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優等生 逸花(いちか)
しおりを挟む1.うそ泣き
母親の「行ってらっしゃい」の声に送られて自宅玄関のドアを開けて通りに出た。
すると
「おはよう、宗ちゃん」
「おう」
そこに隣家に住む幼なじみの逸花が同時に玄関から出てきた。
白いブラウスに淡いミントグリーン色のカーディガンを羽織り、デニムの膝上丈のスカートとローファーの靴といった、いかにも清楚なJDという装いが似合ってチョー眩しい。目を細めて逸花を見つめた。
「大学、いつも1時間目から真面目に通ってるの?」
「そうだよ」
「ふ~ん、そうか」
「なんだよ」
「ううん、なんでもない。それより駅まで一緒に手をつないで行こうか」
言いながら手を伸ばしてきたので、俺は慌てて手を引っ込めた。
「手をつないで?なに寝ぼけたことを言ってるんだ」
いきなりの先制パンチで動揺してしまった。
「せっかく一緒になったんだから、久しぶりにいいじゃないの」
更に手を伸ばしてくる。
「冗談じゃないぜ、朝から女なんかと手をつないでだなんて、友達に見られたら『お前何やってるんだ』って大笑いされちまうよ」
とりあえず動揺を隠して冷たく言い放つ。
「いいじゃない、小さい頃はしょっちゅう手をつないでたんだから」
「もう立派なオトナなんだぜ」
逸花は諦めて手を引っ込めた。
「そうなの?でも一緒に学校に行くなんて久しぶりだね、いつ以来なんだろう」
2人並んで駅に向かって歩いていた。俺は平田宗介。杉本逸花とは同年で中学校まで一緒だったが、高校は成績の良い逸花は有名進学校へ行き、一方そこそこの成績の俺は近くの公立高校だった。
そして今は大学2年生。逸花はもちろん周囲の期待どおりに超一流の国立大学へ、俺はまあそこそこの大学に通っている。
逸花とは子供の頃はしょっちゅうお互いの家に行き来して仲良く遊んでいたものだった。当時俺の家は母親も働いていたので、幼稚園の行き帰りはいつも一緒だったし、帰って来てからも逸花の家で面倒見てもらい、遊び疲れて母親が迎えに来るまで逸花の家で一緒に寝ていたことも度々あった。その頃は逸花と俺は姉弟のようにいつも一緒にいるのが当たり前だったのだ。
しかし、小学校に入って妹の蛍が生まれると母親が家に居るようになって逸花の家に入り浸る頻度が次第に少なくなり、さらに中学生になってしばらくすると2人の成績の違いによる俺のひがみと思春期独特の男子の心理で女を意識するようになった逸花を避けていた時期があって、それ以来なんとなく逸花に近寄りがたい気持ちが2人の間の距離を大きくしていた。
だからといって決して仲が悪くなったというわけではない。思春期男子特有の鬱屈した思いから、積極的に一緒に居ようとする時間が少なくなっただけで、俺の本心としては美人の逸花と親密に付き合いたいという基本の思いは子供の頃から全く変わってない。思春期になって、逸花と一緒にいるのがただ照れくさかっただけの話しなのだ。
それ故に今日も本当は逸花と手をつないで歩きたいのは山々なんだが、男子の心理として好きな女子にはわざとつれなくしてつっけんどんな態度をとるのはごく自然なことだ。逸花は、そのあたりの男子の心理を理解できているのかどうか知るよしもないが、そのような扱いをされても機会があればぐいぐい俺に迫ってくる。
「ねえ宗ちゃん、今度私の友達連れてくるから宗ちゃんの友達と合コンしない?」
「合コンだって?お前の大学の友達連れてきたって煙たがって誰も来ねーよ」
「だめか、よく言われるんだよね。偏差値高い系の女子大生を相手にするのは気がすすまないって」
「当たり前だろ。俺らとは話しが合わなそうだし、最初から上から目線で来られたって気分乗らねーよ」
「そんなことないわよ、それは世間の誤解だよ。それじゃあ合コンがダメなら2人でコンパしようよ」
「2人でって、お前と俺?」
「そうよ。他に誰がいるの?」
「それってひょっとしたらデートって言うんじゃねーの?」
「そうとも言うわね」
「だから、よりによってなんで俺がお前なんかとデートしなきゃいけねーんだよ」
「私とはいやなの?」
「当たり前だろ。俺にはお前じゃなくてもデートしてくれって言う女は順番待ちする位いくらでもいるんだぜ、その順番を飛び越して逸花とデートしなきゃいけねー義理なんてこれっぽちもねーよ」
口からでまかせに虚勢を張って言った。
「…」
「ん?」
ふと横を見ると一緒に歩いているはずの逸花がいない。振り返ると数メートル後ろで顔を両手で覆って立ち尽くしていた。
なんだ?泣いてるのか?そんなきついことを言ったかな。か弱い(逸花も一応そういうことにしておこう)女を泣かすなんて男の風上にも置けない行為で俺の美学に大いに反することだ。仕方なく逸花のところまで戻った。
「逸花どうした?」
「…」
「泣いてるのか?」
「…」
「俺そんな変な泣かすようなこと言ったか?」
「…」
後ろ姿の肩が少し震えている。
「泣くなよ、みっともない」
「…」
「みんなジロジロ見てるじゃねーか。恥じーよ」
「…」
「お前となんかデートしないって言ったからなのか?」
「…」
「わかったよ、デートしてやるよ」
「…」
「いや、逸花とデートしたい。頼むから泣くなよぉ」
焦って懇願するように言った。
「ほんとに?」
逸花が両手を顔からおろして振り向いて言った。なんと満面に笑みを浮かべているではないか。
「え?ウソ泣きかよ!」
「そうか、私とデートしたいのか。いいとも、付き合ってやろう」
いかにも、してやったりという満足そうな表情をしていた。肩を震わせてたのは笑っていたからなのか?
「嵌められた、泣き真似なんてずるいぞ」
「確かに聞いたんだから。男子に二言はないわよね」
「う・う~」
「それなら早速、今度の土曜日はどう?」
「しょーがねーなぁ。忙しいんだが付き合ってやるよ」
「うれしいな~、宗ちゃんが初めてデートに誘ってくれた。やっぱり昔から変わらずに宗ちゃんは優しいな」
逸花にまた一杯食わされた。しかし俺も表面上は仏頂面をしているものの、内心は逸花と初めてデートできる喜びがこみ上げてくる。逸花に嵌められて言わされたとはいえうれしいんだ。うっかり気を緩めると頬がデレ~っと緩んできそうだ。苦虫を噛み潰したような渋い顔を保っておかないと逸花に足元を見られていいようにあしらわれてしまう。
「土曜日楽しみにしてるからね」
駅に着くと逸花はにこやかに手を振り、反対方向の電車に乗った。
2.初デート
約束した土曜日の朝になった。
“ピンポーン”
玄関のチャイムが鳴り、「は~い」妹の蛍が出ていった。
「おはよう、蛍ちゃん」
「あら逸花ちゃん、おはよう」
「宗ちゃんは?」
「朝ご飯食べてるところなんだけど、お兄ちゃんに何か用?」
「うん、今日はデートなんだ」
「ぅわ~逸花ちゃん、モテモテだね。誰と?」
「宗ちゃんと」
「え~っ!お兄ちゃんと?」
「そうよ」
「ほんとにぃ?お母さ~ん、一大事!お兄ちゃんが逸花ちゃんとデートするんだって」
蛍が大声で呼ぶと母親が玄関まで大急ぎで出てきた。
「なんだって?逸花ちゃん、デートだって?宗介は何も言ってなかったんだけど。とりあえず入って」
「はい、おじゃまします」
ダイニングに3人ぞろぞろ入ってきた。
「宗介、今日は逸花ちゃんとデートなんだって?なんでそんな大事なこと言わないの?」
「なんだよ、逸花もう来たのか」
「もううれしくって待ちきれないのよ!」
「逸花ちゃん、ほんとに宗介とデートしてくれるの?」
「はい、宗ちゃんが誘ってくれたんです」
「そうなの?逸花ちゃんありがとう。宗介、よくやった!」
「お兄ちゃん、すごいじゃない」
「なに騒いでるんだよ。逸花がデートしたいって言うからデートしてやるんだよ」
「ううん、宗ちゃんが私とデートしたいって言ったんですよ」
「どっちにしてもめでたいわ。女の子に全く縁がない宗介がデートなんて、それも逸花ちゃんとだよ。こんなにめでたいことないわ。今日はお赤飯炊かなくっちゃ」
「おばさん、宗ちゃん女子に縁がないって、それホントですか?」
「おふくろ、余計なこと言うなよ。黙っててくれ」
「ええほんとよ。あっそうか、デートだから昨日から服をとっかえひっかえ取り出してそわそわ落ち着きがなかったんだね。逸花ちゃん本当にありがとう」
「わ~い、いいこと聞いちゃった」
「うるさいなぁ。おふくろ、余計なことベラベラ喋るなって!」
「お兄ちゃん、デートだからきれいに髭を剃って化粧水つけていい匂いさせてるんだね。おかしいなって思ってたんだよ」
「蛍もうるさいんだよ。あっちに行ってろ」
「ふ~ん、お兄ちゃん顔がにやけてるよ」
「逸花ちゃん、それで今日のデートはどこに行くの?」
「私テーマパークに行きたいな」
「分かった分かった、どこでも連れて行ってやるよ」
「それから水族館もいいな。あそこもデートスポットなんでしょ?それにアウトレットモールでお買い物もしてみたいし。宗ちゃんから似合うのを選んでもらうんだ」
「1日でそんなに行けねーよ」
「宗介、なに言ってるんだよ。逸花ちゃんの行きたいところ全部行けばいいじゃないか。1回しかデートしないつもりなのかい?」
「おばさんそうですよね。1回だけだなんて」
「おふくろ、だから余計なこと言わないで黙っててくれ」
「あんたは逸花ちゃんの行きたいところに、後を付いて行ってればいいんだよ。子供の頃からそうだったじゃないか。逸花ちゃんが楽しめるようにエスコートするのがあんたの役目だよ」
「とりあえず今日はテーマパークに行って、あとは行きたい場所リストを作って持ってくるわ」
「好きにしてくれ」
「ありがとう、やっぱり宗ちゃんだわ。じゃあハネムーンで行きたいところも入れとこうかしら」
「バカ言ってんじゃねーよ。そんなもん誰と行くんだよ」
「あら、好きにしていいんでしょ?相手はもう決まってるじゃない」
「ほんとにああ言えばこう言う。だから口の達者な女は嫌いなんだよ」
「男子に二言はないんじゃないの?ねぇおばさん」
「ハネムーンなんて言ってくれて私は涙がでるほどうれしいわ、逸花ちゃん。これで安心していつでもあの世に行けるわ」
「逸花ちゃん、私のお義姉ちゃんになるの?ばんざ~い」
「うるせーな~、いつまでもつまらないこと言ってないで行くぞ」
女どものおしゃべりがいつまでも続きそうなので、朝食の残りを急いで掻っ込んだ。
何度も言うが、口から出てくる言葉とは真逆で、俺の本心はうれしいんだ。つい頬が緩みそうになるのだが、堪えろ。ここで気を緩めるといつまでも逸花の尻の下から抜け出せないことになるのだ。まあそうは言っても、所詮は何をしても無駄な抵抗かもしれないんだが。
「宗介、お小遣いはあるのかい?」
身支度していると母親がこっそり言った。
「あるけどくれるんならもらってくよ」
「お小遣いが足りなくなったらみっともないからね。デートの時くらい逸花ちゃんにいいところを見せなきゃ。逸花ちゃんに1円だってお金を使わせるんじゃないよ」
諭吉を2枚もらってでかけた。助かった、俺が用意した小遣いは次の為に取っておこう。
テーマパークでのデートをたっぷり楽しんで、日が傾いて暗くなり始めた頃に逸花の家の前まで戻ってきた。
「ありがとう、楽しかったわ。宗ちゃんは?」
「うん、まあまあだったかな」
「また行こうね」
「おう、それじゃあな」
俺が歩き去ろうとすると逸花が急に俺の服の袖を引っ張って顔を寄せ、俺の頬にかすかにキスマークを残した。
「バイバイ」
そして手を振ってスカートの裾を翻しながら自分の家の玄関ドアを開けて入っていった。突然の出来事で俺はしばらく動悸が収まらず、そこに立ち尽くしていたものだった。
3.ラブホテル
そうして逸花の行きたい所以外でもサッカー観戦やアニソン歌手のコンサート等々いろんな所に2人で出かけてデートを楽しんでいた。ただ毎回デート費用を母親からせしめるわけにはいかないので、それを稼ぐためにバイトの時間を増やしてやりくりしていたのは内緒だ。
その後、逸花からキスマークを貰うことはなかったが、どちらから言い出すでもなく自然に手を繋ぐようにはなっていて、子供の頃の逸花との付き合いが戻ってきたような気がした。そしてその頃には逸花とメールやSNSでのやり取りが始まっていた。
<今なにしてるの?>
<RPGゲームだ 邪魔するな>
<私にも教えてよ>
<そのうちにな>
<今度のデートは居酒屋がいいな>
<わかった>
<○○○>
<△△△>
数週間後、逸花と居酒屋デートを約束した日になった。授業が終わった後、いったん自宅に戻り、しめし合わせた待ち合わせ場所に行くと逸花はもう待っていた。
「何だもう来てたのか」
「そうよ、居酒屋なんて初めてだもの。楽しみ」
「居酒屋初めてなのか?やっぱり偏差値高い系なんだな」
「そんなの関係ないわ、たまたま機会がなかっただけよ」
「そうか。じゃ、アルコールも初めてなのか?」
「初めてじゃない、ちょっと飲んだことがある」
「ちょっとかよ、危ねーなぁ」
「大丈夫よ、もし酔っ払ったら介抱してくれるでしょ」
「そんなに酔っ払うつもりなのか」
「そんなのわからないわよ。でもいくら酔ってても宗ちゃんなら家まで安全に連れて帰ってくれるわ。安心よ」
「ふ~ん、つまりお前に男心を蕩けさせるような、女としての魅力がねーってことか?」
「ひどい!」
「だってその通りだろ、俺今までお前にそんな気を起こしたことなんか一度だってねーんだもん」
またまたはずみで心にもないことを言ってしまった。本心はこれまでと同様に、出てくる言葉とは真逆なのは言うまでもない。
これまで大学の女友達とホテルに行ったことはあるのだが、俺の本命はあくまでも逸花なのだ。
「そんなに言うんなら女の魅力を見せてあげるわよ」
「ふーん、そんなに自慢できるものがあるのか?あるんなら見てやろうじゃねーか」
「じゃ今日は居酒屋やめてホテルに行こう。女の意地よ」
「ホテル?」
驚いて声がひっくり返ってしまった。
「あら、怖気づいた?」
「そんなことねーよ」
平静を装って返事する。
「ふ~ん、そうかなあ。宗ちゃん女子に縁がないって言ってたけど、ひょっとしてまだ童貞なんじゃないの?」
「ドーテーだって?俺がドーテーな訳ねーじゃねーか。言ってるお前がバージンなんだろ」
動揺を隠すために言葉だけが威勢よくなる。
「そうよ、バージンだよ!宗ちゃんのために取っておいたんだからね」
「なに心にもねー事言ってんだよ。男から見向きもされなかっただけなんだろ」
「今日バージンとお別れするんだから」
「その気も魅力もねーくせに大きな口をたたいてるんじゃねーよ。アホじゃねーの?」
「ふふっ、やっぱり怖くなったんでしょ」
軽いジャブの応酬をしていたつもりだったが、煽られて気合が入ってきた。
「よしわかった。もしお前に女の魅力があって、俺をその気にさせたらお前を抱いてバージンを貰ってやるよ。俺をその気にさせられなかったらお前に魅力がねーってことを認めろよ」
「受けて立とうじゃないの。私の魅力の虜になって後悔しても知らないわよ」
しかしこの時点で、俺はもう半分以上後悔していた。こんなことを言い合ってるうちにオレ自身はすでに臨戦態勢に入ってズボンを膨らませていたのだ。あの高嶺の花だと思っていた逸花を抱くことができるかもしれないんだ。逸花の虜になるのは120%間違いない。というか、もう既に“逸花・命”なんだ。もしベッドインした場合、逸花をがっかりさせずに最後までできるか期待と不安が半々に混ざり合って俺の心臓は激しく脈打っており、すぐ横にいる逸花の耳にも響いているんじゃないかと気が気でなかった。
