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ラストバトル編
時計の針を進めるために
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洞穴エルフたちは戦えない者を効率的に動員していた。
あくまで推測に過ぎないが、そいつらの魔力だけを利用して、睡眠をもたらす薬で眠らせて強制的に回復していると思われたのだ。もちろん普通の眠りよりも回復度合いは悪いだろうし、薬にも副作用はありそうだ。だが俺たちにとっては、敵の脅威が持続するという意味でもある。
儀式魔法としては意味が薄い。
しかし魔力を効率的に運用するという意味では悪くないだろう。本来ならば術者の能力を増強する為に使用する儀式を、ただ魔力運用に使うとは恐れ入ったというか、儀式魔法が廃れて自然と特化したというか。
「治療の長が回復呪文を、召喚の長が精霊呼ぶ、付与の長が仲間を強化ってところだろうな。他の部族は魔力を渡し、眠るだけの道具になってやがると見た」
「そんなもの、ただの可能性では?」
「出来るかもしれないことを出来ないと判断するのか?」
「考えられるならば出来るものとして扱うべきであろうの」
所詮は推測、しかし可能性としては高い。
仮に士気高揚の歌か何かだとしても、そこに効果が無ければやってないだろう。必勝の信念があれば強くなるとしても、そんなものは僅かな物だ。魔力と肉体の増強効果を、そこそこの時間強化が続くという程度だろう。少なくとも連中が圧倒的な強さを見せてない以上は、持続性の効果だと思えるからだ。
その上で、この後でどうするかを考慮して行く。
「ひとまず時間を掛けて心身を攻めるのは無しだ」
「布告した範囲でも暴発の危険を考えてその予定はなかった」
「こちらも魔力を融通できるしポーションも用意しているが……」
「積み上げている成果の差がどれほどか分からないし、仮に勝っているとしても無駄金が出るだけだからな。呪文を使うたびに銅貨を浪費し、ポーションを使うたびに銀貨を使うような戦いは出来るだけ続けたくはないな」
ひとまず現状と未来の話をしよう。
同じことをしながら戦いは続けられるし、治療も援護も出来る。しかし、そうすれば勝てても馬鹿みたいな費用が飛ぶ。これまでの蓄財で何とかしているが、無制限と言う訳でもない。むしろこのダンジョンを押さえたらオトンdなジョンはフィリッパに売ることになっているのだ。今後もホムンクルスは安く売ってくれるにしても、利益率が上がる事はないだろう。
その事を理解できる者は消費する金を考えて顔を青くし、そうでない者は金勘定よりも功績の方が重要だと思っているようだ。
「ただ得た情報通りなら得たことも大きい。推測した通りに魔力を使うならば、むしろ暴走は無くなった。石に魔力をひたすらにため込み、強烈な大規模魔法を使われる方が怖かったんだ。オマケとしては、仮に降伏したら奴らの使っている術は聞き出せば、大きな武器にも利益になるな」
「おお、それは良いですな。潰れて死にたくはないゆえ」
「臆病者め! だが、これで敵を倒し切れば良いという事」
「まあまあ、降伏も悪くはなさそうですぞ。農民では無理でしょうが、才ある者なら行けるでしょう
話をまとめるが、意見を出す者たちは様々だ。
本家へ忠誠を見せるために付き合いでやってきている者、功績と武名を上げておきたい者、そしてこちらに阿って扱いを良くしておきたい者がいるのだろう。他にも兵長クラスの小隊長はいるが流石に意見までは出せないらしい。
それらを踏まえて戦力の比較を行い、短期決戦でも勝てるように誘導していくべきなんだよな。
「ともあれ全ての地形もそろそろ判る。連中が馬鹿でなければ、封鎖している場所はもっと多いはずだ。その上で大広間と、その奥の部屋や倉庫などの重要区画だけ残しているんだろう。情報を把握するまではこのまま前進、判り次第に第三段階に入るぞ」
「言われる間でもない」
「良きかな良きかな」
「承知した」
別にウイザードアイで全てのエリアを把握する必要はない。
何しろ元の構造は遺跡時代の古い物であるが、既に地形図があるのだ。重要な場所は既に分かっているので後は順番に調べて行くだけだし、敵の方でも以前の失敗も踏まえて戦力を集中しつつ、余分な場所は封鎖しているはずだ。ならば相手の配置も戦力も丸判りで、ただ勝てる数だけを揃えて進めばよいと言うだけである。暗殺者対策はしておく必要があるが、惰性で力攻めが可能なのである。
そして第三段階とは効率を捨てて強攻を行うタイミングのことである。それまでは効率よく敵の数を減らし、リンクを増やしていく第二段階のままと言う訳だ。
