74 / 90
8 王国の宝玉
8ー4 戦争の足音
8ー4 戦争の足音
「いったいどういうことだよ?」
俺がアンリの執務室へと押し掛けるとアンリは、しれっとして言った。
「国王陛下からの紹介状付きの客だし上客だぞ。よろこべ、ルシウス」
「はぁ?」
俺は、アンリに近づいていくとどん、と執務机を手で叩いた。
「俺は、もう身請けされるんじゃないのか?」
「それまでは、ただの男娼だからな。客もとるだろう?」
アンリが答えるので俺は、むかっとして言った。
「絶対にお断り、だ」
「じゃあ、この王国が戦争に巻き込まれてもいいんだな?ルシウス」
アンリが俺を射貫くように見た。
「今、ここに来てる客は、あの、軍事国家ジニアス王国の使者だ」
ジニアス王国?
わかってない俺にアンリが説明した。
「ジニアス王国は、3年前に前王が死に新しく前王の子であるマルキア王が即位したんだ」
俺の記憶では、ジニアス王国は、南方の小国だった。それが、3年前にマルキア・ディアス・ジニアス王が即位して以来、周辺の国への侵略が始まったのだという。
「今、ジニアスは、隣国ボローニャ王国へ進軍中だ。このままいけば、我がエイダース王国も他人事ではないな」
アンリが言うので俺は、訊ねた。
「それが俺となんの関係があるんだ?」
「ジニアス王国からの使者は、お前にずいぶん興味をお持ちのようでな。もしかしたらここでお前がうまくもてなせば友好な関係を築けるかもしれない」
アンリがはぁっとため息をつく。
「というのが国王陛下のお言葉だ」
はい?
つまり、俺にこの国の未来がかかってるってことですか?
「もし、使者を怒らせたら?」
俺は、アンリに訊ねた。アンリは、貴族っぽい笑みを俺に向けた。
「お前ならうまくやってくれるだろう?ルシウス」
俺は、急いで部屋へと戻るとルトに指示して風呂の用意をさせた。そして、俺が湯船に浸かっている間に、ルトにお茶のために菓子を用意してもらった。
作り方は、簡単で、俺がたまに調理場でも作っている菓子だ。
米粉を湯で溶いてそれを焼いて茹でた豆を砂糖で煮たものを挟んで香りのよい木の葉っぱで巻いたもの。
まあ、前世の饅頭もどきなんだが、たまたま昼間に俺が作っていたのが数個残っていた。
俺は、ルトに指示を出しながら湯からあがると体を拭いた。俺がそのまま服を着ようとするとルトに止められる。
「もしかしたらまた、勇者のときみたいになるかもしれない」
俺は、頷くとベッドに横になり尻の洗浄をする。ルトが横になった俺の全身に香油を塗ってくれる。
「軍事国家から来た連中だし、勇者よりやばいかも」
心配するルトに俺は、笑って見せる。
「大丈夫だ、ルト。俺を誰だと思っている?」
だが。
俺の心には、暗雲が垂れ込めていた。
「いったいどういうことだよ?」
俺がアンリの執務室へと押し掛けるとアンリは、しれっとして言った。
「国王陛下からの紹介状付きの客だし上客だぞ。よろこべ、ルシウス」
「はぁ?」
俺は、アンリに近づいていくとどん、と執務机を手で叩いた。
「俺は、もう身請けされるんじゃないのか?」
「それまでは、ただの男娼だからな。客もとるだろう?」
アンリが答えるので俺は、むかっとして言った。
「絶対にお断り、だ」
「じゃあ、この王国が戦争に巻き込まれてもいいんだな?ルシウス」
アンリが俺を射貫くように見た。
「今、ここに来てる客は、あの、軍事国家ジニアス王国の使者だ」
ジニアス王国?
わかってない俺にアンリが説明した。
「ジニアス王国は、3年前に前王が死に新しく前王の子であるマルキア王が即位したんだ」
俺の記憶では、ジニアス王国は、南方の小国だった。それが、3年前にマルキア・ディアス・ジニアス王が即位して以来、周辺の国への侵略が始まったのだという。
「今、ジニアスは、隣国ボローニャ王国へ進軍中だ。このままいけば、我がエイダース王国も他人事ではないな」
アンリが言うので俺は、訊ねた。
「それが俺となんの関係があるんだ?」
「ジニアス王国からの使者は、お前にずいぶん興味をお持ちのようでな。もしかしたらここでお前がうまくもてなせば友好な関係を築けるかもしれない」
アンリがはぁっとため息をつく。
「というのが国王陛下のお言葉だ」
はい?
つまり、俺にこの国の未来がかかってるってことですか?
「もし、使者を怒らせたら?」
俺は、アンリに訊ねた。アンリは、貴族っぽい笑みを俺に向けた。
「お前ならうまくやってくれるだろう?ルシウス」
俺は、急いで部屋へと戻るとルトに指示して風呂の用意をさせた。そして、俺が湯船に浸かっている間に、ルトにお茶のために菓子を用意してもらった。
作り方は、簡単で、俺がたまに調理場でも作っている菓子だ。
米粉を湯で溶いてそれを焼いて茹でた豆を砂糖で煮たものを挟んで香りのよい木の葉っぱで巻いたもの。
まあ、前世の饅頭もどきなんだが、たまたま昼間に俺が作っていたのが数個残っていた。
俺は、ルトに指示を出しながら湯からあがると体を拭いた。俺がそのまま服を着ようとするとルトに止められる。
「もしかしたらまた、勇者のときみたいになるかもしれない」
俺は、頷くとベッドに横になり尻の洗浄をする。ルトが横になった俺の全身に香油を塗ってくれる。
「軍事国家から来た連中だし、勇者よりやばいかも」
心配するルトに俺は、笑って見せる。
「大丈夫だ、ルト。俺を誰だと思っている?」
だが。
俺の心には、暗雲が垂れ込めていた。
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。