俺たちはタクシーでホテル街に移動した。タクシーを降りると目の前に装飾があまりけばけばしくないホテルがあった。
「ここでいいかしら」
「おう、いいよ」
「あなた経験があるんだから先に入ってよ」
「おう、いいよ。ついてきな」
あくまでもマウントを取って上位の姿勢を崩さないでいる。ここは勢いで乗り切ろう。
ラブホテルのシステムはよくわからなかったのだが、不慣れな俺でもそれほど戸惑うことなく部屋を選んで入ることができた。経験たっぷりのように口では言っているが、実は俺にはあまり経験がないってことを逸花に悟られなかっただろうか。
逸花の方をちらっと見ると、逸花もそわそわして落ち着きがない感じだ。やっぱり初めてだからなんだろう。俺もセックスの経験はまだ2回しかないけれども、ここで優位に立って俺のペースに巻き込んでしまわなければ。
「まず風呂に入ろうか、支度してくるよ」
「ええ」
こころなしか逸花の声が震えているようだ。浴室に行って蛇口からお湯を出して戻ってきた。
「で、どんなふうに逸花の女の魅力を見せてくれるんだ?」
ソファにどっかと腰を下ろして、いかにも場慣れしているような雰囲気を作って聞いた。
「え・ええ、いいわよ」
逸花は俺から遠くに離れて円形ベッドの向こう側に立って、おもむろにブラウスのボタンを外し始めた。しかしいつもの逸花のキレの良い動きではなく、ためらいながらモタモタしている。よく見ると手も震えているようだ。
「何だ震えているのか。ふふん、やっぱりバージンだな手伝ってやろうか」
俺も緊張して心臓が激しく脈打ち続けるのを押し隠して立ち上がり、逸花に近寄ろうとすると叫んだ。
「来ないで!自分でできるわ」
しかし俺はその言葉を無視してベッドを回って逸花のそばに行き、抱きしめて口づけした。逸花は逆らわず、上を向いて大人しく俺の唇を受けた。前と同じようにふっくらして柔らかい唇だった。俺は唇を離して、俺自身を落ち着かせるように静かに言った。
「わかったから無理するなよ。俺が言い過ぎた。逸花の魅力がわかってるからこんなに付き合ってるんじゃないか。逸花の魅力は俺が一番良く知ってる。もう十分だよ」
逸花は小さく震えながら、俺の胸に顔を埋めて言った。
「あなたはどうしてそんなに優しいの?他の女の人にもそうなの?みんなに優しいのはいや、私だけにして」
「うん、大好きな逸花だけだよ」
この時はなぜか自分の気持ちに正直に言葉が出た。
「私も大好き」
逸花をしっかり抱きしめてもう一度口づけした。
いい雰囲気になったかと思われたのだが、うっかり気を許して口を滑らせてしまった。
「ふふっ、しおらしくって逸花じゃないみたいだな」
「あら、私みたいじゃないから抱きしめてキスしてるの?」
逸花は豹変していつものきっぱりした口調になった。しまった。
「あーもう、ややこしい女だな。お前は逸花だろ、俺は逸花が好きだから抱きしめてキスしてるんじゃねーか」
「いつもの私じゃやだみたいな言い方だったわよ」
「逸花のすべてが好きなんだって」
「ほんとかしら、信じていいの?」
「お願いだから信じてくれよ」
「うん、わかった。でもひとつ聞いても良い?」
「なんだい?」
「さっきからお腹のあたりになにか硬いものがあたってるんだけど、ズボンのポケットに何か入ってるの?」
言われてハタと気が付いた。オレ自身はずっと臨戦態勢のままだったのだ。
「え?知らないのか、うん、バージンじゃ仕方ないか。これはその…だ」
口ごもってしまった。
「え?なに?」
「お前にはないもの、男の持ち物だ」
「え!?」