「あの人たちは降伏しないのでしょうか?」
「老人たちは諦めてるだろうが、若者や大人たちは難しいんじゃないか? あそこを奪ったのは爺様の爺様の時代。連中にとっては既に故郷だし、侵略されたら立ち向かうのはお前ん所と同じだよ。違う所があるとしたら、話を聞く気は無かったしお前さんのところは村人相手なら話を聞いてたはずだが」
洞穴エルフたちはこのダンジョンの簒奪者だった。
だからエレオノーラの一族は奪い返そうとするし、受け継いだ連中から見れば自分たちの物にしたのだから奪われまいとする。せめて当事者同士ならば妥協できるかもしれないが、時間が流れてこちらは怨みを敵は財産だけを継承しているのだから折り合いがつくはずもない。後は決着がついて、勝者の権利として奴隷にするなり売りさばく成り追放するかを選ぶくらいだった。
とはいえ、まだ決着がついたわけでも無い。本当に何も出来ないワケでもないか。リシャールの言いたいことは何となく判るし、連中が手を繋いでやってることも、もし推測通りなら面白いテクニックだしな。
「次にデボラが休む段階になったら、適当な呪文が無いか聞いてみるか? 降伏しても良いという派閥が居るなら、姿隠しの呪文で手紙だけ届けにいくなり伝言の呪文でを伝える成りできるかもしれん」
「そうですね! このまま頃合い会うよりも良いかと思います!」
少しばかり考えてみるが、リシャールほどは期待して居ない。
みんな大広間に固まっているのだし、既に何度も話し合って決めた内容がそう簡単に覆るとも思えないからだ。まあ、眠っている老人と子供数人を助命するくらいが精々なんじゃないかと思う。
「今の話は騎士たちにはしないのか?」
「したら間違いなく暗殺しろって提案されますよ。眠って居るものに近寄れるなら殺せ、伝言だけなら大声で脅かせってね。でもそれをやると、降伏させないとしてもシコリが残ります。むしろ味方が信じれなくなりますから」
作戦と言う物は共有した方が良いが、全てではない。
後ろ暗い話に関してはコッソリした方が良いのだ。降伏勧告の為に敵の寝返りやサボタージュを誘うだけならまだしも、暗殺などさせたら間違いなく問題に成る。少なくとも、そんな提案をする奴と一緒に過ごしたくはないし、いつか自分にもと思ってしまうだろう。
だからこの辺の話はコッソリすべきだし、運が良ければ助けるくらいに思うべきなのだ。いずれにせよ今はただ攻め続けるしかない。
洞穴エルフたちは戦えない者を効率的に動員していた。
あくまで推測に過ぎないが、そいつらの魔力だけを利用して、睡眠をもたらす薬で眠らせて強制的に回復していると思われたのだ。もちろん普通の眠りよりも回復度合いは悪いだろうし、薬にも副作用はありそうだ。だが俺たちにとっては、敵の脅威が持続するという意味でもある。
儀式魔法としては意味が薄い。
しかし魔力を効率的に運用するという意味では悪くないだろう。本来ならば術者の能力を増強する為に使用する儀式を、ただ魔力運用に使うとは恐れ入ったというか、儀式魔法が廃れて自然と特化したというか。
「治療の長が回復呪文を、召喚の長が精霊呼ぶ、付与の長が仲間を強化ってところだろうな。他の部族は魔力を渡し、眠るだけの道具になってやがると見た」
「そんなもの、ただの可能性では?」
「出来るかもしれないことを出来ないと判断するのか?」
「考えられるならば出来るものとして扱うべきであろうの」
所詮は推測、しかし可能性としては高い。
仮に士気高揚の歌か何かだとしても、そこに効果が無ければやってないだろう。必勝の信念があれば強くなるとしても、そんなものは僅かな物だ。魔力と肉体の増強効果を、そこそこの時間強化が続くという程度だろう。少なくとも連中が圧倒的な強さを見せてない以上は、持続性の効果だと思えるからだ。
その上で、この後でどうするかを考慮して行く。
「ひとまず時間を掛けて心身を攻めるのは無しだ」
「布告した範囲でも暴発の危険を考えてその予定はなかった」
「こちらも魔力を融通できるしポーションも用意しているが……」
「積み上げている成果の差がどれほどか分からないし、仮に勝っているとしても無駄金が出るだけだからな。呪文を使うたびに銅貨を浪費し、ポーションを使うたびに銀貨を使うような戦いは出来るだけ続けたくはないな」
ひとまず現状と未来の話をしよう。
同じことをしながら戦いは続けられるし、治療も援護も出来る。しかし、そうすれば勝てても馬鹿みたいな費用が飛ぶ。これまでの蓄財で何とかしているが、無制限と言う訳でもない。むしろこのダンジョンを押さえたらオトンdなジョンはフィリッパに売ることになっているのだ。今後もホムンクルスは安く売ってくれるにしても、利益率が上がる事はないだろう。
