17 / 121
第4章
ストラディゴス、相談する1
しおりを挟む
「お前さ、さっさといつもみたいに抱いちまえば?」
「出来るか、そんな事!」
ストラディゴスは、女性を一度もデートに誘った事も無い初心な少年の様な、弱気な事を言い始める。
しかし、ストラディゴスは実際、どうやって男女の仲が進展していくのか、あまりにも知らなかった。
少なくとも、今まで自分が経験してきた方法を採用して、上手く行くとは思えなかったのだ。
* * *
初めて彼が女の温もりを知ったのは、まだ背も伸びきらぬ十代だった傭兵になって間もない頃。
数人の孤児の集まりから始まった、まだ名前も無い小さな傭兵団で、金の為、生きる為に戦場を駆けまわる事に限界を感じ始めた時だった。
より多くの金を安全に稼ぐ為には、優秀な先輩同業者から学ぶのが近道である。
そこでストラディゴス達は、当時マルギアス王国で名を馳せていたフォルサ傭兵団に入る。
すぐに腕っぷしを買われ、ストラディゴスは前線の敵補給線にある村の焼き討ちに参加する事になる。
戦場では勝者による略奪・凌辱は、当然の権利である。
少なくとも、この世界の戦場では今も通用する常識であった。
野蛮な行為を取り締まる法律は無く、それらの行為を勝者がどう思うかの話でしかない。
戦争と言う殺し合いが許される非日常の環境では、殺人よりも軽んじて考えられる罪を取り締まる事は、日常よりも遥かに難しい。
勝者達は、生き残った敗者に辱めを与え恨みを買ったとしても、最後には殺してしまえば結果は同じ事となる為だ。
そんな世界に飛び込んで、ストラディゴスが初めて女を知ったのが、他の先輩傭兵達に散々輪姦された、戦火で焼け落ちた村の娘相手だったとしても、何も不思議は無かった。
まだ若い彼は、その時は見張りをさせられていた。
手がかじかむ季節。
焼け落ちた村の中。
まだ無事な、民家が一つあった。
自分が見張る扉の向こうで不愉快な行為が行われている事は当然知っていたし、止めたいという気持ちが無かった訳では無い。
だが、いくら巨人だとしても戦いの経験が浅い若造に、武装した手練れ揃いの傭兵達を止められる筈も無い。
扉の中で行われていた事が済むと、まだ若いストラディゴスは当時仲間だった先輩傭兵に部屋に入る様に言われる。
当時のフォルサ傭兵団の団長と、その部下たちがベルトを締めなおしているのが目に入る。
そこには、逆らう気力も失った幼い少女が、汚され、怪我を負わされ、血に染まった床に倒れていた。
少女の名前は、ルイシーといった。
「わりぃ、待たせたな。次はお前の番だ」
傭兵仲間の言葉を聞くと、恐る恐る暗い部屋へと足を踏み入れた。
ストラディゴスは、自分達のせいで孤児となり、死んだ家族の隣で、血の海の中汚されたルイシーを見下ろし、既に死んだように光が無いその目を見た。
そこにいたのは、孤児になったばかりの昔の自分であった。
ストラディゴスは、自分が抱いても、抱かなくとも、この後に確実に殺されるであろう、この時は名前も知らない少女を前にして迷った。
戦場の、ルールは分かっている。
「どうせ殺せば結果は同じ」
それならば、より多くを奪ってからでなければ、旨味が減る。
だからこそ、多くの無法者たちは、物を奪い、尊厳を奪い、苦痛を与え、命を最後に奪う。
それが戦場の常識である。
その時、ルイシーはストラディゴスを見て蚊の鳴くような声を出し、口を動かした。
「……た……す‥‥…けて」
それは、ストラディゴスに助けて欲しくて言った言葉ではない。
ストラディゴスを含む傭兵達へ向けた、殺さないで欲しいという懇願の言葉である。
しかしストラディゴスには、ルイシーを他の傭兵達の目の前で「凌辱をするか、しないか」その二択しか用意されていなかった。
これは傭兵達が仲間を共犯者とする為の、一種の通過儀礼でもあるのだ。
ここで共に罪を犯さなければ、戦場で背中を預ける仲間として認められない。
腰抜けと思われるなら良い方で、悪ければ信用できないと見られる事となる。
ストラディゴスは、ルイシーに歩み寄る。
そして、ゆっくりと、まるで時間を稼ぐようにベルトを外すと、ズボンだけ膝まで下ろし、まるで反応の無いルイシーにゆっくりと覆いかぶさった。
ストラディゴスが苦痛と罪悪感の中で、初めて女を経験し、果てる。
すると他の傭兵達は「気が済むまで楽しんで良いぞ」と、共犯者になった新人に対して安心し、仲間想いであるかのような、下種な言葉を優しくかけた。
その言葉に、ストラディゴスは答えた。
「なら、こいつを俺にくれ」
傭兵達はそれを聞き、目を丸くした。
だが、すぐに成程と合点がいったのか、ニヤニヤ笑いながら快諾した。
「なんだお前、初めてだったのか。だがな、後始末は自分でしろよ」
傭兵団長が言った後始末と言う言葉。
後始末とは、ルイシーを犯した後に殺すか、飼殺して衰弱させて死なせてしまったら、自分で埋める事であった。
ストラディゴスは、名前も知らない死にかけの少女を、傭兵団のテントへと連れ帰った。
「出来るか、そんな事!」
ストラディゴスは、女性を一度もデートに誘った事も無い初心な少年の様な、弱気な事を言い始める。
しかし、ストラディゴスは実際、どうやって男女の仲が進展していくのか、あまりにも知らなかった。
少なくとも、今まで自分が経験してきた方法を採用して、上手く行くとは思えなかったのだ。
* * *
初めて彼が女の温もりを知ったのは、まだ背も伸びきらぬ十代だった傭兵になって間もない頃。
