秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

文字の大きさ
470 / 491

469.魔族と魔人属〜エリュウシウェルside

しおりを挟む
「やはりミシェリーヌ=イグドゥラシャは、各国で禁呪とされている魅了の魔法を使うのか」

 この声はハスキーだが、凛とした印象を受ける、女性の声だな。
何となく声に違和感を感じるのは、どうしてだろうか。

 部屋に入ってきたのは、足音から察するに聖騎士、異母兄のゼストゥウェル、そしてこの声の女性の3人だろう。

 聖騎士の爆弾発言に、しかし既に予想していたかのように、女性は話す。

「そうですねえ、厳密には魅了から魅縛へと進化する類の、魔族特有のスキルですね」

 魔族?!
どうしてそんな者が教会に?!
しかもミシェリーヌ王女が魔族だと?!

「魅縛?
それに魔族だと?」

 すると女性は訝しむような声音になった。
私と同様、さすがに魔族の関わりまでは知らなかったようで、私と同じく驚きの声を上げた。

「……魔族……そうか。
あの者が……」
「何か知っているのか、ゼスト」

 しかしこの異母兄であるゼストウェルは知っていたような口ぶりだ。
父上や、自身の母親である王妃から聞いたのか?
いつだ?

 いや、それよりも、まさか私の母親も魔族とは言わないよな?!

「ああ。
教会に魔族が絡んでいるという事は、もうずっと前の、アドライド国へ留学して暫くした頃に聞いていた。
1年の魔法技術大会が催された頃だ」
「ああ、ゼストがアリー嬢にからんで、グレインビル一家の怒りを買った、あの頃……」

 何だ?
この異母兄にも、そんな過去があったのか?
バックにあの悪魔兄弟を従えたグレインビル嬢にからむとは、ぜストゥウェルも命知らずだったらしい。

「ふぐっ……頼む、その事はもう……ま、まあ、その頃だ。
詳しくは言えない」
「そうか」

 ゼストゥウェルの中では、黒歴史とかいうやつになっているらしく、言葉を詰まらせたな。

 それにしてもこの女性は、随分とゼストゥウェルと親しいらしい。
2人の口調からは気安さが窺える。

 話の内容から察するに、少なくともゼストゥウェルがあの学園へ入学した頃には知りあっていたようだが、その頃からこの2人は仲がよかったのか?

 異母兄に女っ気はないと、信じて疑っていなかった。
それくらいには、学園でゼストゥウェルの浮ついた女性関連の噂はなかった。
しかし意外にも、隅に置けないらしい。

「ほうほう、それは是非とも詳しく教えていただきたいですね。
その事を知る者がいるとは考えもしていませんでしたから」
「そなたに話す必要は感じない。
ただ知っているとだけ覚えていてくれ」
「それは残念」
「ゲドグル、そなたとは一時的な協力関係だ。
それ以上の詮索はやめろ」

 女性が聖騎士__ゲドグルを……ゲドグル?
ゲドグルって確か、何年も前にグレインビル嬢を誘拐した犯人の1人ではなかっただろうか?
人違いか?

「しかし魔族とは、人族とは比べられない程の力の差があると文献にはあった。
それにしては、正直実力不足では?」

 確かにゼストゥウェルの言う通りだ。

 500年前、かつてこの国は魔族に侵略されかけた。
この国の人々に絶望を与えるくらいに、凶悪で圧倒的な力を持っていたと、教会の文献には書かれていた。

 ザルハード国の建国神話だ。

「人界との棲み分けによって魔族は魔界で暮らしているようですが、そこから追放された、はぐれ魔族と呼ばれる類の存在があるんです。
追放される前に、魔王によって力を削がれてしまうので、弱体化するようですよ」

 この聖騎士は、何故そんな事を知っているのだ?
魔族という言葉を耳にした事は、大抵の者が知っている。

 しかし魔族という存在自体、目にした事は無かった。
少なくとも私の周囲では、魔族はとうに滅びた古の種族という認識ですらあった。

「そなたは何故、そんな事を知っている?
確かそなたは魔人属だったな。
それと何か関わりが?」

 ゼストゥウェルも同じ疑問を持ったようだが、そうか、魔人属。

 あの誘拐犯達は、熊属、ピューマ属、魔人属だったはず。
この男が魔人属の誘拐犯。

 人族の中でも長寿であり、魔という言葉がつく種属なら、魔族と何らかの繋がりがあるのかもしれない。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

処理中です...