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5 歴史は、繰り返す?

5ー7 花ですか?

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 5ー7 花ですか?

 「俺がバルトレット様との婚約を破棄させていただいたのは、実家の跡を継ぐためでございます」
 俺は、二人に説明した。
 「決してバルトレット様に不服があったからではございません」
 いや。
 不服あったけどさ。
 「俺は、領地を継ぐので王配にはなれません」
 俺の言葉をきいて二人は、黙り込んだ。
 やがて、バルトレット王女殿下がほっとした様に口を開いた。
 「そうか。私が嫌いになったわけではないのだな」
 いや。
 嫌いだし!
 俺は、バルトレット王女殿下に頷いた。
 「だから、穏便にことをすませようとしたんです」
 「それなら大丈夫だ」
 アウラ王女殿下が満面の笑みを浮かべた。
 「我々のどちらかが女王になるのはまだ先の話だ。お前は、それまでは辺境伯として領地を守ればよい。我々の王配となる準備ができ次第、王家に入ればよいと母上も言われていた」
 マジで?
 俺は、言葉につまる。
 二人の王女殿下たちは、鼻息も荒く俺に迫ってくる。
 どうしたらいいんだよ?
 俺は、二人を涙目で伺いながら訊ねた。
 「でも・・そんなこと宰相が反対されるのでは?」
 「いや!」
 バルトレット王女殿下がきっぱりと応じた。
 「この共有婚約者の話を考えたのは、宰相であるクルシーア卿だ」
 はい?
 俺は、心底驚いていた。
 なんであの女が俺を?
 聖者は、どうしたんだよ?
 「クルシーア卿は、お前を高くかっているようでな。なにしろ魔族をたった1人で狩れるほどの騎士だからな」
 確かに、魔物なら簡単に倒せないこともないが、魔族となると騎士団が総員で戦ってもやっと互角に戦えるって程度だ。
 俺の価値は、国からすればかなりのものかも。
 でも。
 「俺は、ただの辺境伯で十分なんですが・・」
 俺は、二人を上目使いに見た。
 王女殿下たちは、一歩も引く気配がない。
 「正式な発表は、後日になるがどうしても姉上がこの場でみなに伝えたいと言われてな」
 アウラ王女殿下がふふっと笑う。
 「まあ、私もその方がいいかと思ったのだ。なにしろ、お前は、学園の花といわれるぐらい人気者だしな」
 マジですか?
 俺は、本気で驚いていた。
 俺が、魔法学園の花?
 人気者?
 「知らなかったのか?」
 アウラ王女殿下がはぁっとため息をつく。
 「まったく。お前は、隙がありすぎるのだ。だから、はやく我々のものだと発表したかったのだ」
 
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