数人の孤児の集まりから始まった、まだ名前も無い小さな傭兵団で、金の為、生きる為に戦場を駆けまわる事に限界を感じ始めた時だった。
より多くの金を安全に稼ぐ為には、優秀な先輩同業者から学ぶのが近道である。
そこでストラディゴス達は、当時マルギアス王国で名を馳せていたフォルサ傭兵団に入る。
すぐに腕っぷしを買われ、ストラディゴスは前線の敵補給線にある村の焼き討ちに参加する事になる。
戦場では勝者による略奪・凌辱は、当然の権利である。
少なくとも、この世界の戦場では今も通用する常識であった。
野蛮な行為を取り締まる法律は無く、それらの行為を勝者がどう思うかの話でしかない。
戦争と言う殺し合いが許される非日常の環境では、殺人よりも軽んじて考えられる罪を取り締まる事は、日常よりも遥かに難しい。
勝者達は、生き残った敗者に辱めを与え恨みを買ったとしても、最後には殺してしまえば結果は同じ事となる為だ。
そんな世界に飛び込んで、ストラディゴスが初めて女を知ったのが、他の先輩傭兵達に散々輪姦された、戦火で焼け落ちた村の娘相手だったとしても、何も不思議は無かった。
まだ若い彼は、その時は見張りをさせられていた。
手がかじかむ季節。
焼け落ちた村の中。
まだ無事な、民家が一つあった。
自分が見張る扉の向こうで不愉快な行為が行われている事は当然知っていたし、止めたいという気持ちが無かった訳では無い。
だが、いくら巨人だとしても戦いの経験が浅い若造に、武装した手練れ揃いの傭兵達を止められる筈も無い。
扉の中で行われていた事が済むと、まだ若いストラディゴスは当時仲間だった先輩傭兵に部屋に入る様に言われる。
当時のフォルサ傭兵団の団長と、その部下たちがベルトを締めなおしているのが目に入る。
そこには、逆らう気力も失った幼い少女が、汚され、怪我を負わされ、血に染まった床に倒れていた。
少女の名前は、ルイシーといった。
「わりぃ、待たせたな。次はお前の番だ」
傭兵仲間の言葉を聞くと、恐る恐る暗い部屋へと足を踏み入れた。
ストラディゴスは、自分達のせいで孤児となり、死んだ家族の隣で、血の海の中汚されたルイシーを見下ろし、既に死んだように光が無いその目を見た。
そこにいたのは、孤児になったばかりの昔の自分であった。
ストラディゴスは、自分が抱いても、抱かなくとも、この後に確実に殺されるであろう、この時は名前も知らない少女を前にして迷った。
戦場の、ルールは分かっている。
「どうせ殺せば結果は同じ」
それならば、より多くを奪ってからでなければ、旨味が減る。
だからこそ、多くの無法者たちは、物を奪い、尊厳を奪い、苦痛を与え、命を最後に奪う。
それが戦場の常識である。
その時、ルイシーはストラディゴスを見て蚊の鳴くような声を出し、口を動かした。
「……た……す‥‥…けて」
それは、ストラディゴスに助けて欲しくて言った言葉ではない。
ストラディゴスを含む傭兵達へ向けた、殺さないで欲しいという懇願の言葉である。
しかしストラディゴスには、ルイシーを他の傭兵達の目の前で「凌辱をするか、しないか」その二択しか用意されていなかった。
これは傭兵達が仲間を共犯者とする為の、一種の通過儀礼でもあるのだ。
ここで共に罪を犯さなければ、戦場で背中を預ける仲間として認められない。
腰抜けと思われるなら良い方で、悪ければ信用できないと見られる事となる。
ストラディゴスは、ルイシーに歩み寄る。
そして、ゆっくりと、まるで時間を稼ぐようにベルトを外すと、ズボンだけ膝まで下ろし、まるで反応の無いルイシーにゆっくりと覆いかぶさった。
ストラディゴスが苦痛と罪悪感の中で、初めて女を経験し、果てる。
すると他の傭兵達は「気が済むまで楽しんで良いぞ」と、共犯者になった新人に対して安心し、仲間想いであるかのような、下種な言葉を優しくかけた。
その言葉に、ストラディゴスは答えた。
「なら、こいつを俺にくれ」
傭兵達はそれを聞き、目を丸くした。
だが、すぐに成程と合点がいったのか、ニヤニヤ笑いながら快諾した。
「なんだお前、初めてだったのか。だがな、後始末は自分でしろよ」
傭兵団長が言った後始末と言う言葉。
後始末とは、ルイシーを犯した後に殺すか、飼殺して衰弱させて死なせてしまったら、自分で埋める事であった。
ストラディゴスは、名前も知らない死にかけの少女を、傭兵団のテントへと連れ帰った。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~
タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。
時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま!
「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」
ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは――
公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!?
おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。
「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」
精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる