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第十一章
『諸島群の開拓』
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諸島群は制圧したが、本格的な戦いの前触れに過ぎない。
この場所を抑えておけば以降に大陸へ渡る魔物は減るし、魔族の島へ渡る事も出来る。だから維持するための準備を整えつつ、戦力を増強しつつ、それらを派遣したり訓練させたりする必要が出来て来た。
何はともあれ地図と居住区は必須だろう。
「第一優先で魔族の島側を抑える仮設砦を設置する」
「交代で休める小屋と物見塔、それとゴーレムの配備は必須だな」
「次に最も大きな島へ城館を建てつつ、桟橋を並行して作る」
「とはいえ城館は本土からの資材待ちになるだろうから、あまり急がずに良い物を作ってくれて構わない。場所は山の中腹を削って造成し、頑丈である事と大勢が入れる事を前提に平屋で設計する」
帯同している職人たちはあからさまにホっとした表情をする。
当たり前だが少人数しか連れて来て居ないし、木材だって今から木を伐り出して加工するレベルだ。これでまともな家を建てろと言われても困るし、それが貴族の館となれば顔を青ざめもしよう。その条件を根底から覆し、真面目にやれば良いよと言われたら安心もするだろう。
もちろんそんな事も思わず、自分たちの為に行動しようとする奴もいる。
「ゴルビー伯。それでは我々は何処に住めば良いのかね?」
「時も材料も無いのは判るが、城館に集中するために平地にすれば良かろう」
「ならば砦を大きな物にしてしまえば良いのではないか? それで事は足りよう。どうせ魔物を食い止めるための場所なのだからな」
まるで同じ人物が少しずつ考察しているように聞こえるが別人である。
三人ほどの貴族が次々に発言し、最初の一人が要望を伝えると二人目が便乗、三人目はさも賢げに自分の意見こそが正しいのだと口にする。当然ながら完全に悪い案ではないし、もしこの諸島群が小さかったらそれも正しいだろう。
問題は此処が諸島『群』であり、それなりに広く使える場所が点在していることにある。
「残念ながらこの島には嵐が来るそうです。オロシャで偶に見る物とは比べ物にならない規模と勢力で上陸するそうですよ。その前にはちょっとした建物では破壊される可能性があります。それゆえに仮設の砦ですね、城館を山に建設するのは嵐と津波を避ける為でもあります」
「嵐……君の所の新領地で見たアレよりも大きいのか。アレが……」
「小さな建物はギシギシと申していたな。貧民の家かと思ったほどよ」
「どうせ直ぐに……いや、それならば山に作るのも頑丈なのも止む無しか」
確固たる信念があって口にしているなら検討するが、そうでもない。
もし魔族との戦いが迫っており、速攻で何とか片付けてその後は特に気にしない……というならば少々のことはどうでも良いのだ。魔族の島側に大きな城館を建てても良いし、立て易い家を幾つか作って貴族や騎士の私邸とし、部下たちを交代で休ませても良いだろう。
だが、今後もこの島を統治するという事が彼らに文句を挟ませないでいた。
「この島……どの程度の扱いになるのであろうな? 領地としてはいかに?」
「代官が収めぬなら、小さめの伯爵領か大き目な男爵領と言う所であろうな」
「いずれかの分家か騎士領を付け、寄り親として誰ぞという所ではないか?」
貴族たちは期待に満ちた目で、軍師として計画を支える俺を見る。
功績評価だけでなく領地配分にも口を出す権利があり、同時にこの島を経営して行くアイデアを有しているのは俺しか居ないからだ。例え今は畑どころか家屋さえない島であろうとも、貴族として彼らが『領地が欲しくない訳ではない。そのためにそれなりの功績を挙げたぞ!』と言いたいのであろう。こいつらが直接役に立ってなどいないが、騎士や兵士を貸してくれたのは本当だしな。
それらを踏まえると誤魔化す訳にもいかないだろう。
「全てを決めるのは陛下であらせますが、ひとまず領地としてやっていけるまで代官が収め、漁村と農村を幾らか用意してその後に分配となるでしょうね。もし領地として先行きが見えない場合は、オロシャ初の海上戦力の拠点として基地化することになるでしょう。間もなく半島攻略戦も始まりますが、租借地に軍港を作るのは後で確実に揉めますから今の労力は決して損ではありません」
「おお、それは良いな。何も採れぬのに領地と言われても困るわい」
「いっそ海上で戦う騎士団と兵団の拠点のままでも良いのではないか?」
「ははは。その辺りは代官が考えるであろうよ。良き作物があるか次第よ」
この辺りは自前の領地もあって、温度差があるが仕方が無い。
今回の功績で今の領地を発展させるために、報奨金なり代価の方が欲しい者も居る。そう言う者は飛び地で貰っても困るし、領地が増えようとも替地として飛ばされたら大問題なのだ。権益の方が重要な者は、騎士団への推薦枠やら他の貴族……例えばキーエル家への口利きが出来る権利の方が重要だ。元から裕福で勢力を広げたい者にとっては、タナボタでしかないので儲けが出れば何でも良いのだろう。
ちなみにこの『代官が統治して、功績があった者に領地として引き渡す』という行為は、利益が出ると判ったら直ぐとは言って居ない。仮に交易なら来年からでも収益化が図れるとしても、引き渡すのは五年後とか十年後というのもあり得るからな(かかった総費用的にも)。
「他の者たちにはこの後のスケジュールは追って伝えますが、本隊の到着を待って再編、十分な準備が整えば魔族の島を攻めます。もし半島攻略作戦を急ぐことになった場合は、水棲種族とも合わせて三勢力合同で攻める事になるでしょうね」
「その時は任せておくが良い。我が兵たちならば功績を挙げるであろう」
「水棲種族か……あんな奴らと? 手を組まねばならぬのか」
「滅多な事を言うな。ここは奴らの勢力圏だぞ」
当たり前だが水棲種族に対しても差が存在する。
亜人種だろうが使える奴は使うというスタンスの者も居れば、嫌悪感を抱く者も居る。それどころか警戒感を抱き、自分達より圧倒的優位だからこそ警戒感を抱く者も居る。まあどれも間違ってはいないし、相手が圧倒的優位無いのは正しいので、仮に嫌悪感が勝っても妙な事は居ないでいてくれると助かる。
ただ、それを放置しただけではよろしくないので少しばかりフォローしておくか。
「個人はともかく種族としてみると、彼らの知識と勢力圏は強大ですし、陸に興味がないからこそ信用も我々より高いですよ。とりあえず彼らには産物に出来そうな果実やサトウキビを頼んでいるので、寄った時には食事会をしてみましょう。それがどれほどの利益をもたらすかを確かめねばなりませんからね」
「「「うむ」」」
面白い事にこれが利益を齎す話になると思惑が一致する。
俺が考えている産業は砂糖畑にパイナップルなり柑橘系の果樹園であり、転生前だと沖縄県や瀬戸内海での砂糖があった辺りがモデルになるだろうか? 黒糖よ和三盆みたいな微妙な差を着けて売り出しつつ、すっぱめの果実をそのまま売ったり、干して甘くしてから出荷すれば良い。それらが取れる量はたかが知れているが、オロシャでは採れない物ばかりなので、国外はともかく国内では相当な利益が出る筈だ。
そして利益の為には嫌悪感を示していたものまで一致して水棲種族と(少なくとも表向きは)仲良く行くことになったのである。
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この場所を抑えておけば以降に大陸へ渡る魔物は減るし、魔族の島へ渡る事も出来る。だから維持するための準備を整えつつ、戦力を増強しつつ、それらを派遣したり訓練させたりする必要が出来て来た。
何はともあれ地図と居住区は必須だろう。
「第一優先で魔族の島側を抑える仮設砦を設置する」
「交代で休める小屋と物見塔、それとゴーレムの配備は必須だな」
「次に最も大きな島へ城館を建てつつ、桟橋を並行して作る」
「とはいえ城館は本土からの資材待ちになるだろうから、あまり急がずに良い物を作ってくれて構わない。場所は山の中腹を削って造成し、頑丈である事と大勢が入れる事を前提に平屋で設計する」
帯同している職人たちはあからさまにホっとした表情をする。
当たり前だが少人数しか連れて来て居ないし、木材だって今から木を伐り出して加工するレベルだ。これでまともな家を建てろと言われても困るし、それが貴族の館となれば顔を青ざめもしよう。その条件を根底から覆し、真面目にやれば良いよと言われたら安心もするだろう。
もちろんそんな事も思わず、自分たちの為に行動しようとする奴もいる。
「ゴルビー伯。それでは我々は何処に住めば良いのかね?」
「時も材料も無いのは判るが、城館に集中するために平地にすれば良かろう」
「ならば砦を大きな物にしてしまえば良いのではないか? それで事は足りよう。どうせ魔物を食い止めるための場所なのだからな」
まるで同じ人物が少しずつ考察しているように聞こえるが別人である。
三人ほどの貴族が次々に発言し、最初の一人が要望を伝えると二人目が便乗、三人目はさも賢げに自分の意見こそが正しいのだと口にする。当然ながら完全に悪い案ではないし、もしこの諸島群が小さかったらそれも正しいだろう。
問題は此処が諸島『群』であり、それなりに広く使える場所が点在していることにある。
「残念ながらこの島には嵐が来るそうです。オロシャで偶に見る物とは比べ物にならない規模と勢力で上陸するそうですよ。その前にはちょっとした建物では破壊される可能性があります。それゆえに仮設の砦ですね、城館を山に建設するのは嵐と津波を避ける為でもあります」
「嵐……君の所の新領地で見たアレよりも大きいのか。アレが……」
「小さな建物はギシギシと申していたな。貧民の家かと思ったほどよ」
「どうせ直ぐに……いや、それならば山に作るのも頑丈なのも止む無しか」
確固たる信念があって口にしているなら検討するが、そうでもない。
もし魔族との戦いが迫っており、速攻で何とか片付けてその後は特に気にしない……というならば少々のことはどうでも良いのだ。魔族の島側に大きな城館を建てても良いし、立て易い家を幾つか作って貴族や騎士の私邸とし、部下たちを交代で休ませても良いだろう。
だが、今後もこの島を統治するという事が彼らに文句を挟ませないでいた。
「この島……どの程度の扱いになるのであろうな? 領地としてはいかに?」
「代官が収めぬなら、小さめの伯爵領か大き目な男爵領と言う所であろうな」
「いずれかの分家か騎士領を付け、寄り親として誰ぞという所ではないか?」
貴族たちは期待に満ちた目で、軍師として計画を支える俺を見る。
功績評価だけでなく領地配分にも口を出す権利があり、同時にこの島を経営して行くアイデアを有しているのは俺しか居ないからだ。例え今は畑どころか家屋さえない島であろうとも、貴族として彼らが『領地が欲しくない訳ではない。そのためにそれなりの功績を挙げたぞ!』と言いたいのであろう。こいつらが直接役に立ってなどいないが、騎士や兵士を貸してくれたのは本当だしな。
それらを踏まえると誤魔化す訳にもいかないだろう。
「全てを決めるのは陛下であらせますが、ひとまず領地としてやっていけるまで代官が収め、漁村と農村を幾らか用意してその後に分配となるでしょうね。もし領地として先行きが見えない場合は、オロシャ初の海上戦力の拠点として基地化することになるでしょう。間もなく半島攻略戦も始まりますが、租借地に軍港を作るのは後で確実に揉めますから今の労力は決して損ではありません」
「おお、それは良いな。何も採れぬのに領地と言われても困るわい」
「いっそ海上で戦う騎士団と兵団の拠点のままでも良いのではないか?」
「ははは。その辺りは代官が考えるであろうよ。良き作物があるか次第よ」
この辺りは自前の領地もあって、温度差があるが仕方が無い。
今回の功績で今の領地を発展させるために、報奨金なり代価の方が欲しい者も居る。そう言う者は飛び地で貰っても困るし、領地が増えようとも替地として飛ばされたら大問題なのだ。権益の方が重要な者は、騎士団への推薦枠やら他の貴族……例えばキーエル家への口利きが出来る権利の方が重要だ。元から裕福で勢力を広げたい者にとっては、タナボタでしかないので儲けが出れば何でも良いのだろう。
ちなみにこの『代官が統治して、功績があった者に領地として引き渡す』という行為は、利益が出ると判ったら直ぐとは言って居ない。仮に交易なら来年からでも収益化が図れるとしても、引き渡すのは五年後とか十年後というのもあり得るからな(かかった総費用的にも)。
「他の者たちにはこの後のスケジュールは追って伝えますが、本隊の到着を待って再編、十分な準備が整えば魔族の島を攻めます。もし半島攻略作戦を急ぐことになった場合は、水棲種族とも合わせて三勢力合同で攻める事になるでしょうね」
「その時は任せておくが良い。我が兵たちならば功績を挙げるであろう」
「水棲種族か……あんな奴らと? 手を組まねばならぬのか」
「滅多な事を言うな。ここは奴らの勢力圏だぞ」
当たり前だが水棲種族に対しても差が存在する。
亜人種だろうが使える奴は使うというスタンスの者も居れば、嫌悪感を抱く者も居る。それどころか警戒感を抱き、自分達より圧倒的優位だからこそ警戒感を抱く者も居る。まあどれも間違ってはいないし、相手が圧倒的優位無いのは正しいので、仮に嫌悪感が勝っても妙な事は居ないでいてくれると助かる。
ただ、それを放置しただけではよろしくないので少しばかりフォローしておくか。
「個人はともかく種族としてみると、彼らの知識と勢力圏は強大ですし、陸に興味がないからこそ信用も我々より高いですよ。とりあえず彼らには産物に出来そうな果実やサトウキビを頼んでいるので、寄った時には食事会をしてみましょう。それがどれほどの利益をもたらすかを確かめねばなりませんからね」
「「「うむ」」」
面白い事にこれが利益を齎す話になると思惑が一致する。
俺が考えている産業は砂糖畑にパイナップルなり柑橘系の果樹園であり、転生前だと沖縄県や瀬戸内海での砂糖があった辺りがモデルになるだろうか? 黒糖よ和三盆みたいな微妙な差を着けて売り出しつつ、すっぱめの果実をそのまま売ったり、干して甘くしてから出荷すれば良い。それらが取れる量はたかが知れているが、オロシャでは採れない物ばかりなので、国外はともかく国内では相当な利益が出る筈だ。
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