異世界カフェの雇われ店長になりました~常連の騎士様や幼馴染みの聖者の熱愛に絆されそうです~

トモモト ヨシユキ

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2 カフェ『黒猫』

2ー2 社交の季節

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 2ー2 社交の季節

 徐々に僕は、この店に馴染んでいった。
 お客様たちは、みな、この店では、乙女になる。
 僕の仕事は、乙女たちを美味しいスウィーツでおもてなしすることだ。
 乙女たちは、みな、僕のいれるお茶とお菓子の虜になった。
 店は、毎日、盛況だった。
 乙女のお客様が来る日は、あの人は、来ない。
 それが、僕は、なんだか少しだけ寂しく思われた。
 いやっ!
 何、寂しく思ってるの?
 僕は、ぶんぶんと頭を振った。
 別に、僕は、グレイシス様のことなんて考えてないし!
 この店に乙女のお客様が来るときは、グレイシス様は、店の外で待つことになっている。
 グレイシス様は、オーナーの護衛だから離れることはできない。
 けど、ここに外の人間関係を持ち込むことを嫌ったオーナーとの取り決めで本当のお客様がきているときはグレイシス様は、店には入れない。
 「別に女装すれば入ってもいいのよぉ」
 オーナーは、ふふっと笑った。
 「なのに、あの人、女装は嫌なんですって。こんなに楽しいのに!」
 僕は、遠い目をしていた。
 確かに、ここにくるお客様たちは、いい人たちだし、なんだか可愛らしいといえないこともない。
 でも。
 グレイシス様が女装しているところは想像できない。
 オーナーは、僕にも女装をすすめてくるのだが、それは、やんわりとお断りしている。
 僕は、けっこう童顔なのでよく女の子に間違われることがあった。
 それが、子供の頃からコンプレックスだったのだ。
 だから、女装するお客様たちのことは、尊重したいが、自分は、女装はしたくない。
 僕が固くなに断るのを見てオーナーは、すごく残念そうな顔をしていた。
 「アイは、きっと、ドレスとリボンが似合うのに」
 そうかもしれない。
 だけど、それは、僕が嫌なんだ!
 そうして僕がカフェの雇われ店長になって数ヵ月が過ぎた。
 朝、カフェの入り口のドアを拭きながら僕は、ふと空を見上げた。
 灰色の空は、今にも泣き出しそうに見える。
 僕は、白い息を吐いた。
 僕と総一郎がこの世界に召喚された頃は、暖かかったけど、今は、この世界は、冬のようだ。
 寒さに震えながら僕が足早に店内に戻るとオーナーがふぅっとため息を漏らした。
 「そろそろ社交の季節、ね」
 「社交の季節?」
 オーナーが説明してくれたことによるとこのグランティス王国では、冬は、貴族にとって社交に励む季節なのらしい。
 夏は、地方で暮らしていた貴族たちは、冬が来ると王都に集って社交界の活動に精を出す。
 お茶会、音楽会、観劇、それに舞踏会。
 まあ、華やかな社交界のことなど僕には、関係ないんだけど。
 
 
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