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74.国家滅亡と独立国家
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「私が王妃になった頃には、ジョーに頼んだ土地の食糧需給率は上がっていた。
その土地を人知れず守りつつ、冤罪で罰せられた者、貧困にあえぐ者をその土地に逃がしていたんだ」
「その土地は山奥にある王家直轄地のネリアダだ」
ファビア様の話をヘリーが補足する。
「ネリアダ……覚えてますわ。
本当に、山奥ですのね。
しかもまともに樹木も育たないくらい、痩せた土地ではなかったかしら?」
「そうだ。
それも領主の血縁が途絶え、管理するほどの領民も、何かしらの収益も上げられない、王家からすると負債のような土地だった。
だからこそジョーを派遣し、土地を改良していたのも、一部の善良な国民をその土地に逃がすのも、誰にも気づかれなかったんだ」
「冤罪とは言え、罪人となった国民だからね。
しかもジョーのお陰で、ネリアダは食べる物に困る事がなくなっていた。
つまりネリアダから出る事なく、思っていた通り私が思うタイミングが来るまで、隠れ住んでくれていた。
お陰で私が大々的な断罪をし、多くの貴族を追放し、鉱山を売り、国土を縮小した情報がその土地に辿り着くのも遅かったよ」
「だからシャルルは王妃だって事を隠して、ネリアダに忍び込んで宗教を興した」
「んん!?
宗教!?」
ヘリーが再び補足するけれど、突然の宗教!?
意味がわかりませんわ!
「君主制を廃して、エストバン国を地図から消す為だよ」
「? ? ?」
「ふふ、わからないって顔だね。
可愛い」
「ふぁ!?」
微笑んだファビア様に、おおおおでこにチューされましたわ!?
変な声が漏れましたわ!
臭え息が漏れていないか、びびりましたわ!
「ったく……後にしてくれ」
「そうだね、ヘリー。
マルク、後でまたしようね」
「!? !? !?」
ファビア様が戸惑う私に微笑んでから、更に驚きの国家滅亡話を飄々と語っていった。
私は途中から白目を剥きそうになりながら、情報過多で混乱する頭を整理させるのに精一杯。
「………………と、いう事だけど……マルク?
あれ、気絶した?」
「いえ、ちょっとスケールの大きな話で……」
「そんな事ないよ。
王妃のシャルルは国家を衰退させ、国土を率先して減らす悪妃。
ジョーによって肥えた土地に現れたシャルルは、【豊穣の神ナルガ】の聖妃。
悪妃がネリアダに目をつけて、王都をネリアダに遷都しようとした。
その時、ナルガ神の天啓によって立ち上がった聖妃と、悪妃に冤罪をかけられたナルガの信徒は立ち上がり、独立宣言してナルガ宗教国家を作った。
と言っても他の国から狙われにくくするよう、武力放棄を建て前にした名ばかりの宗教国家だ。
聖妃が周辺国に働きかけたり、他国の痩せた土地にジョーやジョーの弟子達を派遣して、土地を改良する知識を普及させたから、他国とも良好な関係を築けていた。
ナルガ神を信仰する国民性は相変わらずだけれど、今は民主国家として名前を変えているんじゃなかったかな。
ネリアダに独立されたエストバン国は、結果的に国力が衰え続け、周辺国に吸収される形で滅亡した。
それだけだよ」
か、軽いですわ。
「エンヤ嬢は……いえ、そもそも国王だったヘリーは、どうなってますの?」
ふと気になって、ヘリーに尋ねる。
「俺は病気って事にして、早々に引きこもってる。
王家の保養地で療養すると見せかけて、最期はこの国で息を引き取った。
王妃だったシャルルは、エストバン国最後の王族として、処刑された」
「処刑!?」
思わず自分の首がギロチンに刈られた事を思い出して、首に手をやる。
するとファビア様は、そっと私の手を取った。
「ナルガ国を悲劇から立ち上がった国だと印象付け、エストバン国を悪として終わらせる必要があったんだ。
悪妃シャルルが全て背負って処刑されるのが、一番確実に守れる方法だった。
でもね、シャルルは服毒死だよ。
フローネと同じ処刑方法を望んだけれど、ナルガ国の国民が、フローネをよく知るジョーが、許してくれなくて、嘆願を出してくれたんだ。
ごめんね」
申し訳なげに眉尻を下げ、うつむくファビア様。
「何を言ってますの!?
エンヤ嬢は元々、悪くないんですのよ!?
フローネだった私は、マルクになった今も、全部知ってしまえば余計に、エンヤ嬢を恨めるはずがありませんわ!」
エンヤ嬢は、なんて事をしたんですの!?
破滅の道を歩むだなんて!
思わずファビア様の両頬に手を添えて、顔を上げさせる。
「フローネだった私が地下牢で過ごしている間、私を唆してエンヤ嬢に罪を被せろと言ったリドア公爵令嬢の囁きを蹴ったのは、エンヤ嬢苦しませる為じゃありませんのよ!」
「でも……シャルルさえいなければ……」
「黙らっしゃいまし!
私はエンヤ嬢が好きでしたわ!
もちろん、あの頃は今の好きとは違いましたけれど、エンヤ嬢を庇う事は、私の、フローネの、最後の良心と人としての矜持を守る事でしたのよ!
既に私もエンヤ嬢も、処刑されてしまって前世の立場ではありませんけれど、だからこそ他ならぬファビア様が、私の守ったエンヤ嬢を否定するのは止めて下さいまし!」
一気にまくし立てて叫んで、ハッとする。
ファビア様の眼尻から、涙がほろり、またほろりと流れ始めたから。
至近距離ですわ!
臭え息と、もしかすると唾がかかったんじゃ……。
「ご、ごめんなさいです……わ?
んぐぇっ」
慌てて体を離そうとして、戸惑い、最後は牛蛙を握り潰したような声が出てしまう。
ファビア様が私の太い首に勢いよく抱きついてきて、全力でしがみつ……つ……首肉とファビア様の剛腕で、首が締まってますわよ!
その土地を人知れず守りつつ、冤罪で罰せられた者、貧困にあえぐ者をその土地に逃がしていたんだ」
「その土地は山奥にある王家直轄地のネリアダだ」
ファビア様の話をヘリーが補足する。
「ネリアダ……覚えてますわ。
本当に、山奥ですのね。
しかもまともに樹木も育たないくらい、痩せた土地ではなかったかしら?」
「そうだ。
それも領主の血縁が途絶え、管理するほどの領民も、何かしらの収益も上げられない、王家からすると負債のような土地だった。
だからこそジョーを派遣し、土地を改良していたのも、一部の善良な国民をその土地に逃がすのも、誰にも気づかれなかったんだ」
「冤罪とは言え、罪人となった国民だからね。
しかもジョーのお陰で、ネリアダは食べる物に困る事がなくなっていた。
つまりネリアダから出る事なく、思っていた通り私が思うタイミングが来るまで、隠れ住んでくれていた。
お陰で私が大々的な断罪をし、多くの貴族を追放し、鉱山を売り、国土を縮小した情報がその土地に辿り着くのも遅かったよ」
「だからシャルルは王妃だって事を隠して、ネリアダに忍び込んで宗教を興した」
「んん!?
宗教!?」
ヘリーが再び補足するけれど、突然の宗教!?
意味がわかりませんわ!
「君主制を廃して、エストバン国を地図から消す為だよ」
「? ? ?」
「ふふ、わからないって顔だね。
可愛い」
「ふぁ!?」
微笑んだファビア様に、おおおおでこにチューされましたわ!?
変な声が漏れましたわ!
臭え息が漏れていないか、びびりましたわ!
「ったく……後にしてくれ」
「そうだね、ヘリー。
マルク、後でまたしようね」
「!? !? !?」
ファビア様が戸惑う私に微笑んでから、更に驚きの国家滅亡話を飄々と語っていった。
私は途中から白目を剥きそうになりながら、情報過多で混乱する頭を整理させるのに精一杯。
「………………と、いう事だけど……マルク?
