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第十一章
『飛び石の島渡り』
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浅瀬を渡り対岸を確保し、維持できる時間を見守りながら一日を過ごした。
その間に一機のゴーレムが対岸を守り、二機が確保した島で設営作業。周囲で何が起きるか判らない中で進軍できないので、塹壕を掘ってその土を壁として、陣地を築くという作業は必須である。
唯一の懸念は鳴り響く音への文句なのだが……。
「ジェイコブ卿、昨夜は煩かったろう? 良く眠れたかな?」
「文句を言う者は居ませんよ。命を守る壁の為ですからね」
ゴーレムは人間と違って休息無しで働ける。
俺たちが交代で無理についた後も指示した通りに作業を続け、陣地の周囲に穴を掘り、その土を内側に盛り上げるという作業をしていた。もちろん不器用なゴーレムなので不格好ではあるが、手の空いた兵士たちが造成してそこそこの形にしている。
ちなみに帯同した貴族たちは船に戻って就寝、煩いと文句を付けていた。
「しかし、よろしかったのですか? あちらに残したゴーレムは破壊されている可能性もありますが?」
「それも含めて役割という物さ。私が居る以上は作り直せば問題はない」
小隊を残したくらいでは、亜人の集落全てが攻めてくると守り切れない。
干潮を過ぎると浅瀬が再び海に成ってしまい、残った兵士たちは孤立無援で皆殺しになってしまうだろう。安全圏は確保できない以上は人間を残す訳にはいかないし、ゴーレムを残しておけば守り切れる可能性もある。もしリザードマンの強者が襲って来たり、狙撃手が居るならば、ゴーレムは破壊されることでその情報を教えてくれるという訳である。
まあ、これでダークエルフのシャーマンが居るなら話は別となり、徹夜作業で強引に向こう側にも簡易的な陣地を築いてかもしれない。遠距離呪文で攻撃されるダミーを用意するという意味だが。
「そうだ。昨日は言い忘れたけれど、向こうの島にある木々は間伐して臨時の桟橋を作る。オロシア級二番艦であるアゼルバイジャンが接舷できるようにする必要があるからね。それ以上は手を付けないつもりだが……もし我々が無様に撤退する場合は可能な限り焼き払う。意味は分かるかな?」
「……敗着の後に魔物が渡って来れないように、棲息域を減らすのですね」
「ああ。出来るだけ植物は減らしたくないし、負けるつもりもないがね」
昨日説明にしなかったのは、負けた後の話をしても士気が下がるからだ。
少しずつ戦力を増やす、物資を積み上げて勝つまでやるつもりだが、敗北する可能性は普通にある。マンティコアだろうとキメラだろうが現状の戦力で勝てる筈だが、流石にドラゴンの上位種には勝てまい。その時はゴーレムを時間稼ぎに置いて、防御呪文を掛けて即死(破壊)しないような状態で戦わせつつ撤退するだろう。その時は林に火をかけて、亜人種が筏を作ったり、鳥や蟲が巣をつくらないようにして逃げるのだ。
こういったことを迂闊に口にすると、貴族たちは弱気だとか儲けが減るだの言うし、兵たちは不安がるから皆の前で言う事ではないけどな。
「時間が来れば出発ですが、まず何を注意すべきでしょうか?」
「どっちであろうと空を飛ぶ相手だからまず羽を千切るべきだろうな。その上でキメラならば炎、マンティコアなら高位の呪文を警戒すべきだろう。山羊頭の呪いや毒の尻尾はゴーレムを盾にする限りは、念頭に置く程度で良いよ。有効な手段であると理解できる知能は合っても、最大限に活かせる相手を狙う智慧が無いんだ」
危険に関して問われたので簡単に説明しておく。
魔物は基本的に自分が持つ最大の攻撃を叩き付け、搦手は隠し玉にとって置いて逆転しようとすると伝えた。空を飛んで火を吐きながら襲い掛かって来たり、攻撃呪文で牽制師ながら噛り付いてくるわけだ。毒の尻尾で不意打ちとか呪いで行動不能にするとか、そんなのを最初に持って来る意味はあまりない。もちろん能力全てを隠す気がないなら話は別なのだ。
その時はオマケの能力も同時に使って来るだろう。こればかりはケース・バイ・ケースと言うしかない。
「要するに獣が厄介になったと考えれば良いわけですね?」
「マンティコアはずる賢いがこんな場所で戦う限りは問題ない。あいつは地下に巣がある時なんかが恐ろしいだけだ。地上で縄張り争いしてるなら戦い方に差があるだけだな。つまりは、洞穴なんかに逃げ込まれることに気を付けておけば問題ないって話さ。毒の森とか沼地に誘いこまれても別に困らないからね」
RPGではとても厄介なキメラやマンティコアもゴーレムを盾に出来る。
炎や攻撃呪文を喰らったら普通の人間は良くて重傷だが、ゴーレムに取ってはただの損傷である。被害担当としてのゴーレムの相性は言うまでもない。つまりは逃げる為の翼を第一攻撃目標として千切り取るなり切裂いてしまえば、別に地上で戦う限り恐ろしい相手ではないのである。どっちも翼があるが長い距離を飛ぶとか、飛び回って牽制攻撃を繰り返すようなタイプじゃないからな。おそらく初動で間違えなければ問題ないだろう。
ああ、そういう意味で一つだけ忠告をしておかねば。
「先に言っておくがジャコビニアス卿よりも先任の騎士や、どこかの伯爵が気を変えて前に出ても方針は変えるな。『華々しく戦え』と言われて死ぬのは君らだからな。もし故郷の顔役で逆らえない場合は、『では勢子として追い立てさせましょう』と言って一足先に突っ込ませるんだ」
「ご配慮ありがとうございます。あの様子なら大丈夫でしょう」
少し強めに言うのは他の貴族が気を変えた場合に備えてだ。
功績を挙げようと騎士たちを率い、最前線で戦おうとするかもしれない。それだけなら足手まといが増えただけなので後ろに置いておけば良い。だが、一番の懸念は勝手な命令を出し、『自分こそがこの場で一番偉いのだ。ゴーレムなんかに頼らずに突撃しろ。それが普通だろう。普通に戦えないのか』などと上から目線で命令する事である。彼らにとってゴーレムはライバルと考えているうえに、自分を守り為の盾として使う可能性が高いからな。
他にもマンティコアより格上のヒドラの亜種で、海が苦手な珍しい種類の個体が居る可能性も零ではない。しかし、その場合もゴーレムでなんとかなってしまうので、忠告するまでもないだろう。
「船酔いとは情けないが、船の上から降りてこないならそれで助かるな。では干潮になって浅瀬が見え始めたら状況を開始したまえ」
「承知しました。まずはリザードマン捜索と行きましょう」
ジャコビニアスの言葉からは気負いを感じない。
昨日のリザーマンくらいなら取るに足らないし、強者と出逢っても一回り強いだけのエルダーリザードマンなら自分だけで対処できるという自信があるのだろう。その上でゴーレムを盾に使えるならば負けない自信があって当然だ。むしろ多数の敵に囲まれて、兵士に被害が出る方が困るだろう。
だが、強力な魔物に棲み家を追い出され、数が減った今ならば問題ないと判断したものと思われる。
「終わったらどうするおつもりなんえ? ああ、この戦いではのうて」
「戦力と情報を集める期間に突入しますからね。イル・カナンの出方や南部軍の半島部攻略戦次第では、こちらからも援軍を出す必要があるでしょう。産業という意味では難しいな……魚や塩は海さえあれば何処でもできますし、島ならではというなら屑真珠ですか。最も良い入り江に移し、人が適度に管理することで、大きいか真球に出来るだけ近づけたら元が取れるかもしれません」
戦争には興味なさそうだったが、流石に即座には思いつかない。
そこで青三条の問いに対し、戦略的な事を基地にしてお茶を濁しつつ適当に答えをでっちあげておいた。ゴーレムさえあれば塩田を作るのは簡単だが、売り先の方が無いので飽和して安くなるだけだ。少なくとも西方に幾つかある大国と大規模な交易をするか、さもなければ遊牧民を介して当方の夏王朝と交易するくらいだろう。だから一定か所を作ったら塩田以外で考えなければならない。
そこで目を付けたのは、屑真珠ならば採れるという話である。
「そうそう都合よく真珠が出来る場所を移せますかいな?」
「私の故郷では養殖が盛んな海域がありましたけどね。ただ椎茸と同じで条件を満たせるかどうかわからないので、国家や大貴族が管理するならともかく、個人でやったら破産するか大儲けするかになるでしょう」
なお、真珠については無知なのでここまでだ。
