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二人目 雄吾 TYPE M
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「君達はもっとうなじを崇拝すべきなのだよ!」
「ユーゴ、前も言ったが、俺はおっぱい星人だ」
「ほんと、ユーゴはうなじ好きだよなー」
「女の子のうなじが良いのはわかるが、もっと他の所の方が俺は好きだなー」
「お前も特殊すぎだろ。女の子のアキレス腱が好きなんて初めて聞いたぞ」
「なっ!あのスラリと伸びた綺麗な足の魅力がわからないと?!」
「いや、綺麗なのはわかるけどよー」
「それよりうなじだ!」
「だから、お前もいい加減にせい」
「いや、止まらん! あそこでご飯食べてる女の子、いつもはダウンスタイルなのに、ご飯のときだけはバンスクリップで留めている彼女! あのいつもは隠れているうなじが今は露わになっている! いつも見えないものが見えているというのには興奮しないかね?!」
「その気持はわからんでもないな」
「ほー、アキレス腱よりは良いかもなー」
「なっ!」
「普段見えないで見えちゃったって、下着チラと同じかっ?!」
「ユーゴ、あのこのうなじに点数つけるとしたらお前は何点だ? アマチュアとしては70点行くと思うんだけど」
「俺は60点が良いとこだな。おっぱい星人だからな」
「あのスラリとした中に柔らかさを感じる……、アキレス腱に繋がるものがありそうだ。75点!」
「おお! 布教活動がようやく実を結び始めた! そうだな、あのうなじは良いものだ。80点は硬い!」
「おおーー! 教祖様でもそんなに高いのか!」
「やはりあれは良い物なのか。ありがたや、ありがたや!」
「おっぱい見えないからなー」
俺は松風 雄吾(まつかぜ ゆうご)自他共に認める変態だ。日夜知人にうなじの良さを布教し続けることが自分の使命だと思っている。いや、仕事はちゃんとしてるよ?
今日は大学時代の旧友と久しぶりにあって馬鹿なことを言い合っている。その目的も別にあるのだが、大学時代のノリがどうしても懐かしくなったのと、全く知らない娘だけど、そのうなじが綺麗だったから思わず話題にしてしまった。
「バカユーゴ!」
「おうっ!」
今ここで俺の頭を叩いた女性は俺のパートナー、岡森 舞香(おかもり まいか)。そして、俺の友人3人のパートナー達だ。
大学時代に4人で仲良くなった俺達に、別々で出来た彼女だったが、俺達が仲良すぎて次第に合流し、8人で行動することになり、更には、彼女達も仲良くなり、4人で未だに買い物に出かける位の仲になってる。
今日は、その8人で出かけて遊ぶ予定で集まった。今日はみんなで避暑地の箱根に行く予定。車も考えたけど、新宿からロマンスカーが出ているのでそれで行こうということだった。
乗ってから約1時間半。あっという間に箱根湯本に付き、このまま大涌谷に行こうかと思ったが、ここから1時間ちょっとかかるということだった。せっかくだから箱根登山鉄道に乗りたいということで、行くのは翌日に。黒たまごはお預けだ。
そのまま旅館に向かい、皆はすぐに温泉に入ることに。残念ながら、混浴も、家族風呂も無い為、温泉でのイチャイチャは禁止。と言っても、今日は4部屋に別れる。各々夜はイチャイチャタイムが待っているのだから、今くらいは我慢しても良いだろう。
「しっかし、行き交う浴衣美人のうなじ、ユーゴ全員見てたな」
「あー、見てた見てた。浴衣ってアップにする人多いから……ってまさか、温泉選んだ理由って……」
「確信犯だな」
「ふふ、バレちゃーしょうがない! ここは俺のパラダーイス!」
「おまわりさーん!」
「ちょっ!」
更衣室で、いつもの通りのふざけ合い。そして風呂場に入り、そのまま体を洗い、露天風呂まで直行する。
「こんな時間に風呂って良いよなー。いつも仕事終わりだから暗くなってからしか入れないし」
「だよなー。こんな明るい時間、しかもいい天気の時に入れるなんてそうそう無いもんな」
「ユーゴの性癖に感謝ってか?」
「感謝したまえ!」
「へいへい」
「そーいや、ユーゴ。うちらの彼女のうなじの点数付けてたけど、舞香ちゃんのうなじって何点なの?」
「お……おぅ?」
「なーに疑問形になってるんだよ」
「いつものとおりにズバッと言っちまえよ」
「あー……50点……」
「なーにー?!そんなに低いのか?」
「逆に見たくなってきたな」
「いやいやー、そんなお見せ出来るようなものじゃないよ」
「お前が言うなって」
「でも、教祖様だからなぁ」
「そう考えるとマジなのか?」
「どーだろー?」
そんな馬鹿な話をしていた。だが、一つここで大きな失態を行ってしまっていた。それに気づくのは暫く後になってからだった。
「おおっ! 食事は洋食、和食選べたけど、和食正解じゃね?」
浴衣に皆着替えてから集合し、前もって決めていた旅館内にある、和食専用の店に入る。女性陣はほんのり肌が赤く上気しており、とても艶めかしい様子だった。だが、まずは花より団子。色気より食い気。腹の空いた男達は、いや女達もだが、目の前に準備された料理を眺め、感嘆の言葉を言い合っていた。
「そうね! 凄く美味しそう!」
「俺こんな和食食べるの初めて」
「私は何回かあるけど、ここのも期待できそう!」
「皆何飲む?」
「俺ビール!」
「わかったわ。日本酒ね?」
「なんでだよ!」
結局日本酒で押し切られ、皆でかなり開けてしまうことに。だけど、とても美味しい食事に美味しいお酒。どちらもどんどん進んでいった。
「やーっべ。今日俺立たねーかも」
「ふざけないでよ! 今日まで禁欲してたんだからね?」
「おいおい、廊下でそんな事大声でいうんじゃねーよ。一応淑女だろうよ」
「あら、私も楽しみにしてたんだからね? 寝かさないわよ?」
「まじかよ……」
「おかしいな。俺達肉食系の巣に紛れ込んだか?」
「子羊ちゃん、美味しく、た・べ・て・あ・げ・る」
「死刑宣告されたよ……」
「何よ! 今日はしゃぶってあげないから」
「ごめんなさい。宜しくお願い致します」
友人カップル達は各々その様な言葉を話しながら自分達の部屋、一時的な愛の巣に入っていく。
「舞香、俺達も行こうか」
「うん……」
さっきの食事の時から、周りの皆にはわからなかったみたいだが、俺にはなんとなく元気がない様にずっと見えていた。そして、皆と別れてからよりいっそうそれがはっきりとわかるようになってしまった。
「舞香、どうかしたの?」
「部屋に入ってからにしよう?」
「うん?」
いまいち釈然としないが、素直にカードロックを差し込んで部屋に入る。
部屋の壁にあるカード差込口にカードを入れると、部屋全体の明かりがつき、足元も照らしてくれる。
スリッパを脱ぎ、畳の敷かれた和室に入る。既に布団が二つ、くっつけるように敷かれていた。男女8人、そして4部屋と来れば、旅館側もわかっているのだろう。それぞれの名前が違っても、いや、違っているからこその配慮だろう。
とりあえず、その布団のことは後にして、お酒による体のほてりを覚ますためにお茶を淹れる。そして、窓際にある涼める場所にある椅子に座り飲み始める。
もちろん、舞香の分も用意してだ。
「ふー、落ち着く良い旅館だね」
「うん……」
「舞香、どうしたの、ずっと元気無いけど」
「雄吾、私達別れよっか」
「え?! なんで!!?」
「雄吾私の事あまり好きじゃないみたいだし」
「ちょっとまって、なんでそうなってるのかわからないんだけど??」
「80点の人と付き合えばいいじゃない」
「だから、なんでそうなってるのよ!?」
「だから、別れよう」
舞香はそう伝えるとスーッと両目から涙が溢れ、流れた。感情が振り切れ、せき止めていたものが決壊し、漏れ出てしまっている。いずれ、決壊はより大きなものになり、完全に崩壊してしまうだろう。それに気づいた雄吾は慌てて舞香を抱きしめる。
「ふざけんな! 昔も今も、お前が一番好きだよ! 点数は何の事だかわからないけど、俺にとって、お前よりいい女はいない!」
「うそ。だって私は50点だもん……」
「聞いていたのか……」
男湯で話ししていた点数。それが聞こえていたとは全く思わなかった。しかし、あの50点には色々と意味がある。しかし、それらをすべて伝えるには少々羞恥心が勝ってしまっていた。
「ごめん、大したことないと思われてる人と一緒に居続けるのは無理よ……」
だが、このままでは彼女と本当に別れることになってしまう。それを避けるには真実を打ち明けるしか無い。それがわかった雄吾は大きく深呼吸し、そして伝える。
「舞香、よく聞いてほしい」
「今更何よ」
「舞香のうなじを50点といった理由だけど、いくつか理由がある」
「どうせ、好きでもない、大した事ないという理由でしょ。聞きたくないわ」
「一つ、単純にお前のうなじをほかの人に見せたくなかった」
「そんな程度じゃ、理由にもならないわ」
「二つ、俺にはもう一つ隠しているフェチがある」
「は?」
「三つ、そのフェチと合わせれば、お前のうなじは200点を超えるんだよ」
「ぷっ、なにそれ」
少し吹き出した事によって、彼女から流れてきた負の感情が若干薄らぐ。
「いつもエッチする時、最後ほとんどがバックで終わらせるだろう?」
「そういえばそうね。私は顔を見ながらしたいのにね」
「う……、それはごめん。で、続けるけど、俺のもう一つのフェチって、女性の背中のラインなんだよ」
「なによそれ」
舞香は少し声を出して笑い出す。だけど、まだ小さな乾いた笑いだ。しかし、それでも、先程の空気よりは遥かにマシだった。
「お前の白い肌で、引き締まってるけど、柔らかいライン、そして、首元からうなじにかけて、髪の毛とその肌の濃淡の差、それが俺にとってイッちゃうキーになってるんだよ……」
「あら、良いこと聞いちゃった」
雄吾の告白を聞いた舞香は、悲壮な顔から、悪戯をこれからしてやろうと言うような、悪い顔になっていた。しかし、雄吾は告白することに集中してしまい、それには気づかなかった。
「だから、お前の背中は俺の理想なんだよ。別れるなんて言わないでくれ!」
「わかったわ」
「ほんとうかっ! あ……」
舞香が許してくれたと思い込んだ雄吾は、ようやく彼女の表情を見ることが出来た。許してくれた事はとても嬉しかった。しかし、彼女の悪戯な笑顔がこれから何をしようとしているのか、はっきりとはわからなかったが、あまり良くないことだけはわかった。
「仲直りのエッチしよ。でもね、今日はずっとバックでね。私が10回イクまで眠らせないからね?」
「……マジっすか……」
絶句しか出てこなかったが、悲しいことに体は反応してしまい、むくむくと自分の息子は大きくなっていく。言うことを聞かない息子に腹を立てつつ、だが、これからのことを喜んでしまっている悲しい自分にも気づいてしまっていた。
ゆっくりとキスを済ませ、舞香は雄吾に伝える。
「もう準備良いわ。ゴム無くて良いから、早く入れて」
「え、もう良いの?」
「良いの。早く!」
椅子の背に向かい、お尻を突き出す。そして、しやすいように浴衣の裾を上げ、雄吾を目で誘う。振り向く前に気づいたが、彼の子は浴衣の隙間からパンツを被ったまま顔を出しており、とても元気な事を教えていた。慌ててパンツを脱ぐ雄吾、だが、舞香はわざと脱いでいない。どうするか反応を確かめるつもりだったが、舞香のは降ろさずに、そのまま横にずらして入れた。早く入れてほしいという点に関しては合格点だが、本当は脱がしてほしいと舞香は思っていた。その理由は単純だ。汚れるからだ。
だが、盛り上がっている彼の気持ち、そして、ゴム越しでは無い彼の子の暖かさを感じると、その事はすぐにどうでも良くなっていった。
「やっぱりゴムなし、やばいっ!」
そういう雄吾に対して、手元にあったバンスクリップを使い、髪をまとめ上げてうなじを見せる。
途端に彼の動きが早くなり、中に感じている彼の子も太くなっていく。
「やばい! やばいっ!」
彼の悲鳴に近い声が上がり、舞香の中から抜こうとする。だが、舞香はそんなことはさせない。足に力が入ってない雄吾は舞香がお尻を突き出すと簡単に倒れ、テーブルの上に座ってしまう。舞香もそれを見込んで、椅子から降り、繋がったまま雄吾の上に座る。
「舞香っ! 駄目っ!」
そういった瞬間、彼は大きく痙攣してしまった。
ゆっくりと彼の顔を見るために肩越しに振り向くと、急激な快感に襲われ、目をつぶって快感に耐えていた彼が見えた。それがとてもそそられ、舞香も瞬間的に高まり、イッてしまう。
しかし、雄吾はその1回に気づけなかった。
「はい、抜かないで2回目行くよー」
舞香はアルカイックスマイルと言うか、獣の笑みと言うか、そのような笑いを浮かびあげ、腰を動かす。
「まって! 待って!」
悲鳴を上げる雄吾だが、舞香は止まらない。
「良いのよ、何度中に出しても。私の中をあなたので満たしてちょうだい」
ふふっっと笑いつつ、舞香は雄吾に対して伝える。そして、更に続ける。
「子供が出来たら出来たで良いわ。産むから」
「とんでもない状況での告白だなっ! わかったよ! 結婚しよう!」
快楽に顔を歪ませながらの雄吾の告白。舞香はこの時ばかりは背中を向けていてよかったと言わざるを得なかった。腰の動きは止めなかったが、先程の笑顔とは違い、嬉しすぎて満面の笑みに変わっているのがわかったからだ。
そして、照れ隠しということで腰の動きを更に激しくし、雄吾の悲鳴が更に上る。今すぐ彼とキスをしたい気持ちになっているが、まだまだ恥ずかしくてそんなこと出来ない。結局気持ちが落ち着いたのは雄吾が2回目果て、自分も2回イッた後だった。向かい合い、ゆっくりとキスをする。しかし、舞香の照れ隠しはまだ続いていた。
「後8回ね」
その後、二人の悲鳴のような声が続き、結局朝4時頃ようやく眠ることが出来た。
「なあ、雄吾。お前ら昨日激しすぎなかったか? お前たちの声で思わず盛り上がって俺たちも追加1回しちったよ」
「そうよ。おかげで疲れちゃったわ。でも、長かったわねー、何かあったの?」
「50点の秘密よ」
「なになに? そのちょっと卑猥な響きは」
「内緒」
雄吾はこれから彼女に一生頭が上がらないんだろうなと理解してしまったが、それもまた良いものだろうなと思った。
「ユーゴ、前も言ったが、俺はおっぱい星人だ」
「ほんと、ユーゴはうなじ好きだよなー」
「女の子のうなじが良いのはわかるが、もっと他の所の方が俺は好きだなー」
「お前も特殊すぎだろ。女の子のアキレス腱が好きなんて初めて聞いたぞ」
「なっ!あのスラリと伸びた綺麗な足の魅力がわからないと?!」
「いや、綺麗なのはわかるけどよー」
「それよりうなじだ!」
「だから、お前もいい加減にせい」
「いや、止まらん! あそこでご飯食べてる女の子、いつもはダウンスタイルなのに、ご飯のときだけはバンスクリップで留めている彼女! あのいつもは隠れているうなじが今は露わになっている! いつも見えないものが見えているというのには興奮しないかね?!」
「その気持はわからんでもないな」
「ほー、アキレス腱よりは良いかもなー」
「なっ!」
「普段見えないで見えちゃったって、下着チラと同じかっ?!」
「ユーゴ、あのこのうなじに点数つけるとしたらお前は何点だ? アマチュアとしては70点行くと思うんだけど」
「俺は60点が良いとこだな。おっぱい星人だからな」
「あのスラリとした中に柔らかさを感じる……、アキレス腱に繋がるものがありそうだ。75点!」
「おお! 布教活動がようやく実を結び始めた! そうだな、あのうなじは良いものだ。80点は硬い!」
「おおーー! 教祖様でもそんなに高いのか!」
「やはりあれは良い物なのか。ありがたや、ありがたや!」
「おっぱい見えないからなー」
俺は松風 雄吾(まつかぜ ゆうご)自他共に認める変態だ。日夜知人にうなじの良さを布教し続けることが自分の使命だと思っている。いや、仕事はちゃんとしてるよ?
