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470.200才?!〜エリュウシウェルside
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「ふむ……魔人属だからというのは、ある意味正解で、ある意味違います。
ですがそれを詳しく伝えてあげる仲ではありませんよ、私達」
どこかにこやかさを声から窺わせ、飄々と答えているのは、聖騎士に扮した、誘拐犯の1人であるゲドグル。
「それにそんな些細な事よりも、もっと気にしなければならないのではありませんか?」
「ミシェリーヌ=イグドゥラシャが、魔族であるという事か」
ハスキーな声の女性が誘拐犯に答えた。
「しかし魔族だと言うなら、どうやって王女という地位につけたのだ?」
「イグドゥラシャ国の第2王女は、市井で長く過ごしていたと聞く。
本物と入れ替わったのではないか?
魅了で架空の王女になりすました可能性も無くはない。
しかしそもそも彼女を王族だと識別し、認められる事ができる王族は、国王と近しい王族くらいだろう。
市井の平民がそんな人物を魅了する機会があるだろうか。
まともな王族ならば、魅了に備えるくらいはしてあるだろう」
ゼストゥウェルの疑問はもっともだ。
恐らくこの異母兄と付き合いが長いだろう、それに答えた女性も言い分も、正しいと感じた。
「それもまた、ある意味正解で、ある意味間違いですね」
しかし誘拐犯だった1人は、再び飄々と答え、予想外にして衝撃的な言葉を口にした。
「あの女は元々イグドゥラシャ国の第1王女ですよ」
「「は?」」
どうやらそこの2人も同じだったらしく、同じようにポカンとした声が聞こえた。
「しかし確かに姉妹と言うだけあって、似てはいるが、外見上の年齢が……我が国へ入国した際、なりすましができないよう幻術等姿を変える魔法は誓約魔法で禁止した上で、検査する。
かい潜ったという事か?
そなたが何かしらの魔具を授けたのか?」
女性は訝しむような声音だ。
ゲドグルは魔人属である事の他に、アドライド国の元魔法師団長だった。
魔法の実力は疑うべくもないが、魔具の作り手としても優れているという意味か?
「いいえ。
今のあの女は見た目通りの体年齢ですよ。
特殊な魔具で若返っています。
あの側妃と教皇もそうですね。
彼女達の実年齢は、ざっと200才ほどですかね」
「「はぁ?!」」
またもや他の2人の声がそろう。
しかし私も同じく内心の声がそろった。
母上が平民であった事だけでも衝撃的だったのに、200才?!
「魔人属だったという可能性は?」
ゼストゥウェルの疑問はこれまたもっともだが、自身の母親だ。
これまでに知らない事も多々あるが、これだけは断言できる。
「ありませんよ。
定期的に、王女となる前のあの女が魔具を使って若返らせてきたんです」
そう、母上は人属だ。
そして元人属の平民だからこそ、私の魔力もゼストゥウェルと比べれば……低い。
目を背けてきたが、私の魔力は王族の中でも群を抜いて弱いのだ。
その理由に、こんなところで合点がいくとは思わなかった。
それよりも平民……そして……200才の人属。
もう、どこに衝撃を受けて良いのかわからない。
自らのルーツが崩れていく事に、どうして良いのかわからない。
少なくとも私は王族として、血筋的にも相応しくない。
「そうか……」
「おや、そのように痛ましげな顔をエリュウシウェル第3王子に向けるのは、何故ですかねえ?
元々王位継承権を自ら放棄したとはいえ、第3王子は未だにこの教会の旗印となっています。
彼の血筋が根本から揺らぐ事は、第1王子として
喜ぶべきものではありませんか?」
ゼストゥウェルが、異母兄が痛ましげな表情?
ゲドグルの言う通りだ。
第1王子としての立場を強固な物とするなら、私が半分は平民の血を引いているばかりか、母親が得体のしれない人属であるという現実は、喜ぶべき事ではないのか?
「見損なうな。
血の繋がりは半分とはいえ、エリュウシウェルが弟である事に変わりはない。
それよりもその事実をエリュウシウェルが知った時が心配だ。
アドライド国の留学中に見せたように、再び自暴自棄にならないとも限らない」
「ならば黙っておけば良いのでは?」
「それはできない。
側妃が後ろ盾でもある教会と共謀した事は明白だ。
養女となった今の生家もまた調べ、王族を謀った事を追求していかねばならない。
それでもエリュウシウェルは真実を知らなかったと信じている。
どうにかして守る方法を考えねばならない」
……どうしてだ?
私は……当然に嫌われ、あるいは憎まれても仕方ない言動ばかりしてきたのに。
ですがそれを詳しく伝えてあげる仲ではありませんよ、私達」
どこかにこやかさを声から窺わせ、飄々と答えているのは、聖騎士に扮した、誘拐犯の1人であるゲドグル。
「それにそんな些細な事よりも、もっと気にしなければならないのではありませんか?」
「ミシェリーヌ=イグドゥラシャが、魔族であるという事か」
ハスキーな声の女性が誘拐犯に答えた。
「しかし魔族だと言うなら、どうやって王女という地位につけたのだ?」
「イグドゥラシャ国の第2王女は、市井で長く過ごしていたと聞く。
本物と入れ替わったのではないか?
魅了で架空の王女になりすました可能性も無くはない。
しかしそもそも彼女を王族だと識別し、認められる事ができる王族は、国王と近しい王族くらいだろう。
市井の平民がそんな人物を魅了する機会があるだろうか。
まともな王族ならば、魅了に備えるくらいはしてあるだろう」
ゼストゥウェルの疑問はもっともだ。
恐らくこの異母兄と付き合いが長いだろう、それに答えた女性も言い分も、正しいと感じた。
「それもまた、ある意味正解で、ある意味間違いですね」
しかし誘拐犯だった1人は、再び飄々と答え、予想外にして衝撃的な言葉を口にした。
「あの女は元々イグドゥラシャ国の第1王女ですよ」
「「は?」」
どうやらそこの2人も同じだったらしく、同じようにポカンとした声が聞こえた。
「しかし確かに姉妹と言うだけあって、似てはいるが、外見上の年齢が……我が国へ入国した際、なりすましができないよう幻術等姿を変える魔法は誓約魔法で禁止した上で、検査する。
かい潜ったという事か?
そなたが何かしらの魔具を授けたのか?」
女性は訝しむような声音だ。
ゲドグルは魔人属である事の他に、アドライド国の元魔法師団長だった。
魔法の実力は疑うべくもないが、魔具の作り手としても優れているという意味か?
「いいえ。
今のあの女は見た目通りの体年齢ですよ。
特殊な魔具で若返っています。
あの側妃と教皇もそうですね。
彼女達の実年齢は、ざっと200才ほどですかね」
「「はぁ?!」」
またもや他の2人の声がそろう。
しかし私も同じく内心の声がそろった。
母上が平民であった事だけでも衝撃的だったのに、200才?!
「魔人属だったという可能性は?」
ゼストゥウェルの疑問はこれまたもっともだが、自身の母親だ。
これまでに知らない事も多々あるが、これだけは断言できる。
「ありませんよ。
定期的に、王女となる前のあの女が魔具を使って若返らせてきたんです」
そう、母上は人属だ。
そして元人属の平民だからこそ、私の魔力もゼストゥウェルと比べれば……低い。
目を背けてきたが、私の魔力は王族の中でも群を抜いて弱いのだ。
その理由に、こんなところで合点がいくとは思わなかった。
それよりも平民……そして……200才の人属。
もう、どこに衝撃を受けて良いのかわからない。
自らのルーツが崩れていく事に、どうして良いのかわからない。
少なくとも私は王族として、血筋的にも相応しくない。
「そうか……」
「おや、そのように痛ましげな顔をエリュウシウェル第3王子に向けるのは、何故ですかねえ?
元々王位継承権を自ら放棄したとはいえ、第3王子は未だにこの教会の旗印となっています。
彼の血筋が根本から揺らぐ事は、第1王子として
喜ぶべきものではありませんか?」
ゼストゥウェルが、異母兄が痛ましげな表情?
ゲドグルの言う通りだ。
第1王子としての立場を強固な物とするなら、私が半分は平民の血を引いているばかりか、母親が得体のしれない人属であるという現実は、喜ぶべき事ではないのか?
「見損なうな。
血の繋がりは半分とはいえ、エリュウシウェルが弟である事に変わりはない。
それよりもその事実をエリュウシウェルが知った時が心配だ。
アドライド国の留学中に見せたように、再び自暴自棄にならないとも限らない」
「ならば黙っておけば良いのでは?」
「それはできない。
側妃が後ろ盾でもある教会と共謀した事は明白だ。
養女となった今の生家もまた調べ、王族を謀った事を追求していかねばならない。
それでもエリュウシウェルは真実を知らなかったと信じている。
どうにかして守る方法を考えねばならない」
……どうしてだ?
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