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8 恋か、愛か

8ー4 断末魔

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 8ー4 断末魔

 それから。
 女は、時間をかけて俺を貪った。
 ゆっくりと楽しみながら俺を凌辱していく。
 「どうした?」
 女が楽しそうに言った。
 「人を呼んでもいいんだぞ、オルナム」
 「あっ・・」
 俺は、下腹部を穿たれながら涙を流していた。
 女は、クリスティアと名乗った。
 なんでも魔族の四天王の一人であり最強の者らしかった。
 俺は、壁に氷の刃で縫い付けられたまま、死ぬことも許されずにいた。
 この状況を打破するためには、誰かを呼ぶしかなかった。
 今、俺は、この部屋に人払いの魔法をかけていた。
 俺とこの女の戦いに巻き込まれて死ぬ者がいないようにという配慮だったが、もう、そんなことは言っていられなかった。
 俺だって、自分がかわいい。
 これ以上、この女になぶられるぐらいなら誰か、罪のない者を巻き込んで状況を変えたい。
 俺が魔法を解こうと考えたとき、耳元でロタがささやく声が聞こえた。
 「仕方がない人ですね」
 俺は、心の中でロタを責めた。
 なぜ、ロタは、俺を助けようとしないのか。
 俺は、目でローエルタールの姿を探した。
 どこに、いる?
 「助けて欲しいなら、そう言ってください、オルナム様」
 ローエルタールの銀色に輝く姿が魔族の女の背後に見えた。
 「邪魔をするな!」
 クリスティアが後ろを振り向く。
 「今、私は、この男を楽しんでいるのだ!」
 「それは」
 ローエルタールの声が響く。
 「私のもの、だ」
 ローエルタールがクリスティアの腹を貫く。
 それと同時にローエルタールから光の触手のようなものが無数に伸びていく。
 「な、んだ?これは」
 ローエルタールから伸びた触手は、あっという間にクリスティアのことを包み込んでいく。
 そして。
 クリスティアが干からびていくのがわかった。
 「なん、だと?」
 「お前は、私のものを傷つけた」
 ローエルタールが低くささやく声が部屋の中に静かに聞こえた。
 「その罪、死をもって償うがいい」
 クリスティアが魔力を吸われてミイラのように萎びていく。
 クリスティアの力から解放され自由になった俺は、最後の力で炎の刃を作った。
 「死ぬがいい、この化け物が!」
 俺が炎の刃を突き立てるとクリスティアが断末魔の叫びをあげた。
 
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