死に戻り悪役令息は、魔法騎士になって無双する～男女逆転世界に転生した俺は、なぜか、王女殿下たちから溺愛されてます～

10 ダンジョンで無双ですか？

10ー7 ダンジョン無双

１０ー７　ダンジョン無双

　年も押し迫った頃、俺と落ちこぼれクラスの生徒たちの何人かは、クィンティラ・ダンジョンの中階層である第４層にいた。
　俺たちは、フェンリルの群れに囲まれていた。
　「いいか？オルナム殿。絶対に手を出すなよ！」
　落ちこぼれクラスたちのリーダー格である２年生の生徒、クラリス・セプティ－が俺に命じた。
　「この、あたしたちだけでクィンティラ・ダンジョンを攻略するんだからな！」
　「わかってる」
　俺は、両手をあげてみせた。
　「俺は、見てるだけだ」
　頷くとクラリスは、雄叫びをあげながら落ちこぼれクラスの連中と一緒にフェンリルの群れへと突進していく。
　彼女らの手には、それぞれ俺の開発した人工魔道回路があった。
　うん。
　彼女らは、まるで落ちこぼれといわれているとは思えない。
　今の彼女らは、戦いの神に見いだされし戦人たちにしか見えなかった。
　「ウインド・リッパー！」
　風の刃が獣たちの体を引き裂く。
　まさに、無双状態だ。
　特別クラスとの対抗戦に勝利した彼女らに女王陛下は、褒美を与えると伝えられた。
　そのとき、落ちこぼれクラスの生徒たちが望んだのがこれ、だった。
　いつも落ちこぼれとバカにされ、全校生徒でのクィンティラ・ダンジョンでの演習でも活躍どころか、隅っこで肩身の狭い思いをしてきた。
　そんな彼女らが女王陛下に望んだご褒美が人工魔道回路を使ってのダンジョン攻略だ。
　実は、このクィンティラ・ダンジョンは、低階層は、初心者向けのダンジョンだったが、深階層は、上級冒険者でも怯むような魔物がうろうろしているダンジョンだった。
　しかも、今まで誰も攻略した者がいない。
　そこを彼ら落ちこぼれクラスの面々の手で攻略しダンジョン史に名を刻もうというわけだ。
　まあ、俺の人工魔道回路があれば難なく攻略できそうだが女王陛下の命令で俺も付き添うことになった。
　今のところ、問題なく進んでいるし、俺の出る幕なんてなさげだ。
　俺とロタは、ダンジョン無双を楽しんでいる落ちこぼれクラスのみなさんの邪魔にならないように気を配りながら魔石を拾い集めていた。
　もう、大きめの皮袋に二つ分は、魔石が集まっているし、これは、冒険者ギルドでもちょっと話題になることだろうな。