死に戻り悪役令息は、魔法騎士になって無双する～男女逆転世界に転生した俺は、なぜか、王女殿下たちから溺愛されてます～

5 歴史は、繰り返す？

5ー8 お前は、笑った顔の方がいい

　５ー８　お前は、笑った顔の方がいい

　「今までは、おまえの従僕であったあの女がお前を守っていたがあれがいなくなった以上は、我々がお前を守らねばなるまい」
　バルトレット王女殿下は、そういってからはっと口許を押さえた。
　「すまん」
　俺は、バルトレット王女殿下をほんの少し愛おしく思ってしまった。
　この人なりに俺を気遣ってくれているのか。
　「と、とにかく」
　アウラ王女殿下が俺の腕を掴んで俺を引っ張った。
　「踊るぞ！オルナム」
　「あっ！こら、私が先だろうが！」
　俺は、まばゆいパーティー会場の真ん中でアウラ王女殿下とダンスを踊った。
　俺は、ダンスが苦手だ。
　あまり練習してないせいかもしれない。
　子供の頃は、よくロタがパートナーをつとめてくれたんだが、成人してからは,
ダンスなんて踊ったことがなかった。
　俺は、子供の頃のロタのことを思い出した。
　ロタは、ほんとに居たのだろうか。
　いつからローエルタールだったのか。
　それとも最初からロタは、存在しなかったのだろうか。
　最初からローエルタールだけが存在していたのか？
　俺がそんなことを考えているとアウラ王女殿下が俺の鼻をつまんで引っ張った。
　「い、痛いです！」
　「私と踊っているときに他の女のことを考えていただろう」
　アウラ王女殿下は、俺と踊りながら耳元で言った。
　「もっと気を入れろ！」
　曲が変わると次は、バルトレット王女殿下が相手だった。
　アウラ王女殿下と違って小柄なバルトレット王女殿下だったが、ダンスが下手な俺をうまくリードしてくれた。
　「さっきは、何をアウラに言われていたんだ？」
　バルトレット王女殿下が俺を上目使いに見上げて訊ねた。
　「気になりますか？」
　俺がきくとバルトレット王女殿下は、少しむっとしいた。
　「気になるに決まっておるだろうが！」
バルトレット王女殿下が視線を反らした。
　「惚れた男のことなんだからな！」
　そんなこと言われたのは、初めてだった。
　長いこと婚約していたけど、この人にそんなこと言われたのは初めてだ。
　俺は、バルトレット王女殿下の頬を赤らめた表情がなんだかおかしくて笑った。
　らしくないっての？
　バルトレット王女殿下は、俺が笑っているのをぽかんと見ていた。
　もしかして不敬だとか言われるかな？
　俺がそう思っていたらバルトレット王女殿下がふっと口許を和らげた。
　「お前は、笑った顔の方がいい」