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8 恋か、愛か

8ー10 星空

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 8ー10 星空

 俺とロタは、星観月の祭りの夜を二人で過ごした。
 といっても魔法学園の近くの高台に出掛けてそこから夜空を眺めただけだがな。
 バルトレット王女殿下とアウラ王女殿下は、忙しくて王城を抜け出せなかったらしい。
 なにしろ、長年小競り合いを続けてきた隣国バサーラ王国との和平が決まったのだ。
 母上から順調に交易の中心地となる町の建設も進んでいるという知らせが届いた。
 さらには、横穴を抜けた先の山村にも宿場町が作られているらしい。
 後、領都アルディスには、新しく商業ギルドの支店が作られたんだと。
 俺は、冬季休暇のおりに人工魔法回路をいくつか持ち帰れそうなことを母上に報告しておいた。
 工事にせよ、なんにせよ、魔法使いがいると便利がいい。
 母上は、近い内に領地で作られたポーションを王都の王城にある騎士団の詰め所へと持参すると返信を送ってきた。
 俺は、高台でロタと暖かい紅茶を飲みながら話した。
 「ポーション作りは、父様が中心になって進めてくれているらしいよ」
 薬草の栽培とか、薬の精製とかは、父様をリーダーとして領地の男たちが携わっている。
 今まで女に守られるしかなかった男たちが手に職をつけるいい機会だった。
 これからは、男女の分け隔てなく働ける社会になっていくだろう。
 俺は、お茶を飲み干すとほぅっと吐息をついた。
 「月が綺麗ですね」
 ロタが俺に言ったので、俺は、黙って頷いた。
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