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18.爆ぜろからの、新茶
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「なあ、母ちゃん。
俺からカビ臭え臭いってするか?」
のろけていたダンがカビ臭の出どころを突き止めようと、妻のナーシャに尋ねる。
「そうだねえ……確かこの辺りから……」
ナーシャは、心当たりがありましたのね。
ダンの着ている丸襟のシャツ。
その襟首を掴んで、手前にグイッと引っ張る。
すると空いた隙間へと鼻を近づけて……破廉恥ですわ!
クンクンと臭いましたわ!
見せつけてますの!?
いわゆるマウントとかいう、女の火花がバチバチ散るやつですの?!
ハッ、私、オッサンでしたわ!
目の前の光景にも、自分の自意識高い勘違いにも、羞恥心がドバッと湧き起こる。
顔が真っ赤になるのを感じながら、両手で顔を隠してしまう。
けれど指の隙間から、ついつい夫婦のイチャコラを覗いてしまいますわ!
ナーシャは更に背後に周り、後ろからグイッと引っ張って、同じように鼻を近づけてクンクンと臭った。
「薄っすらだけど、カビ臭いというか、枯れ葉が雨に濡れた時の臭いがするね。
私はこの臭い、好きなんだよ」
「そ、そうか……」
キー!
また見せつけられてますわ!
一度ならず、二度までも!
ダンが妻のナチュラルな【好き】発言に、頬を染めてますわ!
照れてますわ!
そっち方面の将来性が絶望的な、独身を貫きそうな私には、目に毒すぎましてよぉぉぉ!
眦に浮かんだ嫉妬の粒を、袖で乱暴に拭う。
「また始まった」
キーナの言う通りですわ!
ラブラブ夫婦め!
爆ぜればよろしいのに!
「こうなったら、まずはお世話になっているナーシャの為に、靴を作ってやりますわ!
私も冬は洗った靴が乾かなくて、ビシャビシャのまま動いてましたし!
目指すは脱臭と乾きやすい靴!」
闘志をメラメラと燃やし、イチャイチャの元凶となった、くっせえ靴を潰してやると心に誓う。
「足の臭いは蒸れから来ているみたいですもの!
蒸れと消臭の二つを対策すれば、臭わなくなるかもしれませんわね!
皮靴は難しくとも、普段履くような靴ならどうにかしてやりますわ!」
「おうおう、良いんじゃねえか!
母ちゃんの為に頑張ってくれや!
でも靴持ってきて、母ちゃんの関心引こうと思ってんなら……」
ジロリと私を睨むダン。
「へ!?」
脈絡のない睨みに、ビクッとしてしまう私。
突然、何ですの!?
「なぁに嫉妬してんだい!
マルクさんはそんなんじゃないよ!
ね!」
「なっ、えっ、嫉妬!?
ダンが私にですの!?
私、今は女性も男性も、そういう対象ではありませんのよ!」
あり得ませんわ!
薄毛七三分けの、お腹でっぷりなオッサンですのよ!?
髪の毛を刈り上げたくとも、薄さが際立ちそうで踏ん切りのつかない、男としては意気地なしな私。
それが今のマルク=コニーですのよ!?
