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第二期ダンジョン経営計画
新しい経営方針
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●
不満だらけの内容ながら、何とか目標を果たした。
普通通りにやって最低限の目標を果たすのと、どっちが良いかと言われたら微妙なところだ。ひとまず状況的には異常事態に巻き込まれ、その調査を始めた所で大問題になる前に処置したというところだろうか?
実際にはそんな流れではないのだが、はた目からはそう見える筈。
エレオノーラは細かい部分を誤魔化しながら、得た成果だけを一族に見せるために実家で交渉にあたることになった。その間に俺たちは宿で事情徴収に答えつつ、今後の為に感想戦と将来に向けた計画である。
「まず前回の感想戦から。我々は相互に情報共有をせず不要な苦戦をしました」
「一時的な協力しているだけだからと、手の内や要望を晒しませんでした」
「もしお互いに目的とそれに向けた要望を話しあい、情報を交換すれば苦戦などしなかった」
「暴走して襲い掛かって来たゴブリンたちをその場で仕留めたり、あるいはスムーズに退いて楽に倒せたはず。オールド・キメラだって余裕があるならば、一度下がって翌日に攻める成り、入り口まで戻って対処しても良かったはずです」
馬鹿馬鹿しい話だが、俺自身も判断ミスをかなりしている。
ジャンもお客様としか見られていないことを知っているから、最低限の情報しか喋るわけがない。もし彼がまだ未熟だから使ってない技があるが、付与魔法があれば瞬時に雑魚数体や、オーガくらいなら仕留められるなんて知りはしなかった。そしてこちらで名声を上げ自らを鍛え上げ、移民や本国の人々を安心させたいと焦っているとは思いもしなかったのだ。
エレオノーラもまた自分が使える全ての呪文を教えてくれていたわけではない。また立場的に結構追い込まれており、一歩も引かずに戦うつもりがあったなどとは教えてもくれなかった。そんな中で依頼主だからと甘やかされるまま、聞かれた事だけを答えていたのだ。
「次回も手を組むようなことがあるならば、もう少し歩み寄りませんか? その上で互いの要望を伝え、協力する代わりに何が欲しい、あるいは代価と引き替えにこんな協力提案があるが受け入れるかと最低限伝えるべきだと思いました」
「……そうだな。次もやる必要があるかは別にして、その可能性は否定しない」
「自分は良いっすよ。色々案はあるけど試し切れてないっすしね……予算次第っす」
ジャンは不承不承ながら了承する。
自分が未熟であるとか、自分勝手に動いたことを認めたいわけではないだろう。しかし彼に要望があるとして、受け入れる代わりに手の内を晒せと言われれば頷いたと思われる。ともあれそれは結果論であり、既に幾つかの事が判った上で、オールド・キメラを討ち取ったという功績で誤魔化せるからというのもあるかもしれない。
なお、フィリッパの方は専用武装であるとか、ホムンクルスそのものも幾つかのバリエーション候補があったらしい。一番効率よい奴が採用されたから何も言わなかっただけで、ポーションやら予算があれば、もっと色々出来たようだと主張している。
「ボクも問題ないです。あえていうなら、もっとお役に立てるようにありたいなあ……と」
「そうアルネ。ワタシや弟、もと協力して良いの心ヨ。色々な物を贈ってくれるとカ、ジャンさんの一族が協力してくれればありがたいネ」
一方で、前回特にミスらしいミスをしてない二人組は余裕だ。
リシャールは見張りしかしていないし、重要な情報は全部送っている。彼からすれば、見張りの技術とか薬草に関する知識をもっと教えてくれたら、お互いに得になるという程度でしかない。ブーの方は命を賭けない代わりに予算を抑え気味と言う感じだが、最初から金に糸目を付けないか、ポーションなどの物資をくれるならば命を賭けても良いという。ブーの弟の能力はしらないが、ジャンより強いならば今回の戦いはもっと楽に成っていただろう。
「俺も仕事だからと格好つけて、確実に判る予想だけを述べるのは止めます。怪しい予想も含めた上で、みなで協議しましょう。と、まあ景気の悪い話は此処までとしましょうか」
さて、感想戦から来る反省会はここまでにしよう。
テーブルに食い物やら酒やら用意して、もっと建設的な話をしておくことにした。未来についても会議しておくべきだしな。
●
次に何時挑むかは別にして、計画を立てておかねばなるまい。
エレオノーラが今回の事で排除されたり逆に次期当主に決定し、俺達が必要なくなるとなったら話は別だが、次回以降に向けて経営会議は必要であろう。
ひとまず俺たちのチームが、あのダンジョンへ投入される物として仮定する。
「ひとまず今のダンジョンを経営の仮目標に、再攻略を目標として挙げる」
「前より戦力と物資を揃えて挑むというのが、場当たり的だが有効な手段だ」
「ただし、この方法では前回以上の脅威が居たり、特化型の敵が居れば敗北する」
「数を揃えるだけと言うのは思考放棄でしかないし、先ほど言った通り要望を取り入れてくれるならもっと力を寄こせる場合、まるで比較にならない戦力を得られるだろう。もちろん、それは一対一とは限らない。例えばそうだな……」
本道に戻り、あくまでダンジョン経営として話を進める。
その上で仮目標としてあのダンジョンの攻略を挙げる。話のタネとしては判り易いし、各人の要望を話し材料になり、代価としてどんな協力が出来るかを話し易くなる。もちろん本当の目的を隠したり、出来ないことを出来ると言い出す可能性はあるだろう。しかし、ここで信じなければ話にならないし、手を抜く気ならば協力するように説得すべきだろう。
そしてこのネタで話す利点としては、作戦会議としては無駄に成らないからである。
「例えばブーは物資であったり、同じサンドーンに住むジャンさんの一族の協力と言った」
「ここでジャンさんの一族が協力したくなるようなモノを我々が提供する手もある」
「ホムンクルスが人間の形以外でも可能なら、馬の形状で名馬の性能ならば?」
「あるいはそれらを市場に売りに出し、その必要で手に入る別の戦力だったらどうだろう。魔法の剣であるとか、大量の保存食を購入して送る手もあるよな。育てて売るだけならば、別にホムンクルスである必要はない。レアなポーションでも良い訳だしな」
最初はブーとジャンを交互に見たが、途中からリシャールに向いてみる。
森で管理できる部分を増やし、その為にまだ手を付けてない森の中央部へ探索しても良い。その時はホムンクルスをゾロゾロ引き連れるのではなく、少数精鋭で森を荒らさずに歩いて行くわけだ。もちろん可能であれば、他の土地から採取した薬草を育てても良いだろう。
一対一の交渉だと、どうしても無理が出る。
ジャンの一族がただの利益でオークに協力するはずがないからだ。他の地域でも怪しいのだが、サンドーンはオーク帝国があったからな。まともな手段で協力することはないだろう。今話が出来ているのは、単純にジャンの一族が存続の窮地にあるからでしかない。
「魔法の剣とホムンクルスの馬というのは魅力だが……可能なのか?」
「一応は可能っすけど、何を持って名馬かは知らないっすよ?」
「確実に名馬とは言えないだろうが、従順で走るだけ、耐久力があるだけならいけるだろ? 後はその能力を見て、名馬じゃないなら一頭ではなく五頭~七頭と言い出したら、また別の欲が出て来るしな」
やはり貴族の子ならば魔法の剣や名馬には憧れるのだろう。
適当に話をしたが、フィリッパの言う事には一応可能らしい。まあ向こうは馬だけではなくラクダという生物が居るらしいし、何種類かバリエーションがあれば、どれか望みに合致するのがあるだろう。そして普段ならば揃えるのに苦労する『戦いを恐れない馬』でも、ホムンクルスならば当たり前の様に生産可能だ。
なお、当然の事ならば魔法の武器はやり方による。
上澄みを求めないならば金を出して普通に買う事も出来るし、ちょっとした能力ならば自作する手もある。現にホムンクルスが生産されているのだ、ダンジョンに付与用の魔法陣を用意したり、あるいは取引材料を用意して知り合いに作ってもらっても良いだろう。
「他にも協力じゃなくて、他の一族も含めた不戦同盟とか食料の融通はどうだ?」
「一考の余地はアルネ。オーク虐められているアル。食料はとても重要ヨ」
「オークが迫害されてる理由は十分にあると思うがな。まあそのくらいならあり得るか。こちらにとっても損にはならんから、父上も受け入れる可能性がある。むろん、こちらにも食料を送ってくれるならばだ」
この辺はあやふやであり、できるかどうかも分からない。
しかし思い付きにしては悪く無い案だと思われる。そんな感じで条件をすり合わせ、あるいは生産する物を考慮すれば、色んな手段が採れるだろう。
俺達はそんな事を考えながら、次回以降に何がしたいか、何ができるかを考えて再び集まることにした。
不満だらけの内容ながら、何とか目標を果たした。
普通通りにやって最低限の目標を果たすのと、どっちが良いかと言われたら微妙なところだ。ひとまず状況的には異常事態に巻き込まれ、その調査を始めた所で大問題になる前に処置したというところだろうか?
