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死せる黒猫(3/3)
しおりを挟むクロミはかなりやせていたが、怪我をしているわけでもなく元気そうだった。
次の日、念のため病院に連れて行ったが、診察の結果異常はないとのことで安心した。
クロミの失踪騒ぎは、結局のところよく分からないまま終焉した。
しかし、あのシロスズと名乗る自称占い師はいったい何だったのだろう。
部屋に戻った時にはもうその姿はどこにも無かった。
私はシロスズの占いは途中までは当たっていて、最後のところで外れたのだと思っていた。
クロミは生きて帰ってきたし、占いは外れてそれでよかったと考えていた。
ところがしばらくして、私は考え違いをしている気がしてきたのだ。
それはシロスズが言った言葉がきっかけになった。
彼女は確かこう言った。
―――どうやらクロミは既に亡くなっているかもしれないわね
―――もはや助かる見込みはなかったでしょう
シロスズは決して死んだとは断定していなかった。
占いだから断定的なことは言えなかっただけかもしれないが。
それにあの天使のカードはどういう意味だったのか。
私はクロミが天に召された暗示だと思っていたが、違ったのではないか。
考えれば考えるほど、あの天使のカードには救済の意味があったのではと思えてきたのだ。
だとしたらシロスズは読み間違えたのか、それとも意図的にクロミは死んだというふうに解釈させたかったのか。
―――悲しいですか?
シロスズの背筋が寒くなるような笑顔が脳裏に浮かぶ。
明らかにシロスズは私が悲しむのを見て楽しんでいた気がする。
しかしそれも私の主観に過ぎないのかもしれない。
どうにも解らなかった。
しかし、それらの疑問はたいして問題ではなかった。
一番の問題はシロスズが表れたタイミングだ。
鈴の音と一緒に現われて、そして鈴の音とともに消えてしまった。
私はもしかするとシロスズがクロミを助けたのではないかと思い至った。
助けたクロミを私の家まで送り届けてくれたのかもしれない。
根拠はないがそんな気がした。
そうでなければ、あれは本当にただの偶然ということになる。
シロスズがクロミを助けてくれたのなら……。
今度会った時はお礼を言おう。
そう考えていたのだが、それからシロスズには会えていない。
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