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自由研究
腰越橋
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「……だったら、わたし、葉織くんと一緒にしてみたいことがあるの」
波雪さんの代わりになれるとは思わないし、図々しいかなって思うんだけど。
羽香奈は内心ではそう思うので、葉織の目を直視できず、自分の膝に目線を落としながらぼそぼそと告げる。
「してみたいこと? どんなの?」
「……いいの?」
「何が?」
そんな羽香奈の心境がわかるはずもない葉織は、彼女が何を遠慮しているのか理解が及ばない。
アイデアがあるっていうなら普通に話してくれたらいいのに。
善は急げ、翌日には羽香奈のアイデアを受けて、ふたりは出かけた。
普段は観光客の姿がまばらな早朝から行動しているが、今回は羽香奈の希望で午前十時過ぎに家を出る。
「その予定だとお昼までに帰ってこれそうにないから、今日はこれを持っておいき」
家族四人で囲む朝ご飯の席でその話をしておいたら、祖母のハツが出かけるふたりにおにぎりを包んで持たせてくれた。
「あ、ありがとうございます……
あの、今度、一緒に作らせてもらえませんか?」
「遠慮しなくていいんだよ?」
「遠慮じゃなくて、その、おばあちゃんの作り方をわたしも知りたくて」
「そうかね。だったら私もその時を楽しみにしているね」
「は、はい!」
羽香奈が持って出たのは、画板、画用紙、絵の具セット、色鉛筆。
全て、葉織が学校で使うための道具だ。
割と大荷物に見えるので代わりに持とうかと言ってみたが、羽香奈は気にしないで! と言うのでそれ以上は聞かず、いつも通りのブリキのバケツとハツのおにぎりだけ持つことにした。
羽香奈に頼まれて葉織が道案内がてら先を歩く。
片瀬海岸沿いの歩道をしばらく歩き、腰越橋の河口付近まで来た。
「最初にこの辺りを歩いていた時に、思ったんだ。
葉織くん、夏の海水浴場は『楽しそうな心の色がいっぱいできれいだよ』って言ってたから。
わたしも見られたらいいのになぁって」
自由研究のアイデアが思い浮かばないという葉織の話を聞いた時に、思いついた。
自分がこの場所から、江ノ島と片瀬海岸どちらも望める角度をざっと下描きする。
その上から葉織が絵の具で、ここから見える心の色を塗ったらどうかと。
絵の具だけでなく色鉛筆も持ってきたのは、心の色は絵の具で調色してなるべく見えるままに再現出来るように。
背景まで絵の具で塗ったら心の色が目立たなくなりそうだから、背景は色鉛筆で薄~く塗るのが良いのではないかという意図だった。
波雪さんの代わりになれるとは思わないし、図々しいかなって思うんだけど。
羽香奈は内心ではそう思うので、葉織の目を直視できず、自分の膝に目線を落としながらぼそぼそと告げる。
「してみたいこと? どんなの?」
「……いいの?」
「何が?」
そんな羽香奈の心境がわかるはずもない葉織は、彼女が何を遠慮しているのか理解が及ばない。
アイデアがあるっていうなら普通に話してくれたらいいのに。
善は急げ、翌日には羽香奈のアイデアを受けて、ふたりは出かけた。
普段は観光客の姿がまばらな早朝から行動しているが、今回は羽香奈の希望で午前十時過ぎに家を出る。
「その予定だとお昼までに帰ってこれそうにないから、今日はこれを持っておいき」
家族四人で囲む朝ご飯の席でその話をしておいたら、祖母のハツが出かけるふたりにおにぎりを包んで持たせてくれた。
「あ、ありがとうございます……
あの、今度、一緒に作らせてもらえませんか?」
「遠慮しなくていいんだよ?」
「遠慮じゃなくて、その、おばあちゃんの作り方をわたしも知りたくて」
「そうかね。だったら私もその時を楽しみにしているね」
「は、はい!」
羽香奈が持って出たのは、画板、画用紙、絵の具セット、色鉛筆。
全て、葉織が学校で使うための道具だ。
割と大荷物に見えるので代わりに持とうかと言ってみたが、羽香奈は気にしないで! と言うのでそれ以上は聞かず、いつも通りのブリキのバケツとハツのおにぎりだけ持つことにした。
羽香奈に頼まれて葉織が道案内がてら先を歩く。
片瀬海岸沿いの歩道をしばらく歩き、腰越橋の河口付近まで来た。
「最初にこの辺りを歩いていた時に、思ったんだ。
葉織くん、夏の海水浴場は『楽しそうな心の色がいっぱいできれいだよ』って言ってたから。
わたしも見られたらいいのになぁって」
自由研究のアイデアが思い浮かばないという葉織の話を聞いた時に、思いついた。
自分がこの場所から、江ノ島と片瀬海岸どちらも望める角度をざっと下描きする。
その上から葉織が絵の具で、ここから見える心の色を塗ったらどうかと。
絵の具だけでなく色鉛筆も持ってきたのは、心の色は絵の具で調色してなるべく見えるままに再現出来るように。
背景まで絵の具で塗ったら心の色が目立たなくなりそうだから、背景は色鉛筆で薄~く塗るのが良いのではないかという意図だった。
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