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第八章
『冒険者たち』
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冒険者として秘密を守れる傭兵に依頼を頼んだ。
その名の通り、ゴルビーの東を探検してもらう予定だ。ちゃんと初期調査であり、危険よりも安全に情報を持ち帰ることを明記してある。また秘密と言うのも新型のゴーレムを使っているからで、海に関しては特に口止めはしないとも記載している。
とはいえその依頼文を張り出し、受けてくれる者があつまるまでは時間が掛かるのは当然だった。誰でも良いなら簡単だったんだろうけどな。
「自動的に動く船!? 素晴らしい! ですが……どうしてこの事を教えて下さらなかったのですか? もし知って居ればキエフも改良の余地を残しましたのに」
「これは三胴船が前提なんだ。それにバルガス河だとまた秘密が漏れるぞ」
奇妙な事にキエール伯爵家の者が冒険者を連れて来ていた。
人材の派遣も兼ねて……と言う事らしいが、冒険者ギルドでは依頼文を張る形式なのでおおよその内容は判る。そこで問題が発生すると忠告兼謝罪にやって来たらしい。
何が言いたいかと言うと、キーエル家に提供した旋盤の知見が微妙に漏れる直前だったそうなのだ。もちろん水際で阻止したと主張しているが、そもそもその手前ですら機密だったので、万全であるはずがない。
「それをおっしゃられると返す言葉がありません。しかし、ゴーレムに関する部分の秘密だけでは同じように漏れるでしょう。その事を忠告するために参った次第です」
「まさか旋盤をゴーレム技術無しで再現するとは思わなかったからなあ」
国鉄参加への保険の無い彼らに、船を建造し易くなる旋盤を提供した。
ゴーレム化した円盤型ノコギリを高速回転させて切る技術だが、ゴーレムであることを伏せて、水車を組み合わせて見たら良いだろうと自力で試したそうなのだ。大工たちも秘密にしようとはしていたが……『身内になら良いだろう』と善意で家族に伝える馬鹿が居たという事である。
幸いにも伝えられた身内の大工もキーエル家に呼ばれていた大工で、『そんな凄い技術を見つけるなんて凄い! だから儂にも教えてくれ!』と大声で宣ったために早い段階で見つかったのだ。実に馬鹿馬鹿しい話である。
「そもそもの話なんだがな……そこにある風車ゴーレムが回ってるのも水車で代用する事を俺はやってるんだ。それなのにあえて出来ると言わなかったのは、隠すためだったからな。その辺りも最初に説明すべきだったか……土産である彼らに免じてここは問題なしにしとこうか」
「そうしていただけると幸いです」
起きてしまった機密漏洩に関して言及するのは止めよう。
これ以上の漏洩が無ければそれで良いし、もし止められないならばゴルビ-男爵家とキーエル伯爵家の名前で各地に提供すれば良いだろう。そうなったらその時の話だし、今はこれ以上の言及は必要ない。
やるべきことは海洋探査に関してなのだから。
「依頼文を呼んだとは思うが、重要なのは情報を持ち帰る事だ」
「最終目標は幾つかの段階を経て、次の拠点候補地を見つける事になる」
「その為の初期目標は三胴船を操る事に慣れ、近隣の探索になるな」
「浅瀬が無くなる場所を調べ、一定の情報を集めたら戻って相談。陸添いに南下して行きやはり相談、建物を建てて拠点にしたい場所を見つけたら、そこに木材や作業用ゴーレムを運べるかをの検討会をしてひとまずの終了になる」
土産と言うのはキーエル伯が懇意にしていた傭兵たちだった。
信用が置けることと水に慣れているということを満たしており、呪文を使えるメンバーも居るという。俺はその土産に満足して、セシリアと共に絞り込んだ内容を説明したと言う訳だ。
何度も検討している事や、先に依頼文を張っている事もあり今の所は不満はなさそうに見える。
「質問を尋ねる前にまず懸念事項を片付けておこう。ゴーレムに関しては『尋ねられたら』専門の作業用ゴーレムに任せて自分たちは漕がなかったとだけ伝えれば良い。君らもシガラミがあるだろうからそのレベルなら問題としないし、キーエル伯爵家なら特別なゴーレムだと判るだろう」
「了解しました。そう言っていただけると幸いです」
「漕ぐところからやらないだけ助かりますよ」
「情報のついでとはいえ、命を大事にってのもね」
ひとまず三人ほど返答があり、黙っている者も居る。
真面目そうなやつは実は騎士だろうか? 他の二人は実直そうなやつとシニカルな奴だった。共にムードメーカーであえて口に出した感がある。強いかは別として、ながらく活動した歴戦の傭兵らしさが見えた。
ひとまず問題ない様なので質問会と行こう。
「では質問があったら言ってくれ。可能な限り答えるから一つ一つ行こう」
「まずは私から行きましょう。魔物や隣国以外の第三者が居た場合は?」
「隣が不明なのが気になるのと出来たら交易がしたい。可能な限り喧嘩は無しだな。この間の魔物の害もそうだが、無関心でいたら突如として攻め込まれたってのが困るんだ。産物が欲しいなら海添いで手に入らない物を出せば済む。逆に誰かの領地だとして、面倒を見切れるほどに余裕は無いよ」
最初の質問からして懸案事項だった。やはりこいつは騎士だろう。
ともあれ、俺が考えることは他所の人間も考えるという事だろう。依頼文に書いて置けば良かったと思う反面、『領地が欲しいわけではない』というアピールが出来たから良しとしておこう。
俺の言葉に納得したのか、騎士らしき男は頷いて他の仲間に譲った。彼がキーエル家の騎士だとしたら、技術漏洩で起きた借りを返しつつ、親密に慣れれば良いと言う事だろう。
「次は俺だな。ゴーレムで動くって船は何が出来る? どんな差がある?」
「動きを舵輪と舵に対応させてるから、思ったよりも舵が切れる。三つのボタンがあって、一つ目は移動開始、二つ目は帆を上げ下げしろ、三つ目は反対に向けて動き出せで……舵も当然逆回りになるから注意が必要だ。武装は中央船首に大型アーバレストを付けているが、この石弓で狙ったものを自動的に狙ってくれるぞ。弾は補充し易いように石にしているが、銛にしたり船首三つに付けることも可能だ。帆も含めて改造案は追々受け付ける」
実直そうな奴は船乗り出身らしい。船旅に重要な事を聞いて来た。
これも当然確認する事なので、事前に用意しているメモ書きを見せた。ただし、記憶することを前提に見せるだけだ。流石に証拠になる物を渡しはしない。その様子を見てキーエル家の人間は期待している目をしていたが、船乗りらしき男は鷹揚に頷くだけで特に受け取りもしなかった。
やはり船乗りだけに、実際に船を動かしてみて判断するという事なのだろう。
「最後にオレだな。冒険者ってのは素材を回収したら高く買ってくれるそうだ。どんな物が高いんだ? 魚や海老なんか安いんだろうがよ」
「イル・カナンの出か? 特徴のある皮や甲殻、あとは魔石だな」
「イラ・カナンだ。次から間違えんな。退治したら持ってきてやるよ」
「無事に帰る事が前提で情報が最も効果ってのを忘れるなよ」
三人目は報酬に対して関心が高い様で、いかにも傭兵らしかった。
魚はともかく海老なんてこの辺りはまずお目に掛かれない。川海老なんかはオロシャでも居る筈だが、あまり見たことはないからだ。その上で出身地にこだわる辺り、自分に嘘は吐けないタイプなのだろう。スパイとして情報を売る可能性もあるが、忠実に言われた事だけをこなせば多額の報酬を払うならば、ちゃんと従うのではないだろうか? そうでなければキーエル家の人間が紹介する筈はないからだ。
この三人が終わったことで質問会も終わりかと思うが、四人目がおずおずと手を挙げる。
「あ、あの。すみません! 僕も良いですか?!」
「ちゃんとした質問なら構わない。ゴーレムに関する研究論は後でな」
「ハハハ! お嬢ちゃん、さっそく言われてやがんぞ!」
「もー! 僕は男です! 魔術師なのは確かですけどね!」
四人目は同業者というか魔術師だった。
華奢と言うほど細越ではないが、傭兵たちに交じって動くには随分と小さい。もちろん魔術師だから筋肉は要らないので、ガブリールの様な体格の方が珍しいとは言える。おそらくは俺たちの様に研究テーマがマイナーなのか、ポッと出だから芽が出るまで学院に残れなかったとか言うタイプだろう。
