43 / 124
3.
42.勘違いした傲慢なオッサン
しおりを挟む
「真に分が悪いのは誰とお考えで?」
ゆっくりと笑みを深めて尋ねれば、丞相は大きくため息を吐きました。
「覇気も通じず、毒にも、恐らく自白剤にも耐性があり、実は生家の者を人質に取る事も、金銭が大好きなようでいてそれを餌に引き込むのも、更に貴女の交友関係も含めて難儀となると……困った方ですね」
丞相はやれやれと首を振って苦笑し、陛下は憮然としてしまいました。
どうやら私の手は有効に打てていたようです。
今世で懇意にしている娼妓達には近々お礼をしておきましょう。
娼妓の交友関係は侮れません。
2代目の娼妓として、その第2の人生でやり手爺として培った経験と手腕は今世でもしっかり活かしておりますもの。
もちろん人との様々なるご縁も含めて。
「ふふふ、残念ですね。
実力行使をされるならばすぐにここから出ましたのに。
私が丞相に依頼された事は即ちこの後宮の膿を出し、今代の御世が恙無く続き後の世に続くよう計らう事。
この国の後宮の陣取り合戦で腐敗した重鎮を私という餌によって謀りにかけて大人しくさせるのはそちらの役割。
後はできるだけ陛下の血を残す助けになる事、でしたね」
鳥の羽根を毟りながら尋ねた答えはこれですよ、陛下。
「ええ。
血を残すのは陛下の御心を考えれば玉翠皇貴妃が望ましい。
しかし年齢的にも陛下の体質的にも難しく、無理ならば……私は貴女でも良いと思っています」
「おい!」
その言葉に拒絶と苛立ちを瞬時に爆発させたのはもちろん陛下。
しかし……。
「それは私としても絶対に嫌ですし、何より契約違反ですよ、丞相。
それをしようとした瞬間に、私はここを去り、もちろん諸々の資金を後宮どころかこの国から引き上げます」
「ふふ、そんなにお嫌ですか?」
陛下には全く反応を示しませんが、私には苦笑してみせます。
私も丞相と同じく今は陛下を無視すると致しましょう。
「心の底から嫌ですね。
正直なところ選ぼうと思えば、気に入る殿方をいくらでも私は伴侶に選べます。
なのにわざわざ好みでない殿方と褥を共にするほど自虐的ではございません」
「おい……何もそこまで嫌そうな……」
私の反応に面食らったのでしょうが、何故自尊心が傷ついたかのような顔をするのでしょうね?
「これ以上ない程にはっきり言わねばいい加減信じていただけないようですから。
第一、ご自分は私など比にならない程に言動に出しておきながら他人から言われるのは嫌とは……我儘ですよ。
そういう勘違いをしたお年を召した殿方など軽蔑と嫌悪しか湧かないといい加減お気づきになられてはいかがです?」
「年を召した……軽蔑と嫌悪……」
「私、お肌もピチピチの花の14歳ですよ?
世の女子が皆自分を好いているなどと勘違いした傲慢なオッサンなんて嫌に決まっております」
「くっ」
ようやっと自分はモテモテで嫌われる事などないとタカを括っていた自尊心にヒビが入ったようですね。
悔しそうな顔に心がスカッとしました。
「ブフッ……貴女の、お、思い通りに、できる、と?」
「おい、笑うな。
お前だって小娘を餌にしようとする利己的なオッサンだろう」
「陛下、煩いです。
できるかどうかやってみてもよろしいかしら?」
「……ふぅ、ふぅ。
何もそう笑顔で言わずとも……。
いいえ、本当に出来そうですから止めて下さい」
なおも幼馴染を無視し続ける丞相は息を整えてから問いかけます。
「それで契約は果たせそうですか?」
「それは丞相や陛下……と、後は皇貴妃次第では?