その事を理解できる者は消費する金を考えて顔を青くし、そうでない者は金勘定よりも功績の方が重要だと思っているようだ。
「ただ得た情報通りなら得たことも大きい。推測した通りに魔力を使うならば、むしろ暴走は無くなった。石に魔力をひたすらにため込み、強烈な大規模魔法を使われる方が怖かったんだ。オマケとしては、仮に降伏したら奴らの使っている術は聞き出せば、大きな武器にも利益になるな」
「おお、それは良いですな。潰れて死にたくはないゆえ」
「臆病者め! だが、これで敵を倒し切れば良いという事」
「まあまあ、降伏も悪くはなさそうですぞ。農民では無理でしょうが、才ある者なら行けるでしょう
話をまとめるが、意見を出す者たちは様々だ。
本家へ忠誠を見せるために付き合いでやってきている者、功績と武名を上げておきたい者、そしてこちらに阿って扱いを良くしておきたい者がいるのだろう。他にも兵長クラスの小隊長はいるが流石に意見までは出せないらしい。
それらを踏まえて戦力の比較を行い、短期決戦でも勝てるように誘導していくべきなんだよな。
「ともあれ全ての地形もそろそろ判る。連中が馬鹿でなければ、封鎖している場所はもっと多いはずだ。その上で大広間と、その奥の部屋や倉庫などの重要区画だけ残しているんだろう。情報を把握するまではこのまま前進、判り次第に第三段階に入るぞ」
「言われる間でもない」
「良きかな良きかな」
「承知した」
別にウイザードアイで全てのエリアを把握する必要はない。
何しろ元の構造は遺跡時代の古い物であるが、既に地形図があるのだ。重要な場所は既に分かっているので後は順番に調べて行くだけだし、敵の方でも以前の失敗も踏まえて戦力を集中しつつ、余分な場所は封鎖しているはずだ。ならば相手の配置も戦力も丸判りで、ただ勝てる数だけを揃えて進めばよいと言うだけである。暗殺者対策はしておく必要があるが、惰性で力攻めが可能なのである。
そして第三段階とは効率を捨てて強攻を行うタイミングのことである。それまでは効率よく敵の数を減らし、リンクを増やしていく第二段階のままと言う訳だ。
「あの人たちは降伏しないのでしょうか?」
「老人たちは諦めてるだろうが、若者や大人たちは難しいんじゃないか? あそこを奪ったのは爺様の爺様の時代。連中にとっては既に故郷だし、侵略されたら立ち向かうのはお前ん所と同じだよ。違う所があるとしたら、話を聞く気は無かったしお前さんのところは村人相手なら話を聞いてたはずだが」
洞穴エルフたちはこのダンジョンの簒奪者だった。
だからエレオノーラの一族は奪い返そうとするし、受け継いだ連中から見れば自分たちの物にしたのだから奪われまいとする。せめて当事者同士ならば妥協できるかもしれないが、時間が流れてこちらは怨みを敵は財産だけを継承しているのだから折り合いがつくはずもない。後は決着がついて、勝者の権利として奴隷にするなり売りさばく成り追放するかを選ぶくらいだった。
とはいえ、まだ決着がついたわけでも無い。本当に何も出来ないワケでもないか。リシャールの言いたいことは何となく判るし、連中が手を繋いでやってることも、もし推測通りなら面白いテクニックだしな。
「次にデボラが休む段階になったら、適当な呪文が無いか聞いてみるか? 降伏しても良いという派閥が居るなら、姿隠しの呪文で手紙だけ届けにいくなり伝言の呪文でを伝える成りできるかもしれん」
「そうですね! このまま頃合い会うよりも良いかと思います!」
少しばかり考えてみるが、リシャールほどは期待して居ない。
みんな大広間に固まっているのだし、既に何度も話し合って決めた内容がそう簡単に覆るとも思えないからだ。まあ、眠っている老人と子供数人を助命するくらいが精々なんじゃないかと思う。
「今の話は騎士たちにはしないのか?」
「したら間違いなく暗殺しろって提案されますよ。眠って居るものに近寄れるなら殺せ、伝言だけなら大声で脅かせってね。でもそれをやると、降伏させないとしてもシコリが残ります。むしろ味方が信じれなくなりますから」
作戦と言う物は共有した方が良いが、全てではない。
後ろ暗い話に関してはコッソリした方が良いのだ。降伏勧告の為に敵の寝返りやサボタージュを誘うだけならまだしも、暗殺などさせたら間違いなく問題に成る。少なくとも、そんな提案をする奴と一緒に過ごしたくはないし、いつか自分にもと思ってしまうだろう。
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