勇者一行から追放された大魔法使い、伝説の男娼になる。

トモモト ヨシユキ

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9 されど愛しき日々

9ー4 『裏』

 9ー4 『裏』

 『裏』
 それは、『初回』とほぼ変わることない。普通に話したり食事をしたりするものだ。俺は、ルトに頼んで用意してもらった食事と酒をゼノンにすすめた。ゼノンは、自分の杯を俺に差し出すと飲むように命じた。
 「毒など盛られてはかなわないからな」
 俺は、ゼノンから杯を受けとるとそれを一気に飲み干した。ゼノンは、杯を返す俺に目を細める。
 「いい飲みっぷりだ」
 「陛下もどうぞ」
 俺は、ゼノンに酒を注いだ。今度は、ゼノンも杯をあおった。しばらく酒を飲んでいたが、ゼノンが突然、俺に命じた。
 「つまらん。何か芸をしろ」
 はい?
 俺は、困惑した。
 俺には、特に芸といえるようなものはない。
 だって、俺は、もともと勇者一行の魔法使いだったんだし、魔法以外になんの芸もないのだ。
 俺は、少し考えてから立ち上がった。そして、俺は、壁際に立ってゼノンを護衛している騎士に剣を貸してくれるようにと頼んだ。
 最初は、拒まれたがゼノンが許可をしたため俺は、騎士から剣を借りることができた。
 俺は、剣を構えるとゆっくりと舞い始めた。
 それは、かつて俺が月の神であったときにカルゼのために舞ったものだ。今までに彼の前以外で舞ったことはなかった。伴侶のためだけの舞だった。
 薄絹をまとい剣舞を舞う俺をゼノンは、ただ見ていたが舞が終わると立ち上がり無言で去っていった。
 俺もすぐに部屋に戻されるところだったが、そっと騎士にルトが用意してくれた小袋を渡した。それは、俺が持参していた金貨だ。
 騎士は、俺が渡した金貨を見ると鼻を鳴らした。
 「少しだけだぞ」
 俺は、奥の牢に入れられているウィズの元に駆け寄った。
 「ウィズ!」
 「う・・あっ・・」
 ウィズは、言葉を奪われていた。彼は、舌を切られていたのだ。
 「なんてことを!」
 俺が呟くと、騎士が低く笑った。
 「あんたがゼノン様を満足させられなければ次は、あんたの番だ」
 俺は、ぞっとして青ざめるのを感じていた。黙って涙を流しているウィズに俺は、微笑んだ。
 「大丈夫。必ず俺が助けるから、気をしっかり持って」
 「そろそろ戻るぞ!」
 騎士は、俺の腕を掴んで立たせると部屋へと連れ戻そうと引っ張った。俺は、牢の中のウィズを振り向きながら告げた。
 「待っててくれ!必ず、助ける!」
 
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