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5 転生者は、愛したい。
5ー6 変わらないもの
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5ー6 変わらないもの
「・・・ダニー、か?」
不意に聞こえた声に僕の体は、びくん、と跳ねた。
木立の方を見るとそこには長い前髪の奥からギラギラした青い瞳が覗いている仕立てのいい服をだらしなく着崩した青年の姿があった。
どことなく退廃的な雰囲気をまとった、だが、その強い眼差しは忘れることはできない懐かしさを感じさせる。
「フェリオス様!」
僕は、弾かれたようにその場に立ち上がる。
フェリオス様は、僕を見ると微かに目を細めた。
「久しぶりだな」
「あの・・フェリオス様もお変わりなく」
「バカなのか?」
フェリオス様が冷たく言い放った。
「この俺が変わりない、と?」
「それは・・」
言葉に詰まってうつ向く僕を見てフェリオス様は、ふっと口許に笑みを浮かべた。
「変わらないのはお前の方だ」
僕に近づいてきたフェリオス様が僕の認識阻害のメガネを取り上げる。
「あっ!」
「相変わらずこんなもの使ってるのか?」
フェリオス様は、僕のメガネを指先で摘まんでぶら下げて眉をしかめる。
「俺がお前の夫ならこんなものつけさせはしないんだが」
「か、返してください!」
なんとかメガネをフェリオス様から取り返そうとする僕の片手を掴むとフェリオス様は、僕のことを覗き込んだ。
「相変わらず、だ」
あの頃のままの青い瞳に見つめられて僕は、胸が高鳴る。
「フェリオス、様」
フェリオス様は、僕よりずっと身長が高くなって体も逞しくなっていた。
声も。
あの頃の少年の声ではなく、大人の男の声になっている。
「お前は、出会った頃のまま。美しいままだな、ダニー」
僕の腰に手を回したフェリオス様に抱き寄せられる。
「まるで夕べの夢の中に現れたインキュバスのように俺を苛む」
「フェリオス様・・・?」
フェリオス様の瞳を見上げている僕にそっとフェリオス様が顔を寄せて。
はっと息を飲む間もなく唇を奪われる。
それは、噛みつくような荒々しいキスだった。
「ぅぐっ・・んっ・・」
フェリオス様の激しい口づけに翻弄されて僕は、頭がくらくらして。
気がつけばフェリオス様の胸元のシャツを掴んでしがみついていた。
僕を味わって唇を離すとき、フェリオス様は、かりっと僕の唇を甘く噛んだ。
名残惜しそうに。
僕は、足ががくがくして。
倒れそうになる僕をフェリオス様が支えてくれた。
「感じやすいのも変わらないな、ダニー」
フェリオス様がにやりと笑った。
「今じゃ、叔父上にだいぶ可愛がられているんだろう?」
「そんな!」
僕は、かぁっと頬が熱くなるのを堪えてフェリオス様を睨み付けた。
「・・・ダニー、か?」
不意に聞こえた声に僕の体は、びくん、と跳ねた。
木立の方を見るとそこには長い前髪の奥からギラギラした青い瞳が覗いている仕立てのいい服をだらしなく着崩した青年の姿があった。
どことなく退廃的な雰囲気をまとった、だが、その強い眼差しは忘れることはできない懐かしさを感じさせる。
「フェリオス様!」
僕は、弾かれたようにその場に立ち上がる。
フェリオス様は、僕を見ると微かに目を細めた。
「久しぶりだな」
「あの・・フェリオス様もお変わりなく」
「バカなのか?」
フェリオス様が冷たく言い放った。
「この俺が変わりない、と?」
「それは・・」
言葉に詰まってうつ向く僕を見てフェリオス様は、ふっと口許に笑みを浮かべた。
「変わらないのはお前の方だ」
僕に近づいてきたフェリオス様が僕の認識阻害のメガネを取り上げる。
「あっ!」
「相変わらずこんなもの使ってるのか?」
フェリオス様は、僕のメガネを指先で摘まんでぶら下げて眉をしかめる。
「俺がお前の夫ならこんなものつけさせはしないんだが」
「か、返してください!」
なんとかメガネをフェリオス様から取り返そうとする僕の片手を掴むとフェリオス様は、僕のことを覗き込んだ。
「相変わらず、だ」
あの頃のままの青い瞳に見つめられて僕は、胸が高鳴る。
「フェリオス、様」
フェリオス様は、僕よりずっと身長が高くなって体も逞しくなっていた。
声も。
あの頃の少年の声ではなく、大人の男の声になっている。
「お前は、出会った頃のまま。美しいままだな、ダニー」
僕の腰に手を回したフェリオス様に抱き寄せられる。
「まるで夕べの夢の中に現れたインキュバスのように俺を苛む」
「フェリオス様・・・?」
フェリオス様の瞳を見上げている僕にそっとフェリオス様が顔を寄せて。
はっと息を飲む間もなく唇を奪われる。
それは、噛みつくような荒々しいキスだった。
「ぅぐっ・・んっ・・」
フェリオス様の激しい口づけに翻弄されて僕は、頭がくらくらして。
気がつけばフェリオス様の胸元のシャツを掴んでしがみついていた。
僕を味わって唇を離すとき、フェリオス様は、かりっと僕の唇を甘く噛んだ。
名残惜しそうに。
僕は、足ががくがくして。
倒れそうになる僕をフェリオス様が支えてくれた。
「感じやすいのも変わらないな、ダニー」
フェリオス様がにやりと笑った。
「今じゃ、叔父上にだいぶ可愛がられているんだろう?」
「そんな!」
僕は、かぁっと頬が熱くなるのを堪えてフェリオス様を睨み付けた。
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