ただ来歴に想像は出来ても、この段階で何を聞きたいかまでは予想がつかなかった。
「もし、滅びた国の遺跡とかあったら探しても良いですか?」
「次回の探索と言うなら問題ないぞ。もちろん沿岸にあって拠点にするのに都合が良い様な場所にある……、しかも壊れている建物なら話は別だ。ただ、その場合でも一度戻って、報告だけはしてくれ。隠れ潜んだ特殊な魔物やらギルマンの群れに囲まれて全滅。何時まで経っても音沙汰なしってのが一番困る」
いかにも研究熱心な魔術師というので苦笑した。
冒険者と言うイメージにありがちな遺跡探索というのは、やはり魔術師もやるからだ。知見というものは技術にしても魔術にしても隠すモノだし、そういうのを期待する気持ちも判る。そもそも遺跡探索ってのは海洋探索と並んでロマンだしな。
だが、それでも物には順序というものがある。優先順位を越えられたら困るのだ。
「ありがとうございます! 頑張って……」
「頑張って探すのは土地の方な。本当に在ったら報告書を先に挙げて、別のプランを立てるんだ。お前さんが主任と言う事にしても良いし、このチームを優先すると断言しても良い。だが、さっきも言ったように『この位置ならついでに出来る』と思って寄り道されるのが一番困るんだ。砦跡くらいならまだ良いが、本格的な遺跡だと何が潜んでるか判らないからな」
この魔術師に真面目に答える義理はない。
だが、冒険によって遺跡が見つかった場合に、どうするかの話にしまった以上はちゃんと明示すべきだ。杓子定規に『駄目なものはどう言っても駄目!』というのは絶対に通じないし、同時に『じゃあ好きにしたら良いよ』と言ってもいけないのだ。
だからこそ、筋道をはっきりさせておく。
「別に遺跡が見つかるという情報があるわけでも無し、今はそこまで考えないでも良いでしょう。そもそもこの辺りに国があったなんて聞いた事もありませんしね」
「追加報酬を出しても良いから無事に戻って来いってのも本当だけどな」
こうして冒険者たちを雇い、海洋探索を始めることにした。
冒険者として秘密を守れる傭兵に依頼を頼んだ。
その名の通り、ゴルビーの東を探検してもらう予定だ。ちゃんと初期調査であり、危険よりも安全に情報を持ち帰ることを明記してある。また秘密と言うのも新型のゴーレムを使っているからで、海に関しては特に口止めはしないとも記載している。
とはいえその依頼文を張り出し、受けてくれる者があつまるまでは時間が掛かるのは当然だった。誰でも良いなら簡単だったんだろうけどな。
「自動的に動く船!? 素晴らしい! ですが……どうしてこの事を教えて下さらなかったのですか? もし知って居ればキエフも改良の余地を残しましたのに」
「これは三胴船が前提なんだ。それにバルガス河だとまた秘密が漏れるぞ」
奇妙な事にキエール伯爵家の者が冒険者を連れて来ていた。
人材の派遣も兼ねて……と言う事らしいが、冒険者ギルドでは依頼文を張る形式なのでおおよその内容は判る。そこで問題が発生すると忠告兼謝罪にやって来たらしい。
何が言いたいかと言うと、キーエル家に提供した旋盤の知見が微妙に漏れる直前だったそうなのだ。もちろん水際で阻止したと主張しているが、そもそもその手前ですら機密だったので、万全であるはずがない。
「それをおっしゃられると返す言葉がありません。しかし、ゴーレムに関する部分の秘密だけでは同じように漏れるでしょう。その事を忠告するために参った次第です」
「まさか旋盤をゴーレム技術無しで再現するとは思わなかったからなあ」
国鉄参加への保険の無い彼らに、船を建造し易くなる旋盤を提供した。
ゴーレム化した円盤型ノコギリを高速回転させて切る技術だが、ゴーレムであることを伏せて、水車を組み合わせて見たら良いだろうと自力で試したそうなのだ。大工たちも秘密にしようとはしていたが……『身内になら良いだろう』と善意で家族に伝える馬鹿が居たという事である。
