週末異世界成り上がり周遊記～バナナはおやつに入りますか？～人造人間と黒猫は、スローライフを夢見るか？

8 新しい街と新しい仲間

8ー5 美女のお誘い？

　８ー５　美女のお誘い？

　週の半ば頃のことだ。
　俺は、近衛の職場の人間に呼び出されて会うことになった。
　それというのは、例の神殺しの件のせいだった。
　近衛のおっさんが夕食時に犯人探しで忙しいとかいているのをきいたミミアスの奴がぺろりとしゃべりやがった。
　そのせいで俺は、またまた厄介なことに巻き込まれてしまうことになった。
　放課後に近衛のおっさんの上司とやらに指定された学校の近くの喫茶店に行くと入り口で近衛のおっさんが待っていた。
　いや、あんたがそこに立ってると店の営業妨害になるんじゃね？
　そういいたげにおっさんを見上げた俺に近衛のおっさんは、ムスッとした表情で告げた。
　「ついてこい」
　歩き出した近衛のおっさんの後ろについていく。
　喫茶店は、結構混んでいて騒がしかった。
　その中を近衛のおっさんに案内されて俺たちは、奥の他の席とは少し離れた場所に通された。
　そこに待っていたのは、金髪碧眼の美女だった。
　近衛は、俺たちを案内すると何か言いたそうな顔をしたが、すぐに去っていった。
　「座りなさい」
　美女は、俺に命令した。
　俺とミミアスは、黙って美女の前の席に腰を下ろした。
　俺の視線は、自然と美女の大きく開かれた胸元へと向かってしまう。
　いや。
　どこのグラビアから出てきたかと思わされるほどの迫力のあるわがままボディだし。
　ボンキュッボンのナイスバディを地味なスーツに押し込んだその美女は、俺ににっこりと微笑んだ。
　「君とは、はじめまして、だったな。柴崎　薫くん」
　美女に言われて俺は、頷いた。
　「そうだと思いますよ。記憶にないんで」
　絶対にこんな美女に会っていれば例え死んで転生しても覚えていそうだし。
　美女は、なぜかちょっと寂しげな様子で俺を見ていた。
　「君の・・お兄さんとは、親しくさせてもらっていたんだがな。そうか。君とは、はじめてだったな」
　美女は、少し憂いを秘めた笑みを浮かべると俺に名乗った。
　「私は、君の父上が所属する組織『セフィロス』の一員であり、この極東の地の将を任されているアニタ・グランデだ」
　「はぁ」
　俺は、美女から名刺を受け取ると応じた。
　「俺は、柴崎　薫。こっちは、ミミアスです」
　すでに注文が伝えられていたのか店の店員がやってきて俺たちの前にコーヒーをおいていく。