お待ちになって、教皇。
どうしたと言うの?
突然席を立つのは、それこそ、この国の妃たる私に失礼よ」

 うん、言ってる事はわかるけど、この側妃も大概だよ。

 まず彼女は妃じゃない。
その言葉を用いるなら側妃と言うべきだし、立場上は王妃に敬意を払って、まずは王妃に失礼だと主張すべきだよ。

 けれど当の王妃はただ成り行きに任せている。
というより、興味がないお顔してるよね?
普通に2つ目のサンドウィッチを頬張っている。

 昨日はもちろん、今朝もお昼も、僕がここに来て食べていたどの食事より質素だったし、量も少なかったものね。

 でも他のケーキや焼き菓子には手をつけていない。
僕が考案したそれを、特に気に入ってもらえたって事なのかな。

 そうそう、毒は気にしていないんだ。
だってここにある食べ物や飲み物は、グレインビル侯爵令嬢である僕が食べちゃう可能性しかなかったはずだもの。

 エセ教皇、側妃の前に置かれたデザートの他には、あと1人分しかなかったからね。
ちなみに今回は、従兄様おにいさまが普及させている、あのアフタヌーンティーセットだよ。
だからすぐに何人分用意されているか、わかっちゃった。

 僕と王妃のどちらがアフタヌーンティーセットの置かれた席に座っても、お互いの立場上、絶対にシェアしていたはずだ。
更にもう1つ用意させる方法もあるけれど、その場合この国の王妃と、無理を言って招いた他国の侯爵令嬢では、どちらがどちらのセットを選ぶか僕にも読めない。

「どうぞ」

 僕も王妃同様気にせずにクッキーを頬張っていれば、ニーアがお茶の入ったイタチ専用カップをそっと差し出す。

 さすがニーアだ。
いつの間にカップを用意していたんだろう。

「キュイキュイ」
「いえ」

 ありがとうって鳴いたらちゃんと通じた!
さすがニーア!

「はぁ、妃殿下。
私の口添えがあったからこそ、今の地位があるのだとまだ理解されていのか」

 とか思っていたら、何だか内輪もめしそうな雰囲気?
社会科の教科書的な宣教師顔なのに、嫌味っぽいモラハラ男に見えちゃうなんて、不思議。

「それは……しかし今の私の地位があるからこそ教皇も……」

 僕の期待に反して、結局側妃がぐっと唇を真横に引き結び、最後まで話さずにいい止めた。
もの凄く不服そうなお顔ではあるけど。

 ただ側妃と教会は、やっぱり彼女が側妃として嫁ぐ前からのお知り合いだったみたい?

 チラリと王妃を見上げて様子を窺う。

 ふむ、王妃は相変わらず無反応だ。
これは最初からこの国の王族側は、わかりきった事ってところか。

 けれどこれ以上の情報も、王妃といる間は出てこなさそうだ。
側妃はもう一言も……。

「あら、お取りのみ中だったかしら」

 突然エセ達の後ろから、僕の背にゾワリと悪寒を走らせる、あの盗人の声が降って湧く。

 相変わらず気持ち悪い。

 思わず次のマフィンに手を伸ばそうとして立ち上がったまま、動きを止めてしまう。

 でもファムント領で従兄様おにいさまにしがみついて聞いた時のような、荒れ狂う感情はもう湧かない。
その事にまずはほっとする。

 きっとあの直後時、色々な人達にたくさん慰めてもらえたお陰だ。
今の僕には、つらい時につらいって言える人達がたくさんいる。
そう受け入れられた。
それだけでこんなにも心が安定するなんて、我ながらびっくりだ。

 同時にそう思えるようになれた事が、とても嬉しい。

「これはこれは!
ようこそいらっしゃいました、ミシェリーヌ王女殿下!」
「王女殿下って……まあ、初めまして!
まさかこんな所で会えるなんて思わなかったわ!」

 エセ教皇の言葉に側妃が反応する。
どちらもテンションが上がっている。

「貴女が側妃のマーガレット様ね。
初めまして。
イグドゥラシャ国第2王女、ミシェリーヌ=イグドゥラシャです」

 でも……やっぱり不愉快極まりない気持ちにはなっちゃうみたい。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...