幸いにも伝えられた身内の大工もキーエル家に呼ばれていた大工で、『そんな凄い技術を見つけるなんて凄い! だから儂にも教えてくれ!』と大声で宣ったために早い段階で見つかったのだ。実に馬鹿馬鹿しい話である。
「そもそもの話なんだがな……そこにある風車ゴーレムが回ってるのも水車で代用する事を俺はやってるんだ。それなのにあえて出来ると言わなかったのは、隠すためだったからな。その辺りも最初に説明すべきだったか……土産である彼らに免じてここは問題なしにしとこうか」
「そうしていただけると幸いです」
起きてしまった機密漏洩に関して言及するのは止めよう。
これ以上の漏洩が無ければそれで良いし、もし止められないならばゴルビ-男爵家とキーエル伯爵家の名前で各地に提供すれば良いだろう。そうなったらその時の話だし、今はこれ以上の言及は必要ない。
やるべきことは海洋探査に関してなのだから。
「依頼文を呼んだとは思うが、重要なのは情報を持ち帰る事だ」
「最終目標は幾つかの段階を経て、次の拠点候補地を見つける事になる」
「その為の初期目標は三胴船を操る事に慣れ、近隣の探索になるな」
「浅瀬が無くなる場所を調べ、一定の情報を集めたら戻って相談。陸添いに南下して行きやはり相談、建物を建てて拠点にしたい場所を見つけたら、そこに木材や作業用ゴーレムを運べるかをの検討会をしてひとまずの終了になる」
土産と言うのはキーエル伯が懇意にしていた傭兵たちだった。
信用が置けることと水に慣れているということを満たしており、呪文を使えるメンバーも居るという。俺はその土産に満足して、セシリアと共に絞り込んだ内容を説明したと言う訳だ。
何度も検討している事や、先に依頼文を張っている事もあり今の所は不満はなさそうに見える。
「質問を尋ねる前にまず懸念事項を片付けておこう。ゴーレムに関しては『尋ねられたら』専門の作業用ゴーレムに任せて自分たちは漕がなかったとだけ伝えれば良い。君らもシガラミがあるだろうからそのレベルなら問題としないし、キーエル伯爵家なら特別なゴーレムだと判るだろう」
「了解しました。そう言っていただけると幸いです」
「漕ぐところからやらないだけ助かりますよ」
「情報のついでとはいえ、命を大事にってのもね」
ひとまず三人ほど返答があり、黙っている者も居る。
真面目そうなやつは実は騎士だろうか? 他の二人は実直そうなやつとシニカルな奴だった。共にムードメーカーであえて口に出した感がある。強いかは別として、ながらく活動した歴戦の傭兵らしさが見えた。
ひとまず問題ない様なので質問会と行こう。
「では質問があったら言ってくれ。可能な限り答えるから一つ一つ行こう」
「まずは私から行きましょう。魔物や隣国以外の第三者が居た場合は?」
「隣が不明なのが気になるのと出来たら交易がしたい。可能な限り喧嘩は無しだな。この間の魔物の害もそうだが、無関心でいたら突如として攻め込まれたってのが困るんだ。産物が欲しいなら海添いで手に入らない物を出せば済む。逆に誰かの領地だとして、面倒を見切れるほどに余裕は無いよ」
最初の質問からして懸案事項だった。やはりこいつは騎士だろう。
ともあれ、俺が考えることは他所の人間も考えるという事だろう。依頼文に書いて置けば良かったと思う反面、『領地が欲しいわけではない』というアピールが出来たから良しとしておこう。
俺の言葉に納得したのか、騎士らしき男は頷いて他の仲間に譲った。彼がキーエル家の騎士だとしたら、技術漏洩で起きた借りを返しつつ、親密に慣れれば良いと言う事だろう。
「次は俺だな。ゴーレムで動くって船は何が出来る? どんな差がある?」
「動きを舵輪と舵に対応させてるから、思ったよりも舵が切れる。三つのボタンがあって、一つ目は移動開始、二つ目は帆を上げ下げしろ、三つ目は反対に向けて動き出せで……舵も当然逆回りになるから注意が必要だ。武装は中央船首に大型アーバレストを付けているが、この石弓で狙ったものを自動的に狙ってくれるぞ。弾は補充し易いように石にしているが、銛にしたり船首三つに付けることも可能だ。帆も含めて改造案は追々受け付ける」