今日は大学時代の旧友と久しぶりにあって馬鹿なことを言い合っている。その目的も別にあるのだが、大学時代のノリがどうしても懐かしくなったのと、全く知らない娘だけど、そのうなじが綺麗だったから思わず話題にしてしまった。
「バカユーゴ!」
「おうっ!」
今ここで俺の頭を叩いた女性は俺のパートナー、岡森 舞香(おかもり まいか)。そして、俺の友人3人のパートナー達だ。
大学時代に4人で仲良くなった俺達に、別々で出来た彼女だったが、俺達が仲良すぎて次第に合流し、8人で行動することになり、更には、彼女達も仲良くなり、4人で未だに買い物に出かける位の仲になってる。
今日は、その8人で出かけて遊ぶ予定で集まった。今日はみんなで避暑地の箱根に行く予定。車も考えたけど、新宿からロマンスカーが出ているのでそれで行こうということだった。
乗ってから約1時間半。あっという間に箱根湯本に付き、このまま大涌谷に行こうかと思ったが、ここから1時間ちょっとかかるということだった。せっかくだから箱根登山鉄道に乗りたいということで、行くのは翌日に。黒たまごはお預けだ。
そのまま旅館に向かい、皆はすぐに温泉に入ることに。残念ながら、混浴も、家族風呂も無い為、温泉でのイチャイチャは禁止。と言っても、今日は4部屋に別れる。各々夜はイチャイチャタイムが待っているのだから、今くらいは我慢しても良いだろう。
「しっかし、行き交う浴衣美人のうなじ、ユーゴ全員見てたな」
「あー、見てた見てた。浴衣ってアップにする人多いから……ってまさか、温泉選んだ理由って……」
「確信犯だな」
「ふふ、バレちゃーしょうがない! ここは俺のパラダーイス!」
「おまわりさーん!」
「ちょっ!」
更衣室で、いつもの通りのふざけ合い。そして風呂場に入り、そのまま体を洗い、露天風呂まで直行する。
「こんな時間に風呂って良いよなー。いつも仕事終わりだから暗くなってからしか入れないし」
「だよなー。こんな明るい時間、しかもいい天気の時に入れるなんてそうそう無いもんな」
「ユーゴの性癖に感謝ってか?」
「感謝したまえ!」
「へいへい」
「そーいや、ユーゴ。うちらの彼女のうなじの点数付けてたけど、舞香ちゃんのうなじって何点なの?」
「お……おぅ?」
「なーに疑問形になってるんだよ」
「いつものとおりにズバッと言っちまえよ」
「あー……50点……」
「なーにー?!そんなに低いのか?」
「逆に見たくなってきたな」
「いやいやー、そんなお見せ出来るようなものじゃないよ」
「お前が言うなって」
「でも、教祖様だからなぁ」
「そう考えるとマジなのか?」
「どーだろー?」
そんな馬鹿な話をしていた。だが、一つここで大きな失態を行ってしまっていた。それに気づくのは暫く後になってからだった。
「おおっ! 食事は洋食、和食選べたけど、和食正解じゃね?」
浴衣に皆着替えてから集合し、前もって決めていた旅館内にある、和食専用の店に入る。女性陣はほんのり肌が赤く上気しており、とても艶めかしい様子だった。だが、まずは花より団子。色気より食い気。腹の空いた男達は、いや女達もだが、目の前に準備された料理を眺め、感嘆の言葉を言い合っていた。
「そうね! 凄く美味しそう!」
「俺こんな和食食べるの初めて」
「私は何回かあるけど、ここのも期待できそう!」
「皆何飲む?」
「俺ビール!」
「わかったわ。日本酒ね?」
「なんでだよ!」
結局日本酒で押し切られ、皆でかなり開けてしまうことに。だけど、とても美味しい食事に美味しいお酒。どちらもどんどん進んでいった。
「やーっべ。今日俺立たねーかも」
「ふざけないでよ! 今日まで禁欲してたんだからね?」
「おいおい、廊下でそんな事大声でいうんじゃねーよ。一応淑女だろうよ」
「あら、私も楽しみにしてたんだからね? 寝かさないわよ?」
「まじかよ……」
「おかしいな。俺達肉食系の巣に紛れ込んだか?」
「子羊ちゃん、美味しく、た・べ・て・あ・げ・る」
「死刑宣告されたよ……」
「何よ! 今日はしゃぶってあげないから」
「ごめんなさい。宜しくお願い致します」