あれ、気絶した?」
「いえ、ちょっとスケールの大きな話で……」
「そんな事ないよ。
王妃のシャルルは国家を衰退させ、国土を率先して減らす悪妃。
ジョーによって肥えた土地に現れたシャルルは、【豊穣の神ナルガ】の聖妃。
悪妃がネリアダに目をつけて、王都をネリアダに遷都しようとした。
その時、ナルガ神の天啓によって立ち上がった聖妃と、悪妃に冤罪をかけられたナルガの信徒は立ち上がり、独立宣言してナルガ宗教国家を作った。
と言っても他の国から狙われにくくするよう、武力放棄を建て前にした名ばかりの宗教国家だ。
聖妃が周辺国に働きかけたり、他国の痩せた土地にジョーやジョーの弟子達を派遣して、土地を改良する知識を普及させたから、他国とも良好な関係を築けていた。
ナルガ神を信仰する国民性は相変わらずだけれど、今は民主国家として名前を変えているんじゃなかったかな。
ネリアダに独立されたエストバン国は、結果的に国力が衰え続け、周辺国に吸収される形で滅亡した。
それだけだよ」
か、軽いですわ。
「エンヤ嬢は……いえ、そもそも国王だったヘリーは、どうなってますの?」
ふと気になって、ヘリーに尋ねる。
「俺は病気って事にして、早々に引きこもってる。
王家の保養地で療養すると見せかけて、最期はこの国で息を引き取った。
王妃だったシャルルは、エストバン国最後の王族として、処刑された」
「処刑!?」
思わず自分の首がギロチンに刈られた事を思い出して、首に手をやる。
するとファビア様は、そっと私の手を取った。
「ナルガ国を悲劇から立ち上がった国だと印象付け、エストバン国を悪として終わらせる必要があったんだ。
悪妃シャルルが全て背負って処刑されるのが、一番確実に守れる方法だった。
でもね、シャルルは服毒死だよ。
フローネと同じ処刑方法を望んだけれど、ナルガ国の国民が、フローネをよく知るジョーが、許してくれなくて、嘆願を出してくれたんだ。
ごめんね」
申し訳なげに眉尻を下げ、うつむくファビア様。
「何を言ってますの!?
エンヤ嬢は元々、悪くないんですのよ!?
フローネだった私は、マルクになった今も、全部知ってしまえば余計に、エンヤ嬢を恨めるはずがありませんわ!」
エンヤ嬢は、なんて事をしたんですの!?
破滅の道を歩むだなんて!
思わずファビア様の両頬に手を添えて、顔を上げさせる。
「フローネだった私が地下牢で過ごしている間、私を唆してエンヤ嬢に罪を被せろと言ったリドア公爵令嬢の囁きを蹴ったのは、エンヤ嬢苦しませる為じゃありませんのよ!」
「でも……シャルルさえいなければ……」
「黙らっしゃいまし!
私はエンヤ嬢が好きでしたわ!
もちろん、あの頃は今の好きとは違いましたけれど、エンヤ嬢を庇う事は、私の、フローネの、最後の良心と人としての矜持を守る事でしたのよ!
既に私もエンヤ嬢も、処刑されてしまって前世の立場ではありませんけれど、だからこそ他ならぬファビア様が、私の守ったエンヤ嬢を否定するのは止めて下さいまし!」
一気にまくし立てて叫んで、ハッとする。
ファビア様の眼尻から、涙がほろり、またほろりと流れ始めたから。
至近距離ですわ!
臭え息と、もしかすると唾がかかったんじゃ……。
「ご、ごめんなさいです……わ?
んぐぇっ」
慌てて体を離そうとして、戸惑い、最後は牛蛙を握り潰したような声が出てしまう。
ファビア様が私の太い首に勢いよく抱きついてきて、全力でしがみつ……つ……首肉とファビア様の剛腕で、首が締まってますわよ!
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