実直そうな奴は船乗り出身らしい。船旅に重要な事を聞いて来た。
これも当然確認する事なので、事前に用意しているメモ書きを見せた。ただし、記憶することを前提に見せるだけだ。流石に証拠になる物を渡しはしない。その様子を見てキーエル家の人間は期待している目をしていたが、船乗りらしき男は鷹揚に頷くだけで特に受け取りもしなかった。
やはり船乗りだけに、実際に船を動かしてみて判断するという事なのだろう。
「最後にオレだな。冒険者ってのは素材を回収したら高く買ってくれるそうだ。どんな物が高いんだ? 魚や海老なんか安いんだろうがよ」
「イル・カナンの出か? 特徴のある皮や甲殻、あとは魔石だな」
「イラ・カナンだ。次から間違えんな。退治したら持ってきてやるよ」
「無事に帰る事が前提で情報が最も効果ってのを忘れるなよ」
三人目は報酬に対して関心が高い様で、いかにも傭兵らしかった。
魚はともかく海老なんてこの辺りはまずお目に掛かれない。川海老なんかはオロシャでも居る筈だが、あまり見たことはないからだ。その上で出身地にこだわる辺り、自分に嘘は吐けないタイプなのだろう。スパイとして情報を売る可能性もあるが、忠実に言われた事だけをこなせば多額の報酬を払うならば、ちゃんと従うのではないだろうか? そうでなければキーエル家の人間が紹介する筈はないからだ。
この三人が終わったことで質問会も終わりかと思うが、四人目がおずおずと手を挙げる。
「あ、あの。すみません! 僕も良いですか?!」
「ちゃんとした質問なら構わない。ゴーレムに関する研究論は後でな」
「ハハハ! お嬢ちゃん、さっそく言われてやがんぞ!」
「もー! 僕は男です! 魔術師なのは確かですけどね!」
四人目は同業者というか魔術師だった。
華奢と言うほど細越ではないが、傭兵たちに交じって動くには随分と小さい。もちろん魔術師だから筋肉は要らないので、ガブリールの様な体格の方が珍しいとは言える。おそらくは俺たちの様に研究テーマがマイナーなのか、ポッと出だから芽が出るまで学院に残れなかったとか言うタイプだろう。
ただ来歴に想像は出来ても、この段階で何を聞きたいかまでは予想がつかなかった。
「もし、滅びた国の遺跡とかあったら探しても良いですか?」
「次回の探索と言うなら問題ないぞ。もちろん沿岸にあって拠点にするのに都合が良い様な場所にある……、しかも壊れている建物なら話は別だ。ただ、その場合でも一度戻って、報告だけはしてくれ。隠れ潜んだ特殊な魔物やらギルマンの群れに囲まれて全滅。何時まで経っても音沙汰なしってのが一番困る」
いかにも研究熱心な魔術師というので苦笑した。
冒険者と言うイメージにありがちな遺跡探索というのは、やはり魔術師もやるからだ。知見というものは技術にしても魔術にしても隠すモノだし、そういうのを期待する気持ちも判る。そもそも遺跡探索ってのは海洋探索と並んでロマンだしな。
だが、それでも物には順序というものがある。優先順位を越えられたら困るのだ。
「ありがとうございます! 頑張って……」
「頑張って探すのは土地の方な。本当に在ったら報告書を先に挙げて、別のプランを立てるんだ。お前さんが主任と言う事にしても良いし、このチームを優先すると断言しても良い。だが、さっきも言ったように『この位置ならついでに出来る』と思って寄り道されるのが一番困るんだ。砦跡くらいならまだ良いが、本格的な遺跡だと何が潜んでるか判らないからな」
この魔術師に真面目に答える義理はない。
だが、冒険によって遺跡が見つかった場合に、どうするかの話にしまった以上はちゃんと明示すべきだ。杓子定規に『駄目なものはどう言っても駄目!』というのは絶対に通じないし、同時に『じゃあ好きにしたら良いよ』と言ってもいけないのだ。
だからこそ、筋道をはっきりさせておく。
「別に遺跡が見つかるという情報があるわけでも無し、今はそこまで考えないでも良いでしょう。そもそもこの辺りに国があったなんて聞いた事もありませんしね」
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