第一、私の中身は未だに淑女のままですもの。
ダンとナーシャを改めて見る。
結婚……夢でしたわ。
けれど今は結婚できる未来が、全く想像できねーですわ。
思わず気持ちが沈みそうになった時……。
「それより皆。
早く終わらせないと日が暮れるよ?」
「「「そうだった(そうでしたわ)!」」」
キーナの一声ですわね。
皆で一心不乱に新芽を摘み始めた。
※※※※
「疲れましたわ」
三日ぶりに自宅へ帰った。
テーブルに、緑茶を楽しむ為の諸々を用意してから、椅子へゆっくり腰かける。
途端、ギシギシと膝の関節が違和感を訴えた。
「茶摘み作業が膝にきてますわ。
ちょっぴり痩せたと、安心しておりましたのに。
元が足の細さと見合わないお腹でしたものね。
四十年以上酷使したツケが、膝の方へきてますわ」
3日間ダンの家に泊りがけで収穫した、一番茶。
今テーブルの上に用意しているのは、茶摘み初日にナーシャが蒸して、揉んで、乾かしていた茶葉だ。
摘んだだけで加工していない茶葉は、この三日で収穫した内、半分ほどを持ち帰らせてもらった。
明日、ナーシャから教わったばかりの茶葉作りをして、乾いたら領民に配るつもりでいる。
「そういえば昔、お祖父様がお父様に、将来お腹が出始めたら膝に注意するようにと仰ってましたわね。
まさか体験談だったのかしら?」
私がまだ、うら若き淑女だった前世で聞いた、お祖父様の忠告。
私ではなく、息子である私のお父様への忠告だったけれど、今ならその言葉の意味がよくわかる。
お祖父様も孫娘の私が、お腹でっぷりオッサンに転生するなんて、考えた事もないだろう。
私だってなかった。
お祖父様のお腹も、叩いたら音が出る程、前に突き出しておりましたわ。
とっても優しいお祖父様のお腹。
私のこのお腹と同じくらい、音が出ていた気がしますわ。
――ポン!
試しに叩いて、記憶に残るお祖父様の腹太鼓と比較してみる。
ふむ……我が祖父ながら、やべえお腹でしたのね。
でもそれ以上にやべえのは、このお腹ですわ。
だって転生した頃より多少引っこんで、今のコレですもの。
冷たい川で行水した時に擦ったお腹を思い出して、ゾッとする。
「さ、さあ、そろそろ蒸らしは、よろしいはずよね」
怖気に気を逸らすように、蒸らしていた茶葉へ、程よく冷めたお湯を注ぐ。
「ああ、出来立て一番茶。
ん~、香りがよろしゅうございますわあ」
香りを嗅ぐと、へニャリと顔の筋肉が弛む。
次に軽く口へ含んで、ゴクンと飲みこむ。
「ああ、口当たりがまろやかで、美味しゅうございますわあ。
苦味も少なく、香りも爽やか。
次は一口すすって……」
――スゾゾゾォー。
音を立てて口の中に湧き立つ香りを、鼻腔の奥へとやれば……。
「……臭えですわ。
こんな時まで、臭えですわ」
思わずスンとしてしまった。
俺からカビ臭え臭いってするか?」
のろけていたダンがカビ臭の出どころを突き止めようと、妻のナーシャに尋ねる。
「そうだねえ……確かこの辺りから……」
ナーシャは、心当たりがありましたのね。
ダンの着ている丸襟のシャツ。
その襟首を掴んで、手前にグイッと引っ張る。
すると空いた隙間へと鼻を近づけて……破廉恥ですわ!
クンクンと臭いましたわ!
見せつけてますの!?
いわゆるマウントとかいう、女の火花がバチバチ散るやつですの?!
ハッ、私、オッサンでしたわ!
目の前の光景にも、自分の自意識高い勘違いにも、羞恥心がドバッと湧き起こる。
顔が真っ赤になるのを感じながら、両手で顔を隠してしまう。
けれど指の隙間から、ついつい夫婦のイチャコラを覗いてしまいますわ!
ナーシャは更に背後に周り、後ろからグイッと引っ張って、同じように鼻を近づけてクンクンと臭った。
「薄っすらだけど、カビ臭いというか、枯れ葉が雨に濡れた時の臭いがするね。
私はこの臭い、好きなんだよ」
「そ、そうか……」
キー!
また見せつけられてますわ!
一度ならず、二度までも!
ダンが妻のナチュラルな【好き】発言に、頬を染めてますわ!
照れてますわ!
そっち方面の将来性が絶望的な、独身を貫きそうな私には、目に毒すぎましてよぉぉぉ!
眦に浮かんだ嫉妬の粒を、袖で乱暴に拭う。
「また始まった」
キーナの言う通りですわ!
ラブラブ夫婦め!
爆ぜればよろしいのに!
「こうなったら、まずはお世話になっているナーシャの為に、靴を作ってやりますわ!
私も冬は洗った靴が乾かなくて、ビシャビシャのまま動いてましたし!
