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8 愛は、死にますか?
8ー5 オークさん
しおりを挟む僕は、ドアからそっと外を覗いてみた。ドアの外には、誰もいなかった。僕は、頭を引っ込めると、アリアに言った。
「誰もいないよ」
僕らは、廊下に出ると、地下へと降りる階段を探した。
アリアが覚えている地下への入り口は、鍵がかかっていたけど、ドアごとストレージに取り込んでみたら、あっさりと通れた。
僕は、通ったあとは、ストレージから元通りにドアを戻しておいた。
地下に向かう階段は、真っ暗だった。
「光よ!」
アリアが灯りを灯してくれたので足元は、すぐに明るくなった。
僕らは、地下へと降りていった。
階段は、どこまでも続いていてその先は、見えなかった。
「城にこんなところがあったなんて・・」
アリアが呟いた。
辺りは、ひんやりとしていたけど、冬とは思えないぐらい暖かかった。静かで、僕たちの歩く、カツンカツン、という足音だけが響いていた。
僕らは、何時間も地下へと歩き続けた。
きっと、もう、僕らがいないことにマリアンヌも気づいているはずだった。
どれでも、僕らは、歩き続けていた。
一番下へと着いたとき、少し、広い場所にでたのだが、前に進もうとすると、何か僕の首筋に冷たい水滴のようなものが滴ってきた。
上を向くと、そこには、巨大なオークが立っていた。
「気を付けろ!ユヅキ。ハイオークキングだ!」
アリアが叫んだのに、僕は、言った。
「違う!これは、ハイオーククィーン、だよ!」
「はい?」
アリアがハトマメ状態になって、僕をじっと見つめた。
僕は、言った。
「『ヒヨコ鑑別士』の目は、ごまかせないぞ。このオークは、女の子だ!」
「えっ?」
アリアが僕に言った。
「でも、その、胸もないし、股間に・・あ、あれ、が・・」
「あれがついてたらみんな男って訳じゃないんだよ!」
僕は、言った。
「この子は、たぶん、心は、優しい女の子だよ」
僕が言うと、オークがしくしくと泣き出した。
「だ、大丈夫?オークさん?」
「ぐぉっ・・ぐぉおっ・・(あたしのこと、やっと、わかってくれる人が・・あなたが初めてよ・・)」
僕の心に直接、彼女の魂の言葉が伝わってくる。
僕は、オークさんの頭をそっと撫でてやった。
「もう、大丈夫だよ。こんなところ、君には相応しくない。みんなのところへお行き」
僕は、そのオークさんをストレージへと取り込んでやった。
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