実際にはそんな流れではないのだが、はた目からはそう見える筈。
エレオノーラは細かい部分を誤魔化しながら、得た成果だけを一族に見せるために実家で交渉にあたることになった。その間に俺たちは宿で事情徴収に答えつつ、今後の為に感想戦と将来に向けた計画である。
「まず前回の感想戦から。我々は相互に情報共有をせず不要な苦戦をしました」
「一時的な協力しているだけだからと、手の内や要望を晒しませんでした」
「もしお互いに目的とそれに向けた要望を話しあい、情報を交換すれば苦戦などしなかった」
「暴走して襲い掛かって来たゴブリンたちをその場で仕留めたり、あるいはスムーズに退いて楽に倒せたはず。オールド・キメラだって余裕があるならば、一度下がって翌日に攻める成り、入り口まで戻って対処しても良かったはずです」
馬鹿馬鹿しい話だが、俺自身も判断ミスをかなりしている。
ジャンもお客様としか見られていないことを知っているから、最低限の情報しか喋るわけがない。もし彼がまだ未熟だから使ってない技があるが、付与魔法があれば瞬時に雑魚数体や、オーガくらいなら仕留められるなんて知りはしなかった。そしてこちらで名声を上げ自らを鍛え上げ、移民や本国の人々を安心させたいと焦っているとは思いもしなかったのだ。
エレオノーラもまた自分が使える全ての呪文を教えてくれていたわけではない。また立場的に結構追い込まれており、一歩も引かずに戦うつもりがあったなどとは教えてもくれなかった。そんな中で依頼主だからと甘やかされるまま、聞かれた事だけを答えていたのだ。
「次回も手を組むようなことがあるならば、もう少し歩み寄りませんか? その上で互いの要望を伝え、協力する代わりに何が欲しい、あるいは代価と引き替えにこんな協力提案があるが受け入れるかと最低限伝えるべきだと思いました」
「……そうだな。次もやる必要があるかは別にして、その可能性は否定しない」
「自分は良いっすよ。色々案はあるけど試し切れてないっすしね……予算次第っす」
ジャンは不承不承ながら了承する。
自分が未熟であるとか、自分勝手に動いたことを認めたいわけではないだろう。しかし彼に要望があるとして、受け入れる代わりに手の内を晒せと言われれば頷いたと思われる。ともあれそれは結果論であり、既に幾つかの事が判った上で、オールド・キメラを討ち取ったという功績で誤魔化せるからというのもあるかもしれない。
なお、フィリッパの方は専用武装であるとか、ホムンクルスそのものも幾つかのバリエーション候補があったらしい。一番効率よい奴が採用されたから何も言わなかっただけで、ポーションやら予算があれば、もっと色々出来たようだと主張している。
「ボクも問題ないです。あえていうなら、もっとお役に立てるようにありたいなあ……と」
「そうアルネ。ワタシや弟、もと協力して良いの心ヨ。色々な物を贈ってくれるとカ、ジャンさんの一族が協力してくれればありがたいネ」
一方で、前回特にミスらしいミスをしてない二人組は余裕だ。
リシャールは見張りしかしていないし、重要な情報は全部送っている。彼からすれば、見張りの技術とか薬草に関する知識をもっと教えてくれたら、お互いに得になるという程度でしかない。ブーの方は命を賭けない代わりに予算を抑え気味と言う感じだが、最初から金に糸目を付けないか、ポーションなどの物資をくれるならば命を賭けても良いという。ブーの弟の能力はしらないが、ジャンより強いならば今回の戦いはもっと楽に成っていただろう。
「俺も仕事だからと格好つけて、確実に判る予想だけを述べるのは止めます。怪しい予想も含めた上で、みなで協議しましょう。と、まあ景気の悪い話は此処までとしましょうか」
さて、感想戦から来る反省会はここまでにしよう。
テーブルに食い物やら酒やら用意して、もっと建設的な話をしておくことにした。未来についても会議しておくべきだしな。
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次に何時挑むかは別にして、計画を立てておかねばなるまい。
エレオノーラが今回の事で排除されたり逆に次期当主に決定し、俺達が必要なくなるとなったら話は別だが、次回以降に向けて経営会議は必要であろう。