逸花の顔が赤くなったのがあまり明るくない照明の下でも分かった。
「それが…?ウソぉ…!」
逸花は絶句した。
「逸花の魅力でこうなってるんだよ。わかった?」
「信じられない!」
俺は逸花の手をとってズボンの上からそっと膨らみを触らせると、逸花は触れた瞬間ビクッと手を引っ込めてしまった。
「ヤダ、ムリ」
「やっぱりバージンだな」
「笑わないでよ、もうっ」
「仕方ないよ、バージンの素直な反応ってことだよ」
以前友達から初体験の女性はそのような反応を示しがちだと聞いたことがあった。ここでやっと俺にも余裕が戻ってきた。
「傷つくなぁ」
「そんなもんだって、バージンは」
「バージンバージン言わないでっ」
「余計傷ついたか?」
「もうっ!勝手に言ってなさいっ、帰るっ!」
「おい1人で帰れるのか?」
「ううっ、…一緒に帰ろう」
結局、そのまま会計を済ませてラブホテルを出て元々の目的地である居酒屋に行き、デートを継続したのだった。しかしそこで逸花はラブホテルでのやり取りが尾を引いて、ふてくされて俺が止めるのを無視してペースもわからず慣れない酒を飲み過ぎ、悪酔いして連れて帰るのに苦労した。
「逸花、家に着いたぞ。しっかりしろ」
「ありがとう」
「ひとりで歩けるか?」
「らいじょうぶ」
「大丈夫じゃねーだろう」
「らいじょうぶよっ」
逸花の腕を支えてチャイムを押した。
ピンポ~ン
「は~い」
逸花の母親が出てきた。
「こんばんは」
「あら、宗介君」
「すみません、止めたのに飲み過ぎちゃって」
「あらあら、ごめんなさいね」
「ホントにすみません。二度とこんな風にはさせませんから」
「ううん、いいのよ。逸花もちょっとは社会勉強しなきゃいけないのよ。宗介君がついててくれるから安心できるわ。ありがとう」
「…」
こんなに信頼されてるのに何やってるんだ。しっかりしろ、俺。ラブホテルに行ったことが悪酔いの原因だなんて、とてもじゃないけど言えない。
ちなみに次の日、逸花は二日酔いで苦しんだということだった。
4.初体験
その後、逸花は俺が逸花にぞっこんだという俺の本音を聞いたこともあって、少し女っぽさを増したのだが、相変わらず健全な青少年のデートを続けていたので逸花は引き続きバージンを保持し続けていた。
そんな休日のある日、朝から逸花と2人で出かけ、いつものように夕方まで遊んで戻ってきた。
「今日も楽しかったね。ありがとう」
「うん、それじゃあな」
去ろうとすると、逸花が俺の上着の裾を引っ張って止めたのだ。
「なんだ、どうした?」
驚いて立ち止まると、逸花が下を向いて小さな声で言った。
「今日、うちの両親いないの」
「それじゃ留守番してないといけなかったんじゃないのか?」
それには答えずに逸花は俺の服の裾をつまんだまま、硬い表情でまた小さな声で言った。
「夜1人だと心細いんだ」
「そうか、じゃもうしばらく付き合ってやるよ」
俺は深く考えずに言った。
「うんありがとう、入って」
逸花はホッとした表情になった。
「おじゃまします。逸花んちに入るのも久しぶりだな」
「私の部屋に行こう」
「うん」
「入って」
「相変わらずきれいにしてあるな。やっぱり女子の部屋だ。女の匂いがする」
ここまでは俺にもまだ余裕があった。
「キスして」
「う・うん」
逸花の肩を両手で持ち軽く口づけして離れようとすると、逸花は俺の背中に腕を回してしっかり抱きしめ、俺の胸に頬を寄せて言った。
「今日バージンとお別れするわ」
「はぁ?お前正気か?」
突然の逸花の宣言で驚いて、また声がひっくり返ってしまった。
「本気よ」
逸花は真剣な表情で下からまっすぐ俺を見つめている。俺は急な展開に驚いてつばをゴクッと飲み込んだ。その音が部屋中に響いたかと思うほど大きく感じた。
「ム・ムリって言ったんじゃないのか」
最後の方は更に声が上ずったのを逸花に気づかれなかったかな?
「あの時はね。でも決心したの。私がいつまでも怖気づいててしないとあなたが可哀想だって」
「…」
「あなたは優しいからいつまでも待ってるでしょう?かと言って、その間にあなたが例えちょっとしたはずみでも私以外の他の女の人を抱くなんてこと想像したくもないわ」
「…」
「どうせ一度は通る道なんだし、だから決めたの。今日…」
「わかった。うれしいよ」
「明日の朝までずっと一緒にいてくれる?」
「お・おう」
「先に私シャワー浴びてくるからあなたはここで待ってて。恥ずかしいから絶対来ちゃいやよ」
「わかった。ここで待ってる」
俺は待っている間に母親に今日は友だちのところに泊まると電話しておいた。母親は俺が隣の家にいるなんて全く思いもしなかったようだった。そうするうちにシャワーを浴びた逸花が身体にバスタオル1枚を巻いた姿で戻ってきた。
「お待たせ、あなたもシャワー浴びてきて。タオルは出しておいたわ」
「お・おう」
シャワーを浴びて俺もバスタオルを腰に巻いて出てきた。逸花の部屋に入ると逸花はすでに自分のベッドに入っていた。そして逸花が巻いていたバスタオルはそばの椅子にかかっていた。
「いいのか?」
「うん。あ、待って。恥ずかしいから明かりを消して」
「でもそれじゃ真っ暗で何もわかんねーぞ」
「う~ん、それもそうね」
「豆球つけてていいか?」
逸花がこくんと頷いた。
部屋の照明を落として、腰に巻いていたバスタオルを取ろうとすると逸花は両手で顔を覆った。
「見せないで」
「う・うん」
毛布をめくるとその下に逸花の白い裸体が輝いて見えた。これまで他のどの男も目にしたことがない清らかな肌だ。いや、なんと言うか正確には子供の頃親に隠れてやった“お医者さんごっこ”や入浴の際に目にしたことはあるのだが、当時と現在の姿は大違い、別物の逸花なのだ。
両手でオレ自身を隠して逸花の隣に入った。ほのかに逸花の体温が伝わってくる。今日は逸花は落ち着いているのに、俺の方が逆に緊張してガチガチになっていた。しかしオレ自身はと言うと既に勃起して猛烈な勢いで上を向いていた。
逸花の顔を覆っていた両手を横にずらして口づけをすると逸花は俺に抱きついてきたので、俺も両手を裸の逸花の背中に回してギュゥッと抱きしめた。
「はあぁっ」
逸花のふくよかな胸の膨らみが俺の胸に押し付けられた。当然のことながらオレ自身も逸花の太ももにピッタリ押し付けられている。
「すぐに入ってくるの?」
声が少し震えているようだ。
「いや、その前に準備が必要だ。それより逸花、自分でしたことはあるのか?」
「なにを?」
「オナニーだよ」
「やだ、えっち」
「と言うことはあるってことだな」
「う・う~ん、ちょっとだけ…触ったことは…ある」
「そうか」
「だって、そうと決めたら全て宗ちゃん任せにするんじゃなくて、自分でも調べておきたかったんだもの」
「はあ~、やっぱり偏差値高い系なんだな。それでイッたのか?」
「知らないっ!!」
逸花は俺の腕の中で反転して背を向けてしまった。
「そうかそうか、俺のことを思いながらしたのか?」
「しらない…」
つぶやくように言ったと思ったら突然俺の方に向き直った。
「ぎゅうっと抱いて」
「う・うん」
逸花の身体を力を加減しながら抱きしめた。
「はあっ!もっと!」
「お・おぅ」
逸花の上に重なり、足も絡ませて更に力を込めて抱きしめた。
「はああっ、そうちゃ…ん」
不慣れな者同士だったが、セレモニーはなんとか滞りなく終わった。息を弾ませて2人抱き合ったまましばらく横になっていた。
「宗ちゃん、満足できた?」
「うん、俺はもう慣れたもんだよ。それより逸花は大丈夫なのか?」
アッと言う間に終わってしまったのだが、それには触れずに言葉の上では余裕を見せて言った。
「あんな大きいのはムリだって不安に思ってたんだけど、できるものなんだね。あまり心配いらなかった」
「何回かしてればクセになるほど気持ち良くなるみたいだな」
友だちから聞いた出所不明の情報だ。
「ふ~ん、続けてしなきゃダメかしら」
「そんなこと俺は男だから分かんねーけど、でも無理はしないほうが良いよ」
「そうだね、また相手してくれる?」
「いいとも、逸花がその気になったらいつでも付き合ってやるよ。だから他の男にさっきみたいに言い寄るんじゃねーぞ」
「やめてよ、宗ちゃんだから言ったんじゃないの。でも重荷を下ろして緊張が解けたらお腹が空いてきたな。何か食べる?」
「そうだな」
逸花はゆっくり起き上がってベッドから降りて明かりをつけ、俺の目の前で下着をつけずにスカートをはきブラウスを着た。それを見て言った。
「もう裸を見られても恥ずかしくないのか?」
「いやだ忘れてた」
「何だ、恥ずかしいってのもその程度か」
「バージンというお荷物を下ろしてホッとしたのかもね」
「女は、一度寝た男の前では大胆になれるってことなんだな」
「そんないやらしい言い方しないでよ」
逸花はキッチンに行き、俺も起き上がって服を着た。逸花は冷凍食品のピラフを温め、野菜を刻んでサラダとスープを作って2人で食べた。
「おいしかった。逸花もそれなりのもの作れるんだな」
「ちょっとは見直した?」
「うん、冷凍食品だけどな」
「ふんっ」
そこでは来るべき将来の新婚生活を垣間見た気がした。
その後はリビングでしばらくテレビを見て過ごしていた。
「そろそろ寝る?」
「おう」
「私のベッドでいい?」
「いいよ」
「じゃ行こう」
2人共また裸になって横になり、抱き合ったまましばらく話をしていた。長いこと待ち望んでいた愛しい逸花とのふたり寝なので興奮が収まらず、なかなか寝付けなかったのだが、それでもいつの間にか眠りに落ちていた。
5.逆転
窓の外が明るくなって俺が目覚めた時には逸花はもう起きて朝食の支度をしていた。裸のまま起き出してキッチンを覗くと逸花も裸に胸を隠したエプロンを付けた姿だった。
「逸花、もう起きてたのか」
「いやだ、かわいい」
平常な状態のオレを見ていった。
「何だそっちに先に目が行くのか。お前淫乱の素質があるのかもしれないぞ」
「エッチ!」
「お前こそ、そんな格好で」
「うれしい?」
「うれしいに決まってるだろう。愛しい女の裸エプロンは男の願望なんだよ。お前はやっぱりスケベなんだな。それより初めてだったけど大丈夫なのか?」
「うん、ちょっと変な感じだけど大丈夫。あとでもう1回する?」
「なんだ、ほんとに淫乱全開だな。俺はまだダメだよ」
「私のこんな姿を見てもダメなの?」
「残念だけど、男はそんなに続けてできねーんだ」
逸花が無理をしてないか心配してやんわり拒絶した。
「ふ~ん知らなかった。じゃ今日はこれからどうする?」
「一度帰って午後からまた来るよ、まだ1人きりなんだろ?」
「別に留守番しなくてもいいんだけど、家で一緒に過ごそうか」
「お母さんたちは何時に帰ってくるんだい?」
「夕方って言ってたわ。そういえば、昨日出かける時になんて言って出ていったと思う?」
「?」
「夜1人で怖かったら『宗介くんに来てもらえばいいだろう』って」
「はぁ?俺は逸花の用心棒か?」
「そうよ。宗ちゃんはこれから先もず~っと私を守らなければいけないのよ」
「しょうがねーな、じゃ夕方まで逸花に付き合ってやるよ。大好きな逸花がひとりでいるところを変な奴に襲われたりしねーようにな」
「うん、ありがとう」
朝食の後片付けが終わったところで俺は逸花を連れて一旦家に戻った。勿論、俺が友達の家から帰ってきたところでたまたま逸花とバッタリ会って連れてきたという設定だ。そして俺の家族と一緒に昼食を済ませて午後になって再び逸花の