43 / 90
5 過去と現在
5ー3 2回目
しおりを挟む
5ー3 2回目
着替えている俺を見てカルゼは、傷ついたような顔をして俺を見つめていたけど、俺は、夕べカルゼが脱ぎ捨てたヤーマン老の服を拾い集めると彼に手渡した。
「はやくこれを着て!」
速くしないとルトが来ちゃう!
きっと、いつまでも起きてこないから心配してる筈だ。それに、カルゼの方だってヤーマン老の護衛の人たちが待ってる筈だし。
俺に急かされてカルゼは、のろのろとヤーマン老の服を身に付けていくが、服が小さすぎてうまく入らない。しかもところどころ破れてるし!
結局、俺は、アンリの執務室へ行って適当に誤魔化して彼の服を借りることにした。アンリは、いぶかったが俺は、笑って誤魔化した。
アンリの服を身に付けながらカルゼは、まだ、俺を不服そうに見ていた。だが、俺は、決して態度を崩そうとはしなかった。
服を着終わってもカルゼは、まだ俺を何か言いたげな表情で見ていたがため息をつくと、しゅぅっと体を縮める。
次の瞬間には、もう、もとのヤーマン老の姿に戻っていた。ヤーマン老には、アンリの服は、ぶかぶかで俺は、慌ててヤーマン老のダブついたズボンの裾を折りあげた。
ヤーマン老は、シャツの袖をたくしあげながら俺に少し寂しげな笑みを浮かべて見せた。
「また、今夜、来る」
「ああ」
俺は、頷いた。
俺は、娼館の玄関までヤーマン老を見送った。去り際にヤーマン老は、俺の腕を掴むと引き寄せ頬にちゅっとキスをした。
「昨夜は、楽しませてもらったよ。今夜も来るからよろしく頼む」
なんだか悲壮さすら漂うヤーマン老の後ろ姿を見送ると俺は、部屋へと戻った。
部屋には、すでにルトが風呂桶を用意してくれていた。俺は、服を脱ぐと湯気の立つお湯へと体を沈めていった。
「ずいぶんお楽しみだったようだな」
ルトがベッドのシーツを交換しながら嫌みのように言うので俺は、顔が熱くなり頭までお湯の中に潜り込んだ。
カルゼ
俺は、湯の中で目を閉じたまま考えていた。
また、会えるなんて思ってもいなかった。
というか、俺、これが2回目の転生だったわけ?
1回目は、前世、異世界人だったときの俺。
その前がカルゼの探していた月の神だったリュカのときの俺。
俺は。
今生では、もと大魔法使いで、今、男娼である俺は、カークが好きで。
でも。
もともとの俺は、カルゼの番だった。
着替えている俺を見てカルゼは、傷ついたような顔をして俺を見つめていたけど、俺は、夕べカルゼが脱ぎ捨てたヤーマン老の服を拾い集めると彼に手渡した。
「はやくこれを着て!」
速くしないとルトが来ちゃう!
きっと、いつまでも起きてこないから心配してる筈だ。それに、カルゼの方だってヤーマン老の護衛の人たちが待ってる筈だし。
俺に急かされてカルゼは、のろのろとヤーマン老の服を身に付けていくが、服が小さすぎてうまく入らない。しかもところどころ破れてるし!
結局、俺は、アンリの執務室へ行って適当に誤魔化して彼の服を借りることにした。アンリは、いぶかったが俺は、笑って誤魔化した。
アンリの服を身に付けながらカルゼは、まだ、俺を不服そうに見ていた。だが、俺は、決して態度を崩そうとはしなかった。
服を着終わってもカルゼは、まだ俺を何か言いたげな表情で見ていたがため息をつくと、しゅぅっと体を縮める。
次の瞬間には、もう、もとのヤーマン老の姿に戻っていた。ヤーマン老には、アンリの服は、ぶかぶかで俺は、慌ててヤーマン老のダブついたズボンの裾を折りあげた。
ヤーマン老は、シャツの袖をたくしあげながら俺に少し寂しげな笑みを浮かべて見せた。
「また、今夜、来る」
「ああ」
俺は、頷いた。
俺は、娼館の玄関までヤーマン老を見送った。去り際にヤーマン老は、俺の腕を掴むと引き寄せ頬にちゅっとキスをした。
「昨夜は、楽しませてもらったよ。今夜も来るからよろしく頼む」
なんだか悲壮さすら漂うヤーマン老の後ろ姿を見送ると俺は、部屋へと戻った。
部屋には、すでにルトが風呂桶を用意してくれていた。俺は、服を脱ぐと湯気の立つお湯へと体を沈めていった。
「ずいぶんお楽しみだったようだな」
ルトがベッドのシーツを交換しながら嫌みのように言うので俺は、顔が熱くなり頭までお湯の中に潜り込んだ。
カルゼ
俺は、湯の中で目を閉じたまま考えていた。
また、会えるなんて思ってもいなかった。
というか、俺、これが2回目の転生だったわけ?
1回目は、前世、異世界人だったときの俺。
その前がカルゼの探していた月の神だったリュカのときの俺。
俺は。
今生では、もと大魔法使いで、今、男娼である俺は、カークが好きで。
でも。
もともとの俺は、カルゼの番だった。
263
あなたにおすすめの小説
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる