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5 戦争とか青春とか

5ー4 戦争の後で

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 5ー4 戦争の後で

 その週は、俺は、忙しかった。
 図書館で簿記3級の本を借りてきてお勉強にいそしんだり、少しでも異世界に持ち込むものを買うための金を工面すべくアルバイトを始めたり。
 俺は、学校に行く前に新聞配達と牛乳配達のアルバイトを始めた。
 朝早くからの労働は辛かったが、これが異世界で富を産み出すもとになるのだと思えば頑張れた。
 周囲の連中は、俺のことを真面目な苦学生だと勝手に誤解しているようで俺にいろいろ差し入れをしてくれた。
 主に食べ物なのは、うれしかった。
 弁当代が浮くからな。
 こうしてコツコツと俺は、小遣いを貯めては、異世界にいろいろな物資を持ち込むことを計画した。
 塩は、意外と重宝された。
 塩の製法は、やはりそれほど発達していないようで『アロアナード』では、塩は、貴重なものだった。
 そして、砂糖。
 これは、お貴族様方に高値で売れた。
 これらを扱うレナード商会は、地味だが確実に儲けを出していた。
 それにハギレで作ったシュシュやらの小物や、衣類が結構売れていた。
 特に、下着類は、好評だった。
 こちらの世界では、下着という文化は、まだあまりなかった。
 だから俺の持ち込んだ下着は、最初、あまり受け入れられなかった。
 だが、一部の人々からピンポイントで注目されるようになっていた。
 それは、風俗関係の方々だ。
 なんでも下着姿で客の前に出ると客が喜ぶんだそうだ。
 そりゃ、そうだろうな。
 戦争はというと、なんと絶望的と思われていたリドリー王国がおしているらしかった。
 あの小型のドラゴンたちが活躍しているらしい。
 まず、ドラゴンにびびって敵の兵士たちの士気がダダ下がりなのだという。
 それを見逃すアーガシュ伯爵ではない。
 一気に攻め込んで敵は、総崩れ。
 どうやら勝ち戦っぽい感じになっているとのことだった。
 よくわからんが、よかった。
 ルーナは、他の街から仕入れた物資をどんどんアーガシュ伯爵へと売り付けていたし、ほんと、戦争って儲かるな!
 こうして一ヶ月ほどすると無事戦争も終わっていた。
 やれやれという感じだな。
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