友人カップル達は各々その様な言葉を話しながら自分達の部屋、一時的な愛の巣に入っていく。
「舞香、俺達も行こうか」
「うん……」
さっきの食事の時から、周りの皆にはわからなかったみたいだが、俺にはなんとなく元気がない様にずっと見えていた。そして、皆と別れてからよりいっそうそれがはっきりとわかるようになってしまった。
「舞香、どうかしたの?」
「部屋に入ってからにしよう?」
「うん?」
いまいち釈然としないが、素直にカードロックを差し込んで部屋に入る。
部屋の壁にあるカード差込口にカードを入れると、部屋全体の明かりがつき、足元も照らしてくれる。
スリッパを脱ぎ、畳の敷かれた和室に入る。既に布団が二つ、くっつけるように敷かれていた。男女8人、そして4部屋と来れば、旅館側もわかっているのだろう。それぞれの名前が違っても、いや、違っているからこその配慮だろう。
とりあえず、その布団のことは後にして、お酒による体のほてりを覚ますためにお茶を淹れる。そして、窓際にある涼める場所にある椅子に座り飲み始める。
もちろん、舞香の分も用意してだ。
「ふー、落ち着く良い旅館だね」
「うん……」
「舞香、どうしたの、ずっと元気無いけど」
「雄吾、私達別れよっか」
「え?! なんで!!?」
「雄吾私の事あまり好きじゃないみたいだし」
「ちょっとまって、なんでそうなってるのかわからないんだけど??」
「80点の人と付き合えばいいじゃない」
「だから、なんでそうなってるのよ!?」
「だから、別れよう」
舞香はそう伝えるとスーッと両目から涙が溢れ、流れた。感情が振り切れ、せき止めていたものが決壊し、漏れ出てしまっている。いずれ、決壊はより大きなものになり、完全に崩壊してしまうだろう。それに気づいた雄吾は慌てて舞香を抱きしめる。
「ふざけんな! 昔も今も、お前が一番好きだよ! 点数は何の事だかわからないけど、俺にとって、お前よりいい女はいない!」
「うそ。だって私は50点だもん……」
「聞いていたのか……」
男湯で話ししていた点数。それが聞こえていたとは全く思わなかった。しかし、あの50点には色々と意味がある。しかし、それらをすべて伝えるには少々羞恥心が勝ってしまっていた。
「ごめん、大したことないと思われてる人と一緒に居続けるのは無理よ……」
だが、このままでは彼女と本当に別れることになってしまう。それを避けるには真実を打ち明けるしか無い。それがわかった雄吾は大きく深呼吸し、そして伝える。
「舞香、よく聞いてほしい」
「今更何よ」
「舞香のうなじを50点といった理由だけど、いくつか理由がある」
「どうせ、好きでもない、大した事ないという理由でしょ。聞きたくないわ」
「一つ、単純にお前のうなじをほかの人に見せたくなかった」
「そんな程度じゃ、理由にもならないわ」
「二つ、俺にはもう一つ隠しているフェチがある」
「は?」
「三つ、そのフェチと合わせれば、お前のうなじは200点を超えるんだよ」
「ぷっ、なにそれ」
少し吹き出した事によって、彼女から流れてきた負の感情が若干薄らぐ。
「いつもエッチする時、最後ほとんどがバックで終わらせるだろう?」
「そういえばそうね。私は顔を見ながらしたいのにね」
「う……、それはごめん。で、続けるけど、俺のもう一つのフェチって、女性の背中のラインなんだよ」
「なによそれ」
舞香は少し声を出して笑い出す。だけど、まだ小さな乾いた笑いだ。しかし、それでも、先程の空気よりは遥かにマシだった。
「お前の白い肌で、引き締まってるけど、柔らかいライン、そして、首元からうなじにかけて、髪の毛とその肌の濃淡の差、それが俺にとってイッちゃうキーになってるんだよ……」
「あら、良いこと聞いちゃった」
雄吾の告白を聞いた舞香は、悲壮な顔から、悪戯をこれからしてやろうと言うような、悪い顔になっていた。しかし、雄吾は告白することに集中してしまい、それには気づかなかった。
「だから、お前の背中は俺の理想なんだよ。別れるなんて言わないでくれ!」
「わかったわ」
「ほんとうかっ! あ……」
