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15 全部、バレてた!
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俺たちの乗った魔導車は、インダラーク伯爵の馬車の後ろをついていった。
クロスウェル・インダラーク伯爵の王都の屋敷は、王城から10分ほど離れた丘の上にあった。
そこからは、王都の街並みが一望できた。
屋敷の前に魔導車を停めて、車から降りた俺たちに屋敷の執事らしき白髪の老人が駆け寄ってきた。
「ヴィスコンティ様!」
「マリウス」
ヴィスコンティが老人に答えた。老人は、ヴィスコンティを涙目で見ていた。
「よくお戻りになられました」
「別に戻った訳ではない。今日は、クリスタ王女の護衛として王都まで同行しただけだ。用がすめば、また、出ていく」
「そうなのでございますか」
マリウスという老人は、少し、もの悲しそうな表情を浮かべてヴィスコンティにきいた。
「で、あの方は、お元気なので?」
「ああ」
ヴィスコンティが頷いた。
「兄上なら、元気だ」
「なんでもダンジョン都市を造られたとか。王都でもよく噂を耳にしております」
マリウス老が微笑みを浮かべた。
「あの方が、そのような一代事業を成し遂げられるとは、爺は、鼻が高うございます」
うん?
俺は、俯いて顔を隠した。
この人、ルファスのこと知ってるの?
「こんなところで話し込むのもなんですので、速くお屋敷の中へお入りください、ヴィスコンティ様」
「ヴィス!」
玄関のドアが勢いよく開いて、年のころは、50代前半といったところの女の人が駆け出してきた。
「ヴィスコンティ!よく無事で」
「母上」
ヴィスコンティがその女の人のことを抱き締めた。
「ご心配をおかけしてしまって、申し訳ありません、母上」
ヴィスコンティの言葉にその女の人は、首を左右に振った。
「いいのです。あなたは、不憫な兄のために、あの子についていったのでしょう?本当に優しい子」
俺は、そっとクリスタ王女の影に隠れた。
まさか、女装してるしルファスとは、気づかれないよね?
ヴィスコンティのお母さんが俺とクリスタ王女の方を見た。
わゎっ!
俺は、身を竦めた。
気づかれてないかな、俺。
「まあ、あなたは、もしかして」
ヴィスコンティのお母さんが言った。
俺は、ヤバい、と咄嗟に王女の影に身を隠した。
「やはり、そうだわ、あなたは」
ヴィスコンティのお母さんが俺たちの方へと近づいてくる。
俺は、生きた心地がしなかった。
「クリスタ様ではございませんか?」
俺は、ほっと息をついた。
ヴィスコンティがお母さんの肩を抱いて言った。
「ちょっと訳があって、、クリスタ様を護衛して王都までお送りしてきたんだ。長旅でクリスタ様は、お疲れだから、どうか、休ませて差し上げて欲しいんです、母上」
「まあ、お気の毒に。どうぞ、こちらへ、クリスタ様」
ヴィスコンティのお母さんがクリスタ王女の手をとって屋敷へと案内していく。
俺は、遠ざかっていく2人を目で追いながら、溜め息をついた。
ヴィスコンティが俺とイオルグに言った。
「2人とも、こっちへ」
ヴィスコンティは、俺とイオルグを屋敷の裏にある小さな離れに案内してくれた。
そこは、最近、使われてなかった様子だったが、きれいに片付けられでいた。
見たところ、子供部屋のように思われたが、それにしては、子供らしくない部屋だった。
なんだか、居心地が悪いような気がして、俺は、ヴィスコンティに訊ねた。
「ここは?」
「ここは、ルファスがこの屋敷に住んでた頃の部屋です」
「ルファスの」
「ルファス・・兄は、成人するまでここで暮らしていました。私は、ここに近寄ることは、許されて いなかったのですが、彼の姿は、何度か、遠目に見たことがあり、ここに彼がいること知っていました。だけど、まさか、自分の兄だとは思いもしなかった」
ヴィスコンティが話すのを俺とイオルグは黙ってきいていた。
「今思えば、兄は、ここに閉じ込められて暮らしていた訳です。一日二度、召し使いが食事を運ぶだけで、他には、いっさい、人と関わることもなく」
ヴィスコンティは、部屋を見回して溜め息をついた。
「母が邪神に拐われて産んだ子である兄は、魔王となるべく定められていました。とはいえ、最初から魔王だった訳ではありません。兄を欲望の魔王にしたのは、私の両親や私自身だったのかもしれません。もしも、普通の子供として育てられていれば、兄は、いったい、どんな人になっていただろうかと、私は、思わずにはいられないのです」
「普通にっていっても、今とたいして変わらなかったんじゃねぇの?」
イオルグが言った。
「あの人は、どんな風に生きても、たぶん、ああいう人になったと思うぜ、俺は」
「そうかもしれない」
ヴィスコンティが窓辺に近づいてカーテンを開ける。
王都の空は、薄暗く曇っていて、やがて、雨が降りそうな予感を漂わせていた。
「だけど、私は、兄が気の毒で仕方ないのです。人にも、魔族にもなりきれなかったルファスが」
「だから、全てを捨てて魔王のもとへ来たのか?ヴィスコンティ」
イオルグが訊ねた。
「騎士団の団員であり、聖剣シェインカーを手に入れた剣聖でありながら、魔王の従者の真似事をしているのは、魔王に同情しているからだっていうのか?ヴィス」
「最初は、そうでした」
ヴィスコンティがくすっと笑った。
「だけど、兄は、ルファスは、自由で、気ままで、やる気がなくって、でも憎めない。いつの間にか、仲間たちに囲まれている兄を、私は、少し、羨ましく思うようになったのです。彼には、私なんていなくても大丈夫なのだと思うと、悲しくもなりました。それでも、私が兄の側にい続けるのは、兄に完全な魔王になってほしくはなかったからなのかもしれません」
ヴィスコンティの話によると、ヴィスコンティの10才上の兄であるルファスの存在を知ったのは、ヴィスコンティが24才の頃だったという。
その頃には、すでにルファスは、邪神の導きによりダンジョンコアを得て、あの『魔王の杜』ダンジョンを造っていたらしい。
この世界では、15才で成人なのだというのだが、ルファスは、15才で家を出て魔王となった。
19年後、ヴィスコンティが全てを知って、ルファスのもとへと赴いた時には、すでに、イオルグやビザークは、ルファスに付き従っていた。
ヴィスコンティがルファスの側にいるのは、ただ兄としてのルファスを失いたくないからだった。
いつか、 ルファスが完全な魔王になってしまうのではないか。
そう、ヴィスコンティは、思っていたのだ。
「それが、兄は、完全な魔王になるどころか、ハジメと入れ替わってしまった。だから、私は、これからは、兄の代わりにハジメを守ろうと思ったのです」
ヴィスコンティが俺の方を見て言った。
「例え、人の道に背くことがあろうとも、私は、ハジメ、あなたのために生きたい」
マジで?