目指すは脱臭と乾きやすい靴!」
闘志をメラメラと燃やし、イチャイチャの元凶となった、くっせえ靴を潰してやると心に誓う。
「足の臭いは蒸れから来ているみたいですもの!
蒸れと消臭の二つを対策すれば、臭わなくなるかもしれませんわね!
皮靴は難しくとも、普段履くような靴ならどうにかしてやりますわ!」
「おうおう、良いんじゃねえか!
母ちゃんの為に頑張ってくれや!
でも靴持ってきて、母ちゃんの関心引こうと思ってんなら……」
ジロリと私を睨むダン。
「へ!?」
脈絡のない睨みに、ビクッとしてしまう私。
突然、何ですの!?
「なぁに嫉妬してんだい!
マルクさんはそんなんじゃないよ!
ね!」
「なっ、えっ、嫉妬!?
ダンが私にですの!?
私、今は女性も男性も、そういう対象ではありませんのよ!」
あり得ませんわ!
薄毛七三分けの、お腹でっぷりなオッサンですのよ!?
髪の毛を刈り上げたくとも、薄さが際立ちそうで踏ん切りのつかない、男としては意気地なしな私。
それが今のマルク=コニーですのよ!?
第一、私の中身は未だに淑女のままですもの。
ダンとナーシャを改めて見る。
結婚……夢でしたわ。
けれど今は結婚できる未来が、全く想像できねーですわ。
思わず気持ちが沈みそうになった時……。
「それより皆。
早く終わらせないと日が暮れるよ?」
「「「そうだった(そうでしたわ)!」」」
キーナの一声ですわね。
皆で一心不乱に新芽を摘み始めた。
※※※※
「疲れましたわ」
三日ぶりに自宅へ帰った。
テーブルに、緑茶を楽しむ為の諸々を用意してから、椅子へゆっくり腰かける。
途端、ギシギシと膝の関節が違和感を訴えた。
「茶摘み作業が膝にきてますわ。
ちょっぴり痩せたと、安心しておりましたのに。
元が足の細さと見合わないお腹でしたものね。
四十年以上酷使したツケが、膝の方へきてますわ」
3日間ダンの家に泊りがけで収穫した、一番茶。
今テーブルの上に用意しているのは、茶摘み初日にナーシャが蒸して、揉んで、乾かしていた茶葉だ。
摘んだだけで加工していない茶葉は、この三日で収穫した内、半分ほどを持ち帰らせてもらった。
明日、ナーシャから教わったばかりの茶葉作りをして、乾いたら領民に配るつもりでいる。
「そういえば昔、お祖父様がお父様に、将来お腹が出始めたら膝に注意するようにと仰ってましたわね。
まさか体験談だったのかしら?」
私がまだ、うら若き淑女だった前世で聞いた、お祖父様の忠告。
私ではなく、息子である私のお父様への忠告だったけれど、今ならその言葉の意味がよくわかる。
お祖父様も孫娘の私が、お腹でっぷりオッサンに転生するなんて、考えた事もないだろう。
私だってなかった。
お祖父様のお腹も、叩いたら音が出る程、前に突き出しておりましたわ。
とっても優しいお祖父様のお腹。
私のこのお腹と同じくらい、音が出ていた気がしますわ。
――ポン!
試しに叩いて、記憶に残るお祖父様の腹太鼓と比較してみる。
ふむ……我が祖父ながら、やべえお腹でしたのね。
でもそれ以上にやべえのは、このお腹ですわ。
だって転生した頃より多少引っこんで、今のコレですもの。
冷たい川で行水した時に擦ったお腹を思い出して、ゾッとする。
「さ、さあ、そろそろ蒸らしは、よろしいはずよね」
怖気に気を逸らすように、蒸らしていた茶葉へ、程よく冷めたお湯を注ぐ。
「ああ、出来立て一番茶。
ん~、香りがよろしゅうございますわあ」
香りを嗅ぐと、へニャリと顔の筋肉が弛む。
次に軽く口へ含んで、ゴクンと飲みこむ。
「ああ、口当たりがまろやかで、美味しゅうございますわあ。
苦味も少なく、香りも爽やか。
次は一口すすって……」
――スゾゾゾォー。
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