あくまで生育環境を整えごみ処理をしたり、天敵が居らずプランクトンが多そうな場所に移動させるなど、野菜に近い管理をする程度である。もっとも青三条もそれほど興味があって聞いていたわけではないだろうし、水棲種族があまり近づかなかったこの島を領有することで、少しばかり良い真珠が採れれば御の字だとくらいは想像してくれるだろう。
他に思いつくのは観光業くらいだが、それをやるには少なくとも魔族の島を討伐する必要と、イル・カナンが海賊を嗾けない事が前提になるだろう。
「他にはこの島がどう形成されたかによって、神学的な見方が確立するかもしれませんね。まあ神様が魔族を大陸から切り離したなんて言われても荒唐無稽でしょうが……」
「申し上げます! ジャコビニアス隊がリザードマンと交戦を始めました!」
残るか地は神様の関与次第だろうと言おうとしたら時間切れになった。
浅瀬を渡って行った部隊が早速にリザードマンと戦い始めたらしい。おそらくは夜の間に見つけて少数がちょっかいを出し、動かないから見守っていたという所だろう。そうなれば怪しい連中が増える前に、一気に数を出して殲滅しようとしたのかもしれない。リザードマンなら浅瀬に意味はないが、人間にとっては移動困難な近いだからな。
ただ、それはゴーレムというものがなければの話になります。
「え? それはどうゆうことかいな? もうちょっと詳しう……」
「その時間はない。講義は夜か明日の朝にもさせていただきたい。リザードマンたちは罠に掛かった! 桟橋型のゴーレム船を出せ! 援軍を送り込んで一気に殲滅する! 好きに戦って良し、ジャコビニアス卿の邪魔をしなければ良い!」
興味が出たらしい青三条を制して指示を出す。
優先すべきはこちらなので当然だが、あくまで可能性でしかない話を続ける意味はない。ホーセンスたちが各地の話を集め、地形情報を魔術師のフィールドワーク・チームがあつめて、漸く議論を始められるレベルだからだ。つまり、今は彼女に関わっている所ではないということ。
そして昨日の後半戦で使った筏というか雲梯型ゴーレム船を投入し、戦える場所を浅瀬以外にも拡げ、数を動員して殲滅戦を始めた。
浅瀬を渡り対岸を確保し、維持できる時間を見守りながら一日を過ごした。
その間に一機のゴーレムが対岸を守り、二機が確保した島で設営作業。周囲で何が起きるか判らない中で進軍できないので、塹壕を掘ってその土を壁として、陣地を築くという作業は必須である。
唯一の懸念は鳴り響く音への文句なのだが……。
「ジェイコブ卿、昨夜は煩かったろう? 良く眠れたかな?」
「文句を言う者は居ませんよ。命を守る壁の為ですからね」
ゴーレムは人間と違って休息無しで働ける。
俺たちが交代で無理についた後も指示した通りに作業を続け、陣地の周囲に穴を掘り、その土を内側に盛り上げるという作業をしていた。もちろん不器用なゴーレムなので不格好ではあるが、手の空いた兵士たちが造成してそこそこの形にしている。
ちなみに帯同した貴族たちは船に戻って就寝、煩いと文句を付けていた。
「しかし、よろしかったのですか? あちらに残したゴーレムは破壊されている可能性もありますが?」
「それも含めて役割という物さ。私が居る以上は作り直せば問題はない」
小隊を残したくらいでは、亜人の集落全てが攻めてくると守り切れない。
干潮を過ぎると浅瀬が再び海に成ってしまい、残った兵士たちは孤立無援で皆殺しになってしまうだろう。安全圏は確保できない以上は人間を残す訳にはいかないし、ゴーレムを残しておけば守り切れる可能性もある。もしリザードマンの強者が襲って来たり、狙撃手が居るならば、ゴーレムは破壊されることでその情報を教えてくれるという訳である。
まあ、これでダークエルフのシャーマンが居るなら話は別となり、徹夜作業で強引に向こう側にも簡易的な陣地を築いてかもしれない。遠距離呪文で攻撃されるダミーを用意するという意味だが。
「そうだ。昨日は言い忘れたけれど、向こうの島にある木々は間伐して臨時の桟橋を作る。オロシア級二番艦であるアゼルバイジャンが接舷できるようにする必要があるからね。それ以上は手を付けないつもりだが……もし我々が無様に撤退する場合は可能な限り焼き払う。意味は分かるかな?」
「……敗着の後に魔物が渡って来れないように、棲息域を減らすのですね」
「ああ。出来るだけ植物は減らしたくないし、負けるつもりもないがね」
昨日説明にしなかったのは、負けた後の話をしても士気が下がるからだ。
少しずつ戦力を増やす、物資を積み上げて勝つまでやるつもりだが、敗北する可能性は普通にある。マンティコアだろうとキメラだろうが現状の戦力で勝てる筈だが、流石にドラゴンの上位種には勝てまい。その時はゴーレムを時間稼ぎに置いて、防御呪文を掛けて即死(破壊)しないような状態で戦わせつつ撤退するだろう。その時は林に火をかけて、亜人種が筏を作ったり、鳥や蟲が巣をつくらないようにして逃げるのだ。
こういったことを迂闊に口にすると、貴族たちは弱気だとか儲けが減るだの言うし、兵たちは不安がるから皆の前で言う事ではないけどな。
「時間が来れば出発ですが、まず何を注意すべきでしょうか?」
「どっちであろうと空を飛ぶ相手だからまず羽を千切るべきだろうな。その上でキメラならば炎、マンティコアなら高位の呪文を警戒すべきだろう。山羊頭の呪いや毒の尻尾はゴーレムを盾にする限りは、念頭に置く程度で良いよ。有効な手段であると理解できる知能は合っても、最大限に活かせる相手を狙う智慧が無いんだ」
危険に関して問われたので簡単に説明しておく。
魔物は基本的に自分が持つ最大の攻撃を叩き付け、搦手は隠し玉にとって置いて逆転しようとすると伝えた。空を飛んで火を吐きながら襲い掛かって来たり、攻撃呪文で牽制師ながら噛り付いてくるわけだ。毒の尻尾で不意打ちとか呪いで行動不能にするとか、そんなのを最初に持って来る意味はあまりない。もちろん能力全てを隠す気がないなら話は別なのだ。
その時はオマケの能力も同時に使って来るだろう。こればかりはケース・バイ・ケースと言うしかない。
「要するに獣が厄介になったと考えれば良いわけですね?」
「マンティコアはずる賢いがこんな場所で戦う限りは問題ない。あいつは地下に巣がある時なんかが恐ろしいだけだ。地上で縄張り争いしてるなら戦い方に差があるだけだな。つまりは、洞穴なんかに逃げ込まれることに気を付けておけば問題ないって話さ。毒の森とか沼地に誘いこまれても別に困らないからね」
RPGではとても厄介なキメラやマンティコアもゴーレムを盾に出来る。
炎や攻撃呪文を喰らったら普通の人間は良くて重傷だが、ゴーレムに取ってはただの損傷である。被害担当としてのゴーレムの相性は言うまでもない。つまりは逃げる為の翼を第一攻撃目標として千切り取るなり切裂いてしまえば、別に地上で戦う限り恐ろしい相手ではないのである。どっちも翼があるが長い距離を飛ぶとか、飛び回って牽制攻撃を繰り返すようなタイプじゃないからな。おそらく初動で間違えなければ問題ないだろう。
ああ、そういう意味で一つだけ忠告をしておかねば。
「先に言っておくがジャコビニアス卿よりも先任の騎士や、どこかの伯爵が気を変えて前に出ても方針は変えるな。『華々しく戦え』と言われて死ぬのは君らだからな。もし故郷の顔役で逆らえない場合は、『では勢子として追い立てさせましょう』と言って一足先に突っ込ませるんだ」
「ご配慮ありがとうございます。あの様子なら大丈夫でしょう」
少し強めに言うのは他の貴族が気を変えた場合に備えてだ。
功績を挙げようと騎士たちを率い、最前線で戦おうとするかもしれない。それだけなら足手まといが増えただけなので後ろに置いておけば良い。だが、一番の懸念は勝手な命令を出し、『自分こそがこの場で一番偉いのだ。ゴーレムなんかに頼らずに突撃しろ。それが普通だろう。普通に戦えないのか』などと上から目線で命令する事である。彼らにとってゴーレムはライバルと考えているうえに、自分を守り為の盾として使う可能性が高いからな。
他にもマンティコアより格上のヒドラの亜種で、海が苦手な珍しい種類の個体が居る可能性も零ではない。しかし、その場合もゴーレムでなんとかなってしまうので、忠告するまでもないだろう。
「船酔いとは情けないが、船の上から降りてこないならそれで助かるな。では干潮になって浅瀬が見え始めたら状況を開始したまえ」
「承知しました。まずはリザードマン捜索と行きましょう」
ジャコビニアスの言葉からは気負いを感じない。
昨日のリザーマンくらいなら取るに足らないし、強者と出逢っても一回り強いだけのエルダーリザードマンなら自分だけで対処できるという自信があるのだろう。その上でゴーレムを盾に使えるならば負けない自信があって当然だ。むしろ多数の敵に囲まれて、兵士に被害が出る方が困るだろう。
だが、強力な魔物に棲み家を追い出され、数が減った今ならば問題ないと判断したものと思われる。
「終わったらどうするおつもりなんえ? ああ、この戦いではのうて」
「戦力と情報を集める期間に突入しますからね。イル・カナンの出方や南部軍の半島部攻略戦次第では、こちらからも援軍を出す必要があるでしょう。産業という意味では難しいな……魚や塩は海さえあれば何処でもできますし、島ならではというなら屑真珠ですか。最も良い入り江に移し、人が適度に管理することで、大きいか真球に出来るだけ近づけたら元が取れるかもしれません」
戦争には興味なさそうだったが、流石に即座には思いつかない。
そこで青三条の問いに対し、戦略的な事を基地にしてお茶を濁しつつ適当に答えをでっちあげておいた。ゴーレムさえあれば塩田を作るのは簡単だが、売り先の方が無いので飽和して安くなるだけだ。少なくとも西方に幾つかある大国と大規模な交易をするか、さもなければ遊牧民を介して当方の夏王朝と交易するくらいだろう。だから一定か所を作ったら塩田以外で考えなければならない。
そこで目を付けたのは、屑真珠ならば採れるという話である。
「そうそう都合よく真珠が出来る場所を移せますかいな?」
「私の故郷では養殖が盛んな海域がありましたけどね。ただ椎茸と同じで条件を満たせるかどうかわからないので、国家や大貴族が管理するならともかく、個人でやったら破産するか大儲けするかになるでしょう」
なお、真珠については無知なのでここまでだ。
あくまで生育環境を整えごみ処理をしたり、天敵が居らずプランクトンが多そうな場所に移動させるなど、野菜に近い管理をする程度である。もっとも青三条もそれほど興味があって聞いていたわけではないだろうし、水棲種族があまり近づかなかったこの島を領有することで、少しばかり良い真珠が採れれば御の字だとくらいは想像してくれるだろう。
他に思いつくのは観光業くらいだが、それをやるには少なくとも魔族の島を討伐する必要と、イル・カナンが海賊を嗾けない事が前提になるだろう。
「他にはこの島がどう形成されたかによって、神学的な見方が確立するかもしれませんね。まあ神様が魔族を大陸から切り離したなんて言われても荒唐無稽でしょうが……」
「申し上げます! ジャコビニアス隊がリザードマンと交戦を始めました!」
残るか地は神様の関与次第だろうと言おうとしたら時間切れになった。
浅瀬を渡って行った部隊が早速にリザードマンと戦い始めたらしい。おそらくは夜の間に見つけて少数がちょっかいを出し、動かないから見守っていたという所だろう。そうなれば怪しい連中が増える前に、一気に数を出して殲滅しようとしたのかもしれない。リザードマンなら浅瀬に意味はないが、人間にとっては移動困難な近いだからな。
ただ、それはゴーレムというものがなければの話になります。
「え? それはどうゆうことかいな? もうちょっと詳しう……」
「その時間はない。講義は夜か明日の朝にもさせていただきたい。リザードマンたちは罠に掛かった! 桟橋型のゴーレム船を出せ! 援軍を送り込んで一気に殲滅する! 好きに戦って良し、ジャコビニアス卿の邪魔をしなければ良い!」
興味が出たらしい青三条を制して指示を出す。
優先すべきはこちらなので当然だが、あくまで可能性でしかない話を続ける意味はない。ホーセンスたちが各地の話を集め、地形情報を魔術師のフィールドワーク・チームがあつめて、漸く議論を始められるレベルだからだ。つまり、今は彼女に関わっている所ではないということ。
そして昨日の後半戦で使った筏というか雲梯型ゴーレム船を投入し、戦える場所を浅瀬以外にも拡げ、数を動員して殲滅戦を始めた。
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