俺は、かぁっと胸が熱くなっていた。
ヴィスコンティの気持ちを知って、俺は、なんだか嬉しく思った。
俺は、もう、一人じゃないんだ。
一人じゃない。
俺は、涙が溢れ落ちるのを堪えられなかった。
「ありがとう、ヴィスコンティ」
そう言った俺をヴィスコンティは、抱き寄せると、涙をそっと拭ってくれた。
ヴィスコンティは、俺とイオルグを連れて、インダラーク伯爵の屋敷へと入っていった。
「おかえりなさいませ、ヴィスコンティ様」
老執事 マリウスが我々を迎えた。
「こちらへ」
俺たちが通されたのは、広くて豪奢な家具に囲まれたサロンだった。
そこのソファに陣取ってクリスタ王女とヴィスコンティのお母さんが楽しげに話をしていた。
俺は、ちらっとヴィスコンティを見た。
ヴィスコンティは、俺に微笑みかけた。
俺とイオルグは、クリスタ王女とヴィスコンティのお母さんとヴィスコンティが話しているのを部屋の隅に立ったままきいていた。
「本当に驚いたのよ、クリスタ様が戻られて」
ヴィスコンティのお母さんは、言った。
「だって、もう1週間も前に王がクリスタ様があの子に殺されたって仰ったから」
「兄さんがそんなことできないことは、母上たちが1番よく知ってるんじゃないですか」
ヴィスコンティが言うと、お母さんは、頷いた。
「ええ。あの子は、魔王だけど人を殺したりはしない。そんなことできる子じゃないと思っていたのよ」
「しかし、王がクリスタ様が死んだと言われている以上は、王宮へ戻ることは難しい。父上の方から王へお伝え願えませんか?母上」
ヴィスコンティが言うと、お母さんは、ニッコリと微笑んだ。
「わかったわ、ヴィス。私からあの人に頼んでみます。だから、クリスタ様も安心してここを我が家だと思って、ゆっくりされてくださいね」
「ありがとうございます」
クリスタが礼を言った時、ヴィスコンティの父親である宰相インダラーク伯爵が現れた。
「ラミア、ちょっと席を外してくれないか?」
「あなた?」
「頼む」
ヴィスコンティのお母さんが部屋を出ていくと、インダラーク伯爵は、クリスタやヴィスコンティが座っているソファから少し離れた椅子へ腰かけて言った。
「あなたは、誰なんです?」
「えっ?」
クリスタが戸惑うようにヴィスコンティを見つめた。ヴィスコンティがインダラーク伯爵に答える。
「この方は、クリスタ王女」
「私に嘘をつくな」
インダラーク伯爵は、クリスタを見つめてきいた。
「あなたは、誰なんです?」
「わ、私は」
クリスタが声を詰まらせた。
俺は、溜め息をついた。
「もういい、クリスタ」
俺は、前へと進み出るとインダラーク伯爵にきいた。
「なぜ、この子がクリスタ王女じゃないとわかったんですか?」
「それは」
インダラーク伯爵が答えた。
「私の手の者が王女が死ぬためにお前のもとへ行くということを突き止めていたからだよ、ルファス」
マジか?
全部、バレてる?
俺は、インダラーク伯爵から目が離せなかった。
この人は、全てを知っているのか?
クロスウェル・インダラーク伯爵の王都の屋敷は、王城から10分ほど離れた丘の上にあった。
そこからは、王都の街並みが一望できた。
屋敷の前に魔導車を停めて、車から降りた俺たちに屋敷の執事らしき白髪の老人が駆け寄ってきた。
「ヴィスコンティ様!」
「マリウス」
ヴィスコンティが老人に答えた。老人は、ヴィスコンティを涙目で見ていた。
「よくお戻りになられました」
「別に戻った訳ではない。今日は、クリスタ王女の護衛として王都まで同行しただけだ。用がすめば、また、出ていく」
「そうなのでございますか」
マリウスという老人は、少し、もの悲しそうな表情を浮かべてヴィスコンティにきいた。
「で、あの方は、お元気なので?」
「ああ」
ヴィスコンティが頷いた。
「兄上なら、元気だ」
「なんでもダンジョン都市を造られたとか。王都でもよく噂を耳にしております」
マリウス老が微笑みを浮かべた。
「あの方が、そのような一代事業を成し遂げられるとは、爺は、鼻が高うございます」
うん?
俺は、俯いて顔を隠した。
この人、ルファスのこと知ってるの?
「こんなところで話し込むのもなんですので、速くお屋敷の中へお入りください、ヴィスコンティ様」
「ヴィス!」
玄関のドアが勢いよく開いて、年のころは、50代前半といったところの女の人が駆け出してきた。
「ヴィスコンティ!よく無事で」
「母上」
ヴィスコンティがその女の人のことを抱き締めた。
「ご心配をおかけしてしまって、申し訳ありません、母上」
ヴィスコンティの言葉にその女の人は、首を左右に振った。
「いいのです。あなたは、不憫な兄のために、あの子についていったのでしょう?本当に優しい子」
俺は、そっとクリスタ王女の影に隠れた。
まさか、女装してるしルファスとは、気づかれないよね?
