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5 歴史は、繰り返す?
5ー3 エスコート
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5ー3 エスコート
目覚めたときには、ロタは、いなかった。
「は、はっ・・それは、変わらない、のか」
俺は、ベッドの中でみじろいだ。
絶望にうちひしがれる。
そのとき。
「おはようございます、オルナム様」
ロタの声が聞こえて。
俺は、目を開けた。
だが、そこにロタは、いない。
かわりにあったのは、一振の剣だった。
銀色の人ほどの大きさがある大剣だ。
美しく繊細な細工が施されたその剣を俺は、抱き寄せた。
剣は、血肉を持つように温かかった。
「ロタ・・お前なのか?」
それは、俺が新しく得た力だった。
ロタ。
ローエルタール。
失われた神代の剣。
この世界の全てを見てきた神剣だ。
ローも手にできなかった神剣が今、俺の手にあった。
「これで運命を変えろ、ということか」
俺は、魔法学園に戻った。
ロタの代わりに大剣を背負って戻ってきた俺をみな、腫れ物を扱うようにして接してきた。
俺は、それを利用していた。
うん。
みな、俺がロタを失って傷つき落ち込んでいると思っているせいか、前のように馴れ馴れしく口説いたりボディタッチしたりしてこない。
俺は、勉強に打ち込んだ。
女たちは、俺を取り巻いたまま、近づいてはこなかった。
しかし、願わくはこのままで卒業まで過ごせたら、という俺の願いは、あっさりと破られた。
図書館で本を探していた俺にアウラ王女殿下が声をかけてきた。
「オルナム」
「なんです?アウラ王女殿下」
俺は、本を探しながら訊ねた。
アウラ王女殿下は、俺が探していた魔法学の本を差し出して頭を下げた。
「頼む!私と学期末のパーティーに行ってくれ!」
はい?
俺は、きょとん、だった。
てか、そういう行事もあったな、そういえば。
「俺は、あなたの姉上様の婚約者なんですけど」
「この度、エルガーナ辺境伯からの願い出が認められ、姉上との婚約が取り消されることになった」
アウラ王女殿下が頭を下げたまま告げた。
「要するにお前は、今、誰のものでもない。なら、私が誘ってもかまわないだろう?」
うん。
俺は、なぜか、笑っていた。
「いいですよ」
「そうか・・?」
がばっとアウラ王女殿下が顔をあげた。
「私にエスコートさせてくれるのか?オルナム」
「はい」
俺が頷くと、アウラ王女殿下は、ガッツポーズをした。
「やったっ!私は、やったぞ!」
「その代わり、といってはなんですが」
俺は、少しいたづらっぽく笑った。
「俺が故郷に帰っていた間のノートを写させてください」
「それぐらいのこと」
実は、アウラ王女殿下は、脳筋にみえて頭もいい。
しっかりとノートもきれいにとっていることを俺は、知っていた。
目覚めたときには、ロタは、いなかった。
「は、はっ・・それは、変わらない、のか」
俺は、ベッドの中でみじろいだ。
絶望にうちひしがれる。
そのとき。
「おはようございます、オルナム様」
ロタの声が聞こえて。
俺は、目を開けた。
だが、そこにロタは、いない。
かわりにあったのは、一振の剣だった。
銀色の人ほどの大きさがある大剣だ。
美しく繊細な細工が施されたその剣を俺は、抱き寄せた。
剣は、血肉を持つように温かかった。
「ロタ・・お前なのか?」
それは、俺が新しく得た力だった。
ロタ。
ローエルタール。
失われた神代の剣。
この世界の全てを見てきた神剣だ。
ローも手にできなかった神剣が今、俺の手にあった。
「これで運命を変えろ、ということか」
俺は、魔法学園に戻った。
ロタの代わりに大剣を背負って戻ってきた俺をみな、腫れ物を扱うようにして接してきた。
俺は、それを利用していた。
うん。
みな、俺がロタを失って傷つき落ち込んでいると思っているせいか、前のように馴れ馴れしく口説いたりボディタッチしたりしてこない。
俺は、勉強に打ち込んだ。
女たちは、俺を取り巻いたまま、近づいてはこなかった。
しかし、願わくはこのままで卒業まで過ごせたら、という俺の願いは、あっさりと破られた。
図書館で本を探していた俺にアウラ王女殿下が声をかけてきた。
「オルナム」
「なんです?アウラ王女殿下」
俺は、本を探しながら訊ねた。
アウラ王女殿下は、俺が探していた魔法学の本を差し出して頭を下げた。
「頼む!私と学期末のパーティーに行ってくれ!」
はい?
俺は、きょとん、だった。
てか、そういう行事もあったな、そういえば。
「俺は、あなたの姉上様の婚約者なんですけど」
「この度、エルガーナ辺境伯からの願い出が認められ、姉上との婚約が取り消されることになった」
アウラ王女殿下が頭を下げたまま告げた。
「要するにお前は、今、誰のものでもない。なら、私が誘ってもかまわないだろう?」
うん。
俺は、なぜか、笑っていた。
「いいですよ」
「そうか・・?」
がばっとアウラ王女殿下が顔をあげた。
「私にエスコートさせてくれるのか?オルナム」
「はい」
俺が頷くと、アウラ王女殿下は、ガッツポーズをした。
「やったっ!私は、やったぞ!」
「その代わり、といってはなんですが」
俺は、少しいたづらっぽく笑った。
「俺が故郷に帰っていた間のノートを写させてください」
「それぐらいのこと」
実は、アウラ王女殿下は、脳筋にみえて頭もいい。
しっかりとノートもきれいにとっていることを俺は、知っていた。
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