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5 幸せの意味は

5ー3 パーティーにて

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   その夜、王は、すこぶる機嫌がよかったのだという。
   王は、アリーに言った。
  「明日の実験とやら楽しみにしている。通信というものが、本当に可能になれば、戦にも役立つだろうからな」
   「はっ・・技師たちも王のお言葉をありがたく受け取っていることでしょう。明日は、うまくいくように誠心誠意がんばることでしょう」
    アリーは、王に膝を折った。王は、アリーを冷たい青い目で見つめていた。
   「だが、今日も、ユヅキ・マージナルとは、会えないというわけか?」
   「彼は、・・その、病弱で王都から離れることができないのです」
  王がすぅっと目を細める。アリーの頬を汗が伝う。
   王は、言った。
   「まあ、よい。そのうち、必ず、会うことになるだろうしな」
   王から解放されたアリーは、ホッと吐息をついた。
   手が、微かに震えている。
   僕は、アリーに申し訳なく思った。
   そのとき、事件が起こった。
   王に酌をしていたメイドの女の子が酒の入った瓶を落として割ってしまったのだ。
   「も、申し訳ございません」
    少女は、すぐに、割れた瓶を片付けようとした。だが、王は、冷ややかに少女を見下すと言った。
   「こんなことも、まともにできないのか?この女を牢へ連れていけ!見せしめに、明日、朝、処刑にしろ!」
    「はっ!」
    すぐに警備の兵士たちが、真っ青になっている少女を連れ出そうとした。少女は、懇願した。
   「どうか、お許しを!アウデミス王」
     けれど、王は、少女を冷たく見据えたままだった。
   「早く、連れていけ!」
   「ぐっ・・」
    少女が兵士の腕を振り払うと、割れた瓶の破片を握りしめ王へと飛びかかった。
   「死ね!アウデミス!」
   王は、身動き1つせずに、椅子に座ったまま、少女を眺めていた。
   いや、笑ってる?
   その瞬間。
   ほんの瞬きするほどの時間の間だ。
  少女を王の背後から伸びた黒い影が捉えた。
   手足を掴み、身動きできなくなった少女の胸を貫いた。
   「うぐっ!」
    そして。
    少女は、崩れ落ちた。
   王は、言った。
   「はやく片付けろ。目障りだ」
   アーシェが。
   獣化しようとしているのを、僕は、素早くストレージへと取り込んだ。
   誰もが少女の方に意識を向けていた筈だった。
   だが。
   王は、にやりっと笑った。
   僕を、見ている?
   僕は、アリーにそっと囁いて、会場を後にした。
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