正しい子供の作り方

1 転生者は、隠されたい。

1ー1 僕の不幸

　１ー１　僕の不幸

　僕、ダニー・トールズの不幸は、外見がよすぎることだった。
　ちょっとピンクがかったストロベリーブロンドの髪に薄い緑の瞳をした僕のことを家族は、美の女神に愛されているとよく言っていたものだった。
　だけどまだ幼かった頃に亡くなった母の面影そのものともいえる美しさのせいで何度も訪れた貞操の危機に僕は、学んでいた。
　この世界では、信じられるものは、何もない。
　甘い言葉で近づいてくる者は、全て僕の体が目当てだった。
　まあ、普通は、幼いうちは両親が守ってくれるものだけど、さっきも話したようにしっかり者だった母は僕が幼い頃に亡くなってしまい残ったのはちょっと残念な感じの父だけ。
　そういうわけで前世の記憶が甦ったのは僕にとっては必要なことだったといえる。
　５歳のときに家に遊びにきた父の友人とかいう男に乱暴されそうになったショックで僕は、前世の記憶を取り戻した。
　それは、あまりにも漠然とした記憶で。
　自分がなんという名前の人間だったのかもわからないし、男だったのか女だったのかもわからない。
　ただ、かつて自分がニホンという国に生きていたこと。
　それだけのざっくりとした記憶だったが、それでも僕にとっては救いになった。
　僕は、自分を乱暴しようとした男に言った。
　「僕に何かしたいならお金をください」
　僕の言葉をきいた男は、急に優しくなった。
　それまでは暴力を振るって僕を蹂躙しようとしていたが僕が金でいうことをきくと思ったとたんだらしない笑みを浮かべて僕を優しく扱うようになった。
　僕は、男に金貨１枚をもらうとちょっともじもじしながら男に告げた。
　「ここじゃ誰かくるかもしれないから・・お父様の寝室が使えるか見てくるのでちょっと待っててくださいますか？」
　上機嫌で頷く男を置き去りにして僕は、その場から逃げ出すと近所の騎士団のおじさんの家に逃げ込んでかくまってもらって難を逃れた。
　後で父にこってりとしかられたけど僕がはっきりと乱暴されそうになったことを説明すると父はわかってくれてそれからはその男が家に来ることはなくなった。
　でも貧乏な領地も持たない法衣貴族の男爵家だった僕の父の家には、友人を名乗る貴族たちがっひっきりなしに近づいてきた。
　それは、気前のよい援助を申し出るかわりに僕を養子に欲しいとか、なかにははっきりとそういう目的で僕を囲いたいとかいってくる輩たちで。
　優しくて優柔不断でお人好しの父は、なんども騙されて僕をそういう連中に差し出しそうになったんだけど、そのたびに僕は、自分で自分の身を守らなくてはならなかったってわけ。