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第5章 生徒会と悪役令嬢

5ー8 生徒会

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 5ー8 生徒会

 翌日、わたしは、サリタニア王立魔法学園の生徒会から呼び出された。
 「生徒会?」
 わたしが生徒会から呼び出されたことをきくとセツ様がぎょっとしてわたしを見下ろした。
 「カイラ、なんかあったのか?」
 わたしは、少し悩んだけれど昨日の夕方にあったことをセツ様たちに話した。
 「アイリスがそんなことを?」
 最初、セツ様は、信じられない様子だったが、わたしの話をきくにしたがって徐々に真剣な表情へと変わっていった。
 セツ様と一緒に話をきいていたフレデリクとライモンドも憤っていた。
 「なんてことを!アイリスがそんなことをするなんて」
 「なんでそんな言い掛かりをつけられないといけないんだ?」
 ライモンドは、怒りを我慢している様子でわたしに告げた。
 「俺も一緒に行こう。生徒会がお前に難癖をつけてきたら弁護してやる」
 その日の放課後、わたしとセツ様、フレデリク、ライモンドの4人は、サリタニア王立魔法学園の事務棟の3階の一室にあるという生徒会室を目指した。
 道々セツ様が説明してくださったことによるとサリタニア王立魔法学園の生徒会は、学園の自治のために作られた組織であり、たいていの生徒間の問題は、ここで片付けられるのだという。
 この学園が創られた当初から存在するというこの生徒会は、優秀な人材が集められたエリート集団だ。
 なんでも生徒会長は、セツ様の兄上であらせられる王太子殿下が勤められているらしい。
 副会長は、現摂政であるアルカサル侯爵の子息であるエラード・アルカサルが勤めており、事実上の時期施政者たちが揃っているのが生徒会の特徴らしかった。
 うぅっ。
 わたしは、憂鬱な気分だった。
 昨日の騎士たちからも『全ての采配は、生徒会に任せることになった』というような連絡があったし。
 事務棟の3階にあるすごく重厚な扉の前にわたしたちは、立っていた。
 立ちすくんでいるわたしの背をとん、とセツ様が優しく押してくださった。
 「さあ、行こう、カイラ」
 「何を言われようとも忘れるな。俺たちがついているってことを」
 ライモンドの言葉にフレデリクも頷いた。
 「そうです、カイラ。あなたは、一人ではない」
 みんなの言葉に、わたしは、胸が熱くなった。
 「さあ、行くぞ!」
 
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