異世界カフェの雇われ店長になりました~常連の騎士様や幼馴染みの聖者の熱愛に絆されそうです~

トモモト ヨシユキ

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1ー7 初恋

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 1ー7 初恋

 夕方にオーナーが店を去ってから僕は、調理場を片付けると店を閉めて三階の自室へと戻った。
 ベッドに腰を下ろしてぼんやりと窓の外に目をやる。
 遠くに王城の灯りが見える。
 総一郎。
 僕は、ふぅっとため息をついて頭を振った。
 僕が心配しても仕方ないことだし。
 僕は、この世界でもなんの力も持たないモブだ。
 聖者の力になれることなんて何もない。
 僕は、片手で頬を押さえるとあの日の出来事を思い出していた。
 それは、僕と総一郎がまだ15歳だった頃のこと。
 当時、僕は、お菓子作りの教室の先生に憧れていた。
 憧れっていってもほんとにほのかな、幼い恋だ。
 僕は、毎週、教室に通って先生に会えることを楽しみにしていた。
 だけど。 
 総一郎に好きな子がいるかってきかれたとき、僕が頷くと総一郎は、きっと僕を睨み付けた。
 「それって、あの料理教室の先生?」
 しばらく悩んだけど僕は、総一郎に告白したんだ。
 僕は、周先生のことが好きだって。
 「そんなの、ダメに決まってるだろ!」
 総一郎は、激しく僕をなじった。
 「あいつは、男なのに!」
 そう。
 僕は、男の人に恋していたんだ。
 いつ頃からだったか。
 気がつくと僕は、同性のことが好きになっていた。
 子供の頃からずっと、好きになるのは男の人だった。
 そういった恋は、すべてが僕の胸の内だけで密かに終わっていったのだが、このとき、僕は、初めて自分以外の人に話してしまった。
 総一郎は、僕の頬をぶった。
 「穢らわしい!」
 それから僕と総一郎が口をきくことはほぼほぼなかった。
 僕は、総一郎に拒まれたショックで登校拒否になってしまって。
 それでも高校は、なんとか通って卒業した。
 僕は、登校拒否になってからも、ずっとお菓子作りの教室には通い続けていた。
 それは、ちょっとした総一郎への反抗だったかもしれない。
 でも、お菓子作りも周先生のことも僕は、嫌いになれなかったんだ。
 大学に入ったとき、僕は、ついに周先生に告白した。
 周先生は、僕の幼い恋を受け入れてくれて僕らは、恋人同士になったんだ。
 まあ、時々、デートしたりするだけのかわいい、お遊びみたいな恋人だったんだけど、僕は、天にも上る気持ちだった。
 でも。
 幸せは、そんなに長続きはしなかった。
 周先生には、別に好きな人がいたんだ。
 つまり、僕は、二股かけられてたってこと。
 それを知っても僕は、涙も出なかった。
 なんでかな。
 悲しかったけど、ただ、それだけで別に涙が出るほどのことじゃなかった。
 周先生と別れたその日、マンションの下で総一郎に会った。
 総一郎は、昔とちっとも変わっていなくて。
 僕は、なんだか懐かしさと胸の痛みを感じていた。
 金髪に青い瞳のハーフというより外国人そのものって感じの外見もそのままで。
 もっさりしている僕とは、ほんとに正反対の存在だ。
 総一郎は、僕と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
 重々しい雰囲気に僕は、堪えられなくて口を開いた。
 「今日、振られたんだ」
 「ええっ?」
 振り向いた総一郎に僕は、つらつらと話していた。
 周先生とのこと。
 先生に最終的に振られたことも。
 総一郎は。
 僕に背を向けて肩を震わせていた。
 静かに、嗚咽している総一郎に僕は、意味がわからなくて。
 
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