私が関わるのは全て過程。
結果はその過程を使いお三方で出されるものでは?」
私に罰したり排除したりする権限は無く、子に至っては当事者である私と陛下の双方が拒否的なのです。
皇貴妃かそれ以外の女子と協力し合うしか方法はありません。
養子で良いなら話は簡単なのでしょうが、先の帝位争いで王族直系の方々は皆お亡くなりになっております。
他国との勢力争いもございます。
魔力を多く後継に引き継がせ、泰平の世を保ち続けたいのなら、血の濃さを求めて陛下の血を引く子を作る以外の選択肢はないのかもしれませんね。
ゆっくりと笑みを深めて尋ねれば、丞相は大きくため息を吐きました。
「覇気も通じず、毒にも、恐らく自白剤にも耐性があり、実は生家の者を人質に取る事も、金銭が大好きなようでいてそれを餌に引き込むのも、更に貴女の交友関係も含めて難儀となると……困った方ですね」
丞相はやれやれと首を振って苦笑し、陛下は憮然としてしまいました。
どうやら私の手は有効に打てていたようです。
今世で懇意にしている娼妓達には近々お礼をしておきましょう。
娼妓の交友関係は侮れません。
2代目の娼妓として、その第2の人生でやり手爺として培った経験と手腕は今世でもしっかり活かしておりますもの。
もちろん人との様々なるご縁も含めて。
「ふふふ、残念ですね。
実力行使をされるならばすぐにここから出ましたのに。
私が丞相に依頼された事は即ちこの後宮の膿を出し、今代の御世が恙無く続き後の世に続くよう計らう事。
この国の後宮の陣取り合戦で腐敗した重鎮を私という餌によって謀りにかけて大人しくさせるのはそちらの役割。
後はできるだけ陛下の血を残す助けになる事、でしたね」
鳥の羽根を毟りながら尋ねた答えはこれですよ、陛下。
「ええ。
血を残すのは陛下の御心を考えれば玉翠皇貴妃が望ましい。
しかし年齢的にも陛下の体質的にも難しく、無理ならば……私は貴女でも良いと思っています」
「おい!」
その言葉に拒絶と苛立ちを瞬時に爆発させたのはもちろん陛下。
しかし……。
「それは私としても絶対に嫌ですし、何より契約違反ですよ、丞相。
それをしようとした瞬間に、私はここを去り、もちろん諸々の資金を後宮どころかこの国から引き上げます」
「ふふ、そんなにお嫌ですか?」
陛下には全く反応を示しませんが、私には苦笑してみせます。
私も丞相と同じく今は陛下を無視すると致しましょう。
「心の底から嫌ですね。
正直なところ選ぼうと思えば、気に入る殿方をいくらでも私は伴侶に選べます。
なのにわざわざ好みでない殿方と褥を共にするほど自虐的ではございません」
「おい……何もそこまで嫌そうな……」
私の反応に面食らったのでしょうが、何故自尊心が傷ついたかのような顔をするのでしょうね?
「これ以上ない程にはっきり言わねばいい加減信じていただけないようですから。
第一、ご自分は私など比にならない程に言動に出しておきながら他人から言われるのは嫌とは……我儘ですよ。
そういう勘違いをしたお年を召した殿方など軽蔑と嫌悪しか湧かないといい加減お気づきになられてはいかがです?」
「年を召した……軽蔑と嫌悪……」
「私、お肌もピチピチの花の14歳ですよ?
世の女子が皆自分を好いているなどと勘違いした傲慢なオッサンなんて嫌に決まっております」
「くっ」
ようやっと自分はモテモテで嫌われる事などないとタカを括っていた自尊心にヒビが入ったようですね。
悔しそうな顔に心がスカッとしました。
「ブフッ……貴女の、お、思い通りに、できる、と?」
「おい、笑うな。
お前だって小娘を餌にしようとする利己的なオッサンだろう」
「陛下、煩いです。
できるかどうかやってみてもよろしいかしら?」
「……ふぅ、ふぅ。
何もそう笑顔で言わずとも……。
いいえ、本当に出来そうですから止めて下さい」
なおも幼馴染を無視し続ける丞相は息を整えてから問いかけます。
「それで契約は果たせそうですか?」
「それは丞相や陛下……と、後は皇貴妃次第では?
私が関わるのは全て過程。
結果はその過程を使いお三方で出されるものでは?」
私に罰したり排除したりする権限は無く、子に至っては当事者である私と陛下の双方が拒否的なのです。
皇貴妃かそれ以外の女子と協力し合うしか方法はありません。
養子で良いなら話は簡単なのでしょうが、先の帝位争いで王族直系の方々は皆お亡くなりになっております。
他国との勢力争いもございます。
魔力を多く後継に引き継がせ、泰平の世を保ち続けたいのなら、血の濃さを求めて陛下の血を引く子を作る以外の選択肢はないのかもしれませんね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)
星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。
団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。
副団長「彼女のご飯は軍事物資です」
私「えっ重い」
胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!?
ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。
(月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる