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第7章 恋する騎士
7ー10 光
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7ー10 光
祭りの終わりには、人々は、光の玉を空へと放つ。
幾千、幾万という光がタイタノスの上空を埋めつくしていく。
きらきらと夜空に輝く光は、まるで星が地上に降りてきたかのように思われて。
わたしたちは、みな、胸が熱くなった。
暖かな魔法の光に包まれて人々は、みな、幸福な思いで満ちていた。
わたしは、運河の側にたたずんで天空へと消えていく光を見つめていた。
こんなにも美しいものがあるなんて。
マオも見とれているようだった。
わたしたちが静かに天を仰いでいた。
「綺麗だ」
そっと背後から声がきこえた。
振り返るとそこには、ルシーがいた。
ちょっとボロボロで、ちょっと臭った。
たぶん、お風呂にもはいらずに不眠不休で働き続けていたんだろう。
だけど、彼は、どこか誇らしげで。
「うん、きれい」
わたしが言うと、ルシーは、囁いた。
「君が。とってもきれいだ、カイラ」
「わたしが?」
わたしたちは、見つめあって。
それから、お互いに目をそらした。
マオは、いつの間にかどこかに消えていた。
わたしは、ただ、空を見上げていた。
ルシーの手がわたしの手に触れた。
わたしたちは、手を握りあって。
そして、いつまでも輝きに満ちた天空を見上げていた。
翌日、わたしたちは、タイタノスから地上へと戻った。
ゲートから地上へと戻るとき、わたしは、街を振り返った。
一瞬、ルシーの視線を感じたのだ。
ルシーは、この街で修行を続けるのだという。
「すくなくとも休暇の間は、毎日、親方のところに通うつもりだ」
そう、彼は、話していた。
地上に戻ったわたしたちは、ここに来たときと同じように陸竜の背にのって王都ラキシスを目指した。
今度の陸竜は、フレイではなかったけれど、わたしたちは、歓迎された。
特に、マオは。
マオは、唄う竜としてちょっとした有名猫になっていた。
わたしたちは、その街の人々にこわれてティンパロを演奏した。
もちろん、マオの歌も。
マオの歌に合わせて地上の竜たちが唄う声がわたしにはきこえた。
その声は、どこまでも澄みわたって。
青い空へと吸い込まれていった。
祭りの終わりには、人々は、光の玉を空へと放つ。
幾千、幾万という光がタイタノスの上空を埋めつくしていく。
きらきらと夜空に輝く光は、まるで星が地上に降りてきたかのように思われて。
わたしたちは、みな、胸が熱くなった。
暖かな魔法の光に包まれて人々は、みな、幸福な思いで満ちていた。
わたしは、運河の側にたたずんで天空へと消えていく光を見つめていた。
こんなにも美しいものがあるなんて。
マオも見とれているようだった。
わたしたちが静かに天を仰いでいた。
「綺麗だ」
そっと背後から声がきこえた。
振り返るとそこには、ルシーがいた。
ちょっとボロボロで、ちょっと臭った。
たぶん、お風呂にもはいらずに不眠不休で働き続けていたんだろう。
だけど、彼は、どこか誇らしげで。
「うん、きれい」
わたしが言うと、ルシーは、囁いた。
「君が。とってもきれいだ、カイラ」
「わたしが?」
わたしたちは、見つめあって。
それから、お互いに目をそらした。
マオは、いつの間にかどこかに消えていた。
わたしは、ただ、空を見上げていた。
ルシーの手がわたしの手に触れた。
わたしたちは、手を握りあって。
そして、いつまでも輝きに満ちた天空を見上げていた。
翌日、わたしたちは、タイタノスから地上へと戻った。
ゲートから地上へと戻るとき、わたしは、街を振り返った。
一瞬、ルシーの視線を感じたのだ。
ルシーは、この街で修行を続けるのだという。
「すくなくとも休暇の間は、毎日、親方のところに通うつもりだ」
そう、彼は、話していた。
地上に戻ったわたしたちは、ここに来たときと同じように陸竜の背にのって王都ラキシスを目指した。
今度の陸竜は、フレイではなかったけれど、わたしたちは、歓迎された。
特に、マオは。
マオは、唄う竜としてちょっとした有名猫になっていた。
わたしたちは、その街の人々にこわれてティンパロを演奏した。
もちろん、マオの歌も。
マオの歌に合わせて地上の竜たちが唄う声がわたしにはきこえた。
その声は、どこまでも澄みわたって。
青い空へと吸い込まれていった。
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