45 / 63
5 転生者は、愛したい。
5ー5 帰郷
しおりを挟む
5ー5 帰郷
ティーナ様とメダス様が婚約を発表する秋、フェリオス様が4年ぶりに故郷であるポリドール伯爵領へと帰ってくることになった。
フェリオス様は、この4年間ほぼほぼ音信不通といえた。
王都の屋敷からラキアスさんが月に何通か手紙をくれたけど、その知らせは、どれも信じられないものばかりだった。
フェリオス様は、この数年で変わってしまわれたのだという。
まず、王都で一番有名な画家となったフェリオス様は、学生でありながら娼館に入り浸って貴族学園にはほとんど登校していなかったらしい。
しかし、成績は優秀だったため支障なく卒業が決まった。
もちろん、ポリドール伯爵家の屋敷にもめったに顔を出すこともなかった。
そのため、今回のティーナ様の婚約発表のことは、ぎりぎりまで知らせることができなかったのだとラキアスさんが嘆いていた。
ようやく連絡がついたがフェリオス様は、帰ることを拒否していたのだとか。
ラキアスさんが泣きついてようやくポリドール伯爵領に戻ることを了承したのだそうだ。
なんでもフェリオス様は、王都で人気の絵師となっていてポリドール伯爵家の屋敷とは別に彼の持ち家をもっておりそこをアトリエにしているのだが、そこにも居着いてはいないらしい。
ラキアスさんいわく、学生でありながら酒と女に溺れ自堕落な暮らしを送っているとか。
フェリオス様がポリドール伯爵領に戻ってくるときいて僕の胸は騒いだ。
僕とフェリオス様を繋ぐ隷属の魔法は未だに生きている。
その証拠に僕とロイドは、体を繋げることができない。
フェリオス様が戻るときいたロイドは、どうしてもフェリオス様にこの呪いを解かせるつもりだった。
僕は。
変わってしまったというフェリオス様の噂に心が痛かった。
あのとき。
僕がフェリオス様を拒まなければ。
そうすればフェリオス様が堕落への道を辿ることもなかったのだろうか。
ポリドール伯爵領の秋は、短い。
僕は、爽やかな秋のそよ風に吹かれながら屋敷の側の小川の畔を散歩していた。
この辺りで昔、幼いフェリオス様がスケッチをしておられたのを見つけて以来、ずっと僕は、フェリオス様のことを考えてきたのだ。
フェリオス様が才能溢れる絵師になられたことは僕にとって誇らしかった。
あの才能を育てたのは間違いなく僕だから。
でも。
荒れた生活をしているというフェリオス様のことが心配だ。
どうするべきなのか。
僕は、小川の近くの木の根本に腰を下ろすとぼんやりと空を眺めてため息をついた。
「フェリオス様・・・」
僕の心は、今でも彼に縛られていて。
そのことをロイドも知っていた。
それでも。
ロイドは、僕を愛していると言ってくれた。
「あいつを愛しているお前の気持ちごとお前を愛している」
ティーナ様とメダス様が婚約を発表する秋、フェリオス様が4年ぶりに故郷であるポリドール伯爵領へと帰ってくることになった。
フェリオス様は、この4年間ほぼほぼ音信不通といえた。
王都の屋敷からラキアスさんが月に何通か手紙をくれたけど、その知らせは、どれも信じられないものばかりだった。
フェリオス様は、この数年で変わってしまわれたのだという。
まず、王都で一番有名な画家となったフェリオス様は、学生でありながら娼館に入り浸って貴族学園にはほとんど登校していなかったらしい。
しかし、成績は優秀だったため支障なく卒業が決まった。
もちろん、ポリドール伯爵家の屋敷にもめったに顔を出すこともなかった。
そのため、今回のティーナ様の婚約発表のことは、ぎりぎりまで知らせることができなかったのだとラキアスさんが嘆いていた。
ようやく連絡がついたがフェリオス様は、帰ることを拒否していたのだとか。
ラキアスさんが泣きついてようやくポリドール伯爵領に戻ることを了承したのだそうだ。
なんでもフェリオス様は、王都で人気の絵師となっていてポリドール伯爵家の屋敷とは別に彼の持ち家をもっておりそこをアトリエにしているのだが、そこにも居着いてはいないらしい。
ラキアスさんいわく、学生でありながら酒と女に溺れ自堕落な暮らしを送っているとか。
フェリオス様がポリドール伯爵領に戻ってくるときいて僕の胸は騒いだ。
僕とフェリオス様を繋ぐ隷属の魔法は未だに生きている。
その証拠に僕とロイドは、体を繋げることができない。
フェリオス様が戻るときいたロイドは、どうしてもフェリオス様にこの呪いを解かせるつもりだった。
僕は。
変わってしまったというフェリオス様の噂に心が痛かった。
あのとき。
僕がフェリオス様を拒まなければ。
そうすればフェリオス様が堕落への道を辿ることもなかったのだろうか。
ポリドール伯爵領の秋は、短い。
僕は、爽やかな秋のそよ風に吹かれながら屋敷の側の小川の畔を散歩していた。
この辺りで昔、幼いフェリオス様がスケッチをしておられたのを見つけて以来、ずっと僕は、フェリオス様のことを考えてきたのだ。
フェリオス様が才能溢れる絵師になられたことは僕にとって誇らしかった。
あの才能を育てたのは間違いなく僕だから。
でも。
荒れた生活をしているというフェリオス様のことが心配だ。
どうするべきなのか。
僕は、小川の近くの木の根本に腰を下ろすとぼんやりと空を眺めてため息をついた。
「フェリオス様・・・」
僕の心は、今でも彼に縛られていて。
そのことをロイドも知っていた。
それでも。
ロイドは、僕を愛していると言ってくれた。
「あいつを愛しているお前の気持ちごとお前を愛している」
25
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
わからないから、教えて ―恋知らずの天才魔術師は秀才教師に執着中
月灯
BL
【本編完結済・番外編更新中】魔術学院の真面目な新米教師・アーサーには秘密がある。かつての同級生、いまは天才魔術師として名を馳せるジルベルトに抱かれていることだ。
……なぜジルベルトは僕なんかを相手に?
疑問は募るが、ジルベルトに想いを寄せるアーサーは、いまの関係を失いたくないあまり踏み込めずにいた。
しかしこの頃、ジルベルトの様子がどうもおかしいようで……。
気持ちに無自覚な執着攻め×真面目片想い受け
イラストはキューさん(@kyu_manase3)に描いていただきました!
侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます
muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。
仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。
成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。
何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。
汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。
悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――
ロ
BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」
と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。
「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。
※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる