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2 魔王国からの使者
2ー5 絶対零度領域
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2ー5 絶対零度領域
「二人とも、これは、親善試合だということを忘れないように」
審判をつとめる魔法学の教師であるレーン先生が俺とサハード公爵に告げると右手を振り上げる。
「それでは、両者、心置きなく善戦するように!」
レーン先生の手が振り下ろされると同時にサハード公爵が俺に襲いかかってくる。
目にもとまらない速さの拳が繰り出されるのを俺は、体をそらしてかわしていく。
しばらく攻撃を続けるとサハード公爵は、動きを止めた。
うん。
呼吸一つ乱れてはいない。
まあ、俺もだけどさ。
サハード公爵は、すごく嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「私の拳を全て避けるとは。なかなかやるな、婚約者殿」
いや。
俺は、剣を持ってるのにあんた、素手じゃないか!
俺は、初めて背筋が冷たくなっていた。
剣も持たずにこれとは。
俺は、ぼろぼろになったローブを見て息を飲む。
「勝負は、これからだ」
俺が手に持っていた剣を背後に向かって投げ捨てるのを見てサハード公爵が怪訝そうな顔をする。
「なぜ、剣を捨てる?」
「あなたが剣を持たないのに俺だけ剣を持つのは公平じゃない」
俺が言うとサハード公爵が笑い声を上げた。
「これは!か弱い人間相手の試合故、ハンデをくれてやったつもりだったんだが」
「ハンデなんて、いらないし!」
俺は、すぅっと深呼吸をすると自分の魔力を辺りに拡大していく。
範囲は、この闘技場全域。
「ふっ。今度は、魔法戦か?」
サハード公爵が口許を歪める。
「魔法戦で魔族に人が勝てるとでも?」
「勝てるかどうかは、見てから言えば良いさ」
俺は、両手を広げる。
「絶対零度領域展開」
きん、と音がするほどに辺りの温度が下がっていく。
きらきらと輝く氷の欠片が空から舞い落ちてくるのを見てサハード公爵が白い息を吐く。
「氷魔法、か」
サハード公爵の足元が凍りついていく。
「これほどの威力の氷魔法は、初めて見た」
「驚くのはこれからですよ、サハード公爵」
俺は、にぃっと笑った。
「アイスランス」
俺の前方に巨大な白い魔方陣が浮かび上がる。
そこから巨大な氷の槍が現れてサハード公爵の腹を突き破る。
「なんだと?」
俺とサハード公爵は、ほぼ同時にその言葉を口にしていた。
サハード公爵が立っていた場所に深々と突き刺さっている氷の槍。
だが、そこに彼の姿はなかった。
「くっ!」
俺が背後を振り向くとサハード公爵の拳が空を切る。
紙一重で避けた俺にサハード公爵がにぃっと笑った。
「お前、面白いな!」
「ちっ!」
俺は、舌打ちすると次の魔法を繰り出す。
「凍りつけ!」
一瞬、サハード公爵の動きが停止する。
俺は、ふっと笑みを浮かべる。
「な、にを、した?」
白銀に飲み込まれていくサハード公爵に俺は、教えてやる。
「あんたの体内にある水を凍らせただけだ」
人間の体内の70パーセントが水分である以上、人は、俺と闘って勝つことはできない。
それは、魔族も同じだ。
だって、俺は、体内の水分をコントロールすることだってできるんだから!
俺は、凍りついていくサハード公爵に背を向けると歩き出した。
と。
「面白い……」
サハード公爵の呟きとともに急激に魔力が膨れ上がるのを感じて俺は、後ろを振り向いた。
「二人とも、これは、親善試合だということを忘れないように」
審判をつとめる魔法学の教師であるレーン先生が俺とサハード公爵に告げると右手を振り上げる。
「それでは、両者、心置きなく善戦するように!」
レーン先生の手が振り下ろされると同時にサハード公爵が俺に襲いかかってくる。
目にもとまらない速さの拳が繰り出されるのを俺は、体をそらしてかわしていく。
しばらく攻撃を続けるとサハード公爵は、動きを止めた。
うん。
呼吸一つ乱れてはいない。
まあ、俺もだけどさ。
サハード公爵は、すごく嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「私の拳を全て避けるとは。なかなかやるな、婚約者殿」
いや。
俺は、剣を持ってるのにあんた、素手じゃないか!
俺は、初めて背筋が冷たくなっていた。
剣も持たずにこれとは。
俺は、ぼろぼろになったローブを見て息を飲む。
「勝負は、これからだ」
俺が手に持っていた剣を背後に向かって投げ捨てるのを見てサハード公爵が怪訝そうな顔をする。
「なぜ、剣を捨てる?」
「あなたが剣を持たないのに俺だけ剣を持つのは公平じゃない」
俺が言うとサハード公爵が笑い声を上げた。
「これは!か弱い人間相手の試合故、ハンデをくれてやったつもりだったんだが」
「ハンデなんて、いらないし!」
俺は、すぅっと深呼吸をすると自分の魔力を辺りに拡大していく。
範囲は、この闘技場全域。
「ふっ。今度は、魔法戦か?」
サハード公爵が口許を歪める。
「魔法戦で魔族に人が勝てるとでも?」
「勝てるかどうかは、見てから言えば良いさ」
俺は、両手を広げる。
「絶対零度領域展開」
きん、と音がするほどに辺りの温度が下がっていく。
きらきらと輝く氷の欠片が空から舞い落ちてくるのを見てサハード公爵が白い息を吐く。
「氷魔法、か」
サハード公爵の足元が凍りついていく。
「これほどの威力の氷魔法は、初めて見た」
「驚くのはこれからですよ、サハード公爵」
俺は、にぃっと笑った。
「アイスランス」
俺の前方に巨大な白い魔方陣が浮かび上がる。
そこから巨大な氷の槍が現れてサハード公爵の腹を突き破る。
「なんだと?」
俺とサハード公爵は、ほぼ同時にその言葉を口にしていた。
サハード公爵が立っていた場所に深々と突き刺さっている氷の槍。
だが、そこに彼の姿はなかった。
「くっ!」
俺が背後を振り向くとサハード公爵の拳が空を切る。
紙一重で避けた俺にサハード公爵がにぃっと笑った。
「お前、面白いな!」
「ちっ!」
俺は、舌打ちすると次の魔法を繰り出す。
「凍りつけ!」
一瞬、サハード公爵の動きが停止する。
俺は、ふっと笑みを浮かべる。
「な、にを、した?」
白銀に飲み込まれていくサハード公爵に俺は、教えてやる。
「あんたの体内にある水を凍らせただけだ」
人間の体内の70パーセントが水分である以上、人は、俺と闘って勝つことはできない。
それは、魔族も同じだ。
だって、俺は、体内の水分をコントロールすることだってできるんだから!
俺は、凍りついていくサハード公爵に背を向けると歩き出した。
と。
「面白い……」
サハード公爵の呟きとともに急激に魔力が膨れ上がるのを感じて俺は、後ろを振り向いた。
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