ポンコツ女子は異世界で甘やかされる

三ツ矢美咲

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第4章

ストラディゴス、相談する1

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「お前さ、さっさといつもみたいに抱いちまえば?」
「出来るか、そんな事!」

 ストラディゴスは、女性を一度もデートに誘った事も無い初心な少年の様な、弱気な事を言い始める。

 しかし、ストラディゴスは実際、どうやって男女の仲が進展していくのか、あまりにも知らなかった。
 少なくとも、今まで自分が経験してきた方法を採用して、上手く行くとは思えなかったのだ。


 * * *


 初めて彼が女の温もりを知ったのは、まだ背も伸びきらぬ十代だった傭兵になって間もない頃。

 数人の孤児の集まりから始まった、まだ名前も無い小さな傭兵団で、金の為、生きる為に戦場を駆けまわる事に限界を感じ始めた時だった。

 より多くの金を安全に稼ぐ為には、優秀な先輩同業者から学ぶのが近道である。
 そこでストラディゴス達は、当時マルギアス王国で名を馳せていたフォルサ傭兵団に入る。

 すぐに腕っぷしを買われ、ストラディゴスは前線の敵補給線にある村の焼き討ちに参加する事になる。



 戦場では勝者による略奪・凌辱は、当然の権利である。
 少なくとも、この世界の戦場では今も通用する常識であった。

 野蛮な行為を取り締まる法律は無く、それらの行為を勝者がどう思うかの話でしかない。

 戦争と言う殺し合いが許される非日常の環境では、殺人よりも軽んじて考えられる罪を取り締まる事は、日常よりも遥かに難しい。
 勝者達は、生き残った敗者に辱めを与え恨みを買ったとしても、最後には殺してしまえば結果は同じ事となる為だ。



 そんな世界に飛び込んで、ストラディゴスが初めて女を知ったのが、他の先輩傭兵達に散々輪姦された、戦火で焼け落ちた村の娘相手だったとしても、何も不思議は無かった。



 まだ若い彼は、その時は見張りをさせられていた。

 手がかじかむ季節。
 焼け落ちた村の中。
 まだ無事な、民家が一つあった。

 自分が見張る扉の向こうで不愉快な行為が行われている事は当然知っていたし、止めたいという気持ちが無かった訳では無い。

 だが、いくら巨人だとしても戦いの経験が浅い若造に、武装した手練れ揃いの傭兵達を止められる筈も無い。

 扉の中で行われていた事が済むと、まだ若いストラディゴスは当時仲間だった先輩傭兵に部屋に入る様に言われる。
 当時のフォルサ傭兵団の団長と、その部下たちがベルトを締めなおしているのが目に入る。
 そこには、逆らう気力も失った幼い少女が、汚され、怪我を負わされ、血に染まった床に倒れていた。

 少女の名前は、ルイシーといった。



「わりぃ、待たせたな。次はお前の番だ」

 傭兵仲間の言葉を聞くと、恐る恐る暗い部屋へと足を踏み入れた。

 ストラディゴスは、自分達のせいで孤児となり、死んだ家族の隣で、血の海の中汚されたルイシーを見下ろし、既に死んだように光が無いその目を見た。

 そこにいたのは、孤児になったばかりの昔の自分であった。

 ストラディゴスは、自分が抱いても、抱かなくとも、この後に確実に殺されるであろう、この時は名前も知らない少女を前にして迷った。

 戦場の、ルールは分かっている。

「どうせ殺せば結果は同じ」

 それならば、より多くを奪ってからでなければ、旨味が減る。
 だからこそ、多くの無法者たちは、物を奪い、尊厳を奪い、苦痛を与え、命を最後に奪う。
 それが戦場の常識である。



 その時、ルイシーはストラディゴスを見て蚊の鳴くような声を出し、口を動かした。

「……た……す‥‥…けて」

 それは、ストラディゴスに助けて欲しくて言った言葉ではない。
 ストラディゴスを含む傭兵達へ向けた、殺さないで欲しいという懇願の言葉である。

 しかしストラディゴスには、ルイシーを他の傭兵達の目の前で「凌辱をするか、しないか」その二択しか用意されていなかった。

 これは傭兵達が仲間を共犯者とする為の、一種の通過儀礼でもあるのだ。
 ここで共に罪を犯さなければ、戦場で背中を預ける仲間として認められない。

 腰抜けと思われるなら良い方で、悪ければ信用できないと見られる事となる。

 ストラディゴスは、ルイシーに歩み寄る。
 そして、ゆっくりと、まるで時間を稼ぐようにベルトを外すと、ズボンだけ膝まで下ろし、まるで反応の無いルイシーにゆっくりと覆いかぶさった。



 ストラディゴスが苦痛と罪悪感の中で、初めて女を経験し、果てる。
 すると他の傭兵達は「気が済むまで楽しんで良いぞ」と、共犯者になった新人に対して安心し、仲間想いであるかのような、下種な言葉を優しくかけた。

 その言葉に、ストラディゴスは答えた。

「なら、こいつを俺にくれ」

 傭兵達はそれを聞き、目を丸くした。
 だが、すぐに成程と合点がいったのか、ニヤニヤ笑いながら快諾した。

「なんだお前、初めてだったのか。だがな、後始末は自分でしろよ」

 傭兵団長が言った後始末と言う言葉。
 後始末とは、ルイシーを犯した後に殺すか、飼殺して衰弱させて死なせてしまったら、自分で埋める事であった。

 ストラディゴスは、名前も知らない死にかけの少女を、傭兵団のテントへと連れ帰った。
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