ひとまず俺たちのチームが、あのダンジョンへ投入される物として仮定する。
「ひとまず今のダンジョンを経営の仮目標に、再攻略を目標として挙げる」
「前より戦力と物資を揃えて挑むというのが、場当たり的だが有効な手段だ」
「ただし、この方法では前回以上の脅威が居たり、特化型の敵が居れば敗北する」
「数を揃えるだけと言うのは思考放棄でしかないし、先ほど言った通り要望を取り入れてくれるならもっと力を寄こせる場合、まるで比較にならない戦力を得られるだろう。もちろん、それは一対一とは限らない。例えばそうだな……」
本道に戻り、あくまでダンジョン経営として話を進める。
その上で仮目標としてあのダンジョンの攻略を挙げる。話のタネとしては判り易いし、各人の要望を話し材料になり、代価としてどんな協力が出来るかを話し易くなる。もちろん本当の目的を隠したり、出来ないことを出来ると言い出す可能性はあるだろう。しかし、ここで信じなければ話にならないし、手を抜く気ならば協力するように説得すべきだろう。
そしてこのネタで話す利点としては、作戦会議としては無駄に成らないからである。
「例えばブーは物資であったり、同じサンドーンに住むジャンさんの一族の協力と言った」
「ここでジャンさんの一族が協力したくなるようなモノを我々が提供する手もある」
「ホムンクルスが人間の形以外でも可能なら、馬の形状で名馬の性能ならば?」
「あるいはそれらを市場に売りに出し、その必要で手に入る別の戦力だったらどうだろう。魔法の剣であるとか、大量の保存食を購入して送る手もあるよな。育てて売るだけならば、別にホムンクルスである必要はない。レアなポーションでも良い訳だしな」
最初はブーとジャンを交互に見たが、途中からリシャールに向いてみる。
森で管理できる部分を増やし、その為にまだ手を付けてない森の中央部へ探索しても良い。その時はホムンクルスをゾロゾロ引き連れるのではなく、少数精鋭で森を荒らさずに歩いて行くわけだ。もちろん可能であれば、他の土地から採取した薬草を育てても良いだろう。
一対一の交渉だと、どうしても無理が出る。
ジャンの一族がただの利益でオークに協力するはずがないからだ。他の地域でも怪しいのだが、サンドーンはオーク帝国があったからな。まともな手段で協力することはないだろう。今話が出来ているのは、単純にジャンの一族が存続の窮地にあるからでしかない。
「魔法の剣とホムンクルスの馬というのは魅力だが……可能なのか?」
「一応は可能っすけど、何を持って名馬かは知らないっすよ?」
「確実に名馬とは言えないだろうが、従順で走るだけ、耐久力があるだけならいけるだろ? 後はその能力を見て、名馬じゃないなら一頭ではなく五頭~七頭と言い出したら、また別の欲が出て来るしな」
やはり貴族の子ならば魔法の剣や名馬には憧れるのだろう。
適当に話をしたが、フィリッパの言う事には一応可能らしい。まあ向こうは馬だけではなくラクダという生物が居るらしいし、何種類かバリエーションがあれば、どれか望みに合致するのがあるだろう。そして普段ならば揃えるのに苦労する『戦いを恐れない馬』でも、ホムンクルスならば当たり前の様に生産可能だ。
なお、当然の事ならば魔法の武器はやり方による。
上澄みを求めないならば金を出して普通に買う事も出来るし、ちょっとした能力ならば自作する手もある。現にホムンクルスが生産されているのだ、ダンジョンに付与用の魔法陣を用意したり、あるいは取引材料を用意して知り合いに作ってもらっても良いだろう。
「他にも協力じゃなくて、他の一族も含めた不戦同盟とか食料の融通はどうだ?」
「一考の余地はアルネ。オーク虐められているアル。食料はとても重要ヨ」
「オークが迫害されてる理由は十分にあると思うがな。まあそのくらいならあり得るか。こちらにとっても損にはならんから、父上も受け入れる可能性がある。むろん、こちらにも食料を送ってくれるならばだ」
この辺はあやふやであり、できるかどうかも分からない。
しかし思い付きにしては悪く無い案だと思われる。そんな感じで条件をすり合わせ、あるいは生産する物を考慮すれば、色んな手段が採れるだろう。
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