ヴィスコンティのお母さんが俺とクリスタ王女の方を見た。
わゎっ!
俺は、身を竦めた。
気づかれてないかな、俺。
「まあ、あなたは、もしかして」
ヴィスコンティのお母さんが言った。
俺は、ヤバい、と咄嗟に王女の影に身を隠した。
「やはり、そうだわ、あなたは」
ヴィスコンティのお母さんが俺たちの方へと近づいてくる。
俺は、生きた心地がしなかった。
「クリスタ様ではございませんか?」
俺は、ほっと息をついた。
ヴィスコンティがお母さんの肩を抱いて言った。
「ちょっと訳があって、、クリスタ様を護衛して王都までお送りしてきたんだ。長旅でクリスタ様は、お疲れだから、どうか、休ませて差し上げて欲しいんです、母上」
「まあ、お気の毒に。どうぞ、こちらへ、クリスタ様」
ヴィスコンティのお母さんがクリスタ王女の手をとって屋敷へと案内していく。
俺は、遠ざかっていく2人を目で追いながら、溜め息をついた。
ヴィスコンティが俺とイオルグに言った。
「2人とも、こっちへ」
ヴィスコンティは、俺とイオルグを屋敷の裏にある小さな離れに案内してくれた。
そこは、最近、使われてなかった様子だったが、きれいに片付けられでいた。
見たところ、子供部屋のように思われたが、それにしては、子供らしくない部屋だった。
なんだか、居心地が悪いような気がして、俺は、ヴィスコンティに訊ねた。
「ここは?」
「ここは、ルファスがこの屋敷に住んでた頃の部屋です」
「ルファスの」
「ルファス・・兄は、成人するまでここで暮らしていました。私は、ここに近寄ることは、許されて いなかったのですが、彼の姿は、何度か、遠目に見たことがあり、ここに彼がいること知っていました。だけど、まさか、自分の兄だとは思いもしなかった」
ヴィスコンティが話すのを俺とイオルグは黙ってきいていた。
「今思えば、兄は、ここに閉じ込められて暮らしていた訳です。一日二度、召し使いが食事を運ぶだけで、他には、いっさい、人と関わることもなく」
ヴィスコンティは、部屋を見回して溜め息をついた。
「母が邪神に拐われて産んだ子である兄は、魔王となるべく定められていました。とはいえ、最初から魔王だった訳ではありません。兄を欲望の魔王にしたのは、私の両親や私自身だったのかもしれません。もしも、普通の子供として育てられていれば、兄は、いったい、どんな人になっていただろうかと、私は、思わずにはいられないのです」
「普通にっていっても、今とたいして変わらなかったんじゃねぇの?」
イオルグが言った。
「あの人は、どんな風に生きても、たぶん、ああいう人になったと思うぜ、俺は」
「そうかもしれない」
ヴィスコンティが窓辺に近づいてカーテンを開ける。
王都の空は、薄暗く曇っていて、やがて、雨が降りそうな予感を漂わせていた。
「だけど、私は、兄が気の毒で仕方ないのです。人にも、魔族にもなりきれなかったルファスが」
「だから、全てを捨てて魔王のもとへ来たのか?ヴィスコンティ」
イオルグが訊ねた。
「騎士団の団員であり、聖剣シェインカーを手に入れた剣聖でありながら、魔王の従者の真似事をしているのは、魔王に同情しているからだっていうのか?ヴィス」
「最初は、そうでした」
ヴィスコンティがくすっと笑った。
「だけど、兄は、ルファスは、自由で、気ままで、やる気がなくって、でも憎めない。いつの間にか、仲間たちに囲まれている兄を、私は、少し、羨ましく思うようになったのです。彼には、私なんていなくても大丈夫なのだと思うと、悲しくもなりました。それでも、私が兄の側にい続けるのは、兄に完全な魔王になってほしくはなかったからなのかもしれません」
ヴィスコンティの話によると、ヴィスコンティの10才上の兄であるルファスの存在を知ったのは、ヴィスコンティが24才の頃だったという。
その頃には、すでにルファスは、邪神の導きによりダンジョンコアを得て、あの『魔王の杜』ダンジョンを造っていたらしい。
この世界では、15才で成人なのだというのだが、ルファスは、15才で家を出て魔王となった。
19年後、ヴィスコンティが全てを知って、ルファスのもとへと赴いた時には、すでに、イオルグやビザークは、ルファスに付き従っていた。
ヴィスコンティがルファスの側にいるのは、ただ兄としてのルファスを失いたくないからだった。
いつか、 ルファスが完全な魔王になってしまうのではないか。
そう、ヴィスコンティは、思っていたのだ。
「それが、兄は、完全な魔王になるどころか、ハジメと入れ替わってしまった。だから、私は、これからは、兄の代わりにハジメを守ろうと思ったのです」
ヴィスコンティが俺の方を見て言った。
「例え、人の道に背くことがあろうとも、私は、ハジメ、あなたのために生きたい」
マジで?
俺は、かぁっと胸が熱くなっていた。
ヴィスコンティの気持ちを知って、俺は、なんだか嬉しく思った。
俺は、もう、一人じゃないんだ。
一人じゃない。
俺は、涙が溢れ落ちるのを堪えられなかった。
「ありがとう、ヴィスコンティ」
そう言った俺をヴィスコンティは、抱き寄せると、涙をそっと拭ってくれた。
ヴィスコンティは、俺とイオルグを連れて、インダラーク伯爵の屋敷へと入っていった。
「おかえりなさいませ、ヴィスコンティ様」
老執事 マリウスが我々を迎えた。
「こちらへ」
俺たちが通されたのは、広くて豪奢な家具に囲まれたサロンだった。
そこのソファに陣取ってクリスタ王女とヴィスコンティのお母さんが楽しげに話をしていた。
俺は、ちらっとヴィスコンティを見た。
ヴィスコンティは、俺に微笑みかけた。
俺とイオルグは、クリスタ王女とヴィスコンティのお母さんとヴィスコンティが話しているのを部屋の隅に立ったままきいていた。
「本当に驚いたのよ、クリスタ様が戻られて」
ヴィスコンティのお母さんは、言った。
「だって、もう1週間も前に王がクリスタ様があの子に殺されたって仰ったから」
「兄さんがそんなことできないことは、母上たちが1番よく知ってるんじゃないですか」
ヴィスコンティが言うと、お母さんは、頷いた。
「ええ。あの子は、魔王だけど人を殺したりはしない。そんなことできる子じゃないと思っていたのよ」
「しかし、王がクリスタ様が死んだと言われている以上は、王宮へ戻ることは難しい。父上の方から王へお伝え願えませんか?母上」
ヴィスコンティが言うと、お母さんは、ニッコリと微笑んだ。
「わかったわ、ヴィス。私からあの人に頼んでみます。だから、クリスタ様も安心してここを我が家だと思って、ゆっくりされてくださいね」
「ありがとうございます」
クリスタが礼を言った時、ヴィスコンティの父親である宰相インダラーク伯爵が現れた。
「ラミア、ちょっと席を外してくれないか?」
「あなた?」
「頼む」
ヴィスコンティのお母さんが部屋を出ていくと、インダラーク伯爵は、クリスタやヴィスコンティが座っているソファから少し離れた椅子へ腰かけて言った。
「あなたは、誰なんです?」
「えっ?」
クリスタが戸惑うようにヴィスコンティを見つめた。ヴィスコンティがインダラーク伯爵に答える。
「この方は、クリスタ王女」
「私に嘘をつくな」
インダラーク伯爵は、クリスタを見つめてきいた。
「あなたは、誰なんです?」
「わ、私は」
クリスタが声を詰まらせた。
俺は、溜め息をついた。
「もういい、クリスタ」
俺は、前へと進み出るとインダラーク伯爵にきいた。
「なぜ、この子がクリスタ王女じゃないとわかったんですか?」
「それは」
インダラーク伯爵が答えた。
「私の手の者が王女が死ぬためにお前のもとへ行くということを突き止めていたからだよ、ルファス」
マジか?
全部、バレてる?
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この人は、全てを知っているのか?
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