舞香が許してくれたと思い込んだ雄吾は、ようやく彼女の表情を見ることが出来た。許してくれた事はとても嬉しかった。しかし、彼女の悪戯な笑顔がこれから何をしようとしているのか、はっきりとはわからなかったが、あまり良くないことだけはわかった。
「仲直りのエッチしよ。でもね、今日はずっとバックでね。私が10回イクまで眠らせないからね?」
「……マジっすか……」
絶句しか出てこなかったが、悲しいことに体は反応してしまい、むくむくと自分の息子は大きくなっていく。言うことを聞かない息子に腹を立てつつ、だが、これからのことを喜んでしまっている悲しい自分にも気づいてしまっていた。
ゆっくりとキスを済ませ、舞香は雄吾に伝える。
「もう準備良いわ。ゴム無くて良いから、早く入れて」
「え、もう良いの?」
「良いの。早く!」
椅子の背に向かい、お尻を突き出す。そして、しやすいように浴衣の裾を上げ、雄吾を目で誘う。振り向く前に気づいたが、彼の子は浴衣の隙間からパンツを被ったまま顔を出しており、とても元気な事を教えていた。慌ててパンツを脱ぐ雄吾、だが、舞香はわざと脱いでいない。どうするか反応を確かめるつもりだったが、舞香のは降ろさずに、そのまま横にずらして入れた。早く入れてほしいという点に関しては合格点だが、本当は脱がしてほしいと舞香は思っていた。その理由は単純だ。汚れるからだ。
だが、盛り上がっている彼の気持ち、そして、ゴム越しでは無い彼の子の暖かさを感じると、その事はすぐにどうでも良くなっていった。
「やっぱりゴムなし、やばいっ!」
そういう雄吾に対して、手元にあったバンスクリップを使い、髪をまとめ上げてうなじを見せる。
途端に彼の動きが早くなり、中に感じている彼の子も太くなっていく。
「やばい! やばいっ!」
彼の悲鳴に近い声が上がり、舞香の中から抜こうとする。だが、舞香はそんなことはさせない。足に力が入ってない雄吾は舞香がお尻を突き出すと簡単に倒れ、テーブルの上に座ってしまう。舞香もそれを見込んで、椅子から降り、繋がったまま雄吾の上に座る。
「舞香っ! 駄目っ!」
そういった瞬間、彼は大きく痙攣してしまった。
ゆっくりと彼の顔を見るために肩越しに振り向くと、急激な快感に襲われ、目をつぶって快感に耐えていた彼が見えた。それがとてもそそられ、舞香も瞬間的に高まり、イッてしまう。
しかし、雄吾はその1回に気づけなかった。
「はい、抜かないで2回目行くよー」
舞香はアルカイックスマイルと言うか、獣の笑みと言うか、そのような笑いを浮かびあげ、腰を動かす。
「まって! 待って!」
悲鳴を上げる雄吾だが、舞香は止まらない。
「良いのよ、何度中に出しても。私の中をあなたので満たしてちょうだい」
ふふっっと笑いつつ、舞香は雄吾に対して伝える。そして、更に続ける。
「子供が出来たら出来たで良いわ。産むから」
「とんでもない状況での告白だなっ! わかったよ! 結婚しよう!」
快楽に顔を歪ませながらの雄吾の告白。舞香はこの時ばかりは背中を向けていてよかったと言わざるを得なかった。腰の動きは止めなかったが、先程の笑顔とは違い、嬉しすぎて満面の笑みに変わっているのがわかったからだ。
そして、照れ隠しということで腰の動きを更に激しくし、雄吾の悲鳴が更に上る。今すぐ彼とキスをしたい気持ちになっているが、まだまだ恥ずかしくてそんなこと出来ない。結局気持ちが落ち着いたのは雄吾が2回目果て、自分も2回イッた後だった。向かい合い、ゆっくりとキスをする。しかし、舞香の照れ隠しはまだ続いていた。
「後8回ね」
その後、二人の悲鳴のような声が続き、結局朝4時頃ようやく眠ることが出来た。
「なあ、雄吾。お前ら昨日激しすぎなかったか? お前たちの声で思わず盛り上がって俺たちも追加1回しちったよ」
「そうよ。おかげで疲れちゃったわ。でも、長かったわねー、何かあったの?」
「50点の秘密よ」
「なになに? そのちょっと卑猥な響きは」
「内緒」
雄吾はこれから彼女に一生頭が上がらないんだろうなと理解してしまったが、それもまた良いものだろうなと思った。
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