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7 領地開拓ですか?

7-8 秘薬

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 7ー8 秘薬

 俺は、魔法学園に戻る前に辺境の森の開拓計画書を母上に提出した上で、あとの開拓を母上と家令に任せることにした。
 大まかなところは、俺が片付けているので後は、領民たちを指揮して町を作ってもらうだけだ。
 それから。
 俺は、エルガーナ辺境伯領から王都のバルトレット王女殿下に手紙を書いた。
 『会いたいからすぐにきて欲しい』
 この手紙を俺は、小型の手紙や荷物を運んでくれる貸し翼竜の背にくくりつけてバルトレット王女殿下のもとへと届けてもらった。
 バルトレット王女殿下がこのエルガーナの地へと訪れたのは、それから3日後のことだった。
 はやっ!
 ボロボロになって息をきらせて目だけギラギラさせているバルトレット王女殿下は、竜馬から飛び降りると俺の待つ応接室へと駆け込んできた。
 「オルナム!きたぞ!」
 「ずいぶんと速かったですね、バルトレット様」
 俺は、ロタと一緒に台所で薬を作っていた。
 それは、ちょっとした怪我や病気を直せる治癒薬だ。
 山でとってきた貴重な薬草を組み合わせて作った。
 この薬は、昔、俺がローだった頃には、よく薬局で売っていた薬なんだが、 今では、幻の薬となっている。
 それを俺は、前世の知識を駆使して再現した。
 この世界では、薬は、貴重なものだ。
 俺は、これをエルガーナの地で再び生産して売り出そうと思っているのだ。
 母上たちには、この薬の効力を実際目にしてもらった。
 ちょっと庭の手入れで傷ついていた父様の手の傷を癒した薬に母上が息を飲んだ。
 母上は、自ら腕に刃で切り傷をつけると俺の作った薬の小瓶を手に取った。
 母上の腕から流れ落ちている真っ赤な血を湯で濡らした布でそっと拭うと破れた服を脱ぎ捨てて俺の方へと手を伸ばした。
 俺は、頷くと母上の腕の傷にゆっくりと小瓶に入れたものをかけていく。
 すると。
 一瞬で傷が消える。
 「これは!」
 母上が驚いているのを見て俺は、説明した。
 「魔法学園の図書館にあった古書を参考にして作りました。この薬の他にもいくつか役立ちそうな薬がありましたから作り方をメモしておきました」
 「これは、いったい何と言う薬なんだ?オルナム」
 母上に訊ねられて俺は、答えた。
 「この薬は、かつてポーションと呼ばれてたそうです」
 
 俺は、バルトレット王女殿下にもこの治癒薬を見せた。
 「ポーション、か」
 薬の説明をきいたバルトレット王女殿下は、薬の小瓶を光に透かし見た。
 「なんという便利な薬だ」
 バルトレット王女殿下が興奮した様子で言った。
 「その薬のレシピを王国で買い取ろう!」
 「いえ、これは、お売りできかねます」
 俺は、バルトレット王女殿下に答えた。
 「これは、我がエルガーナ辺境伯領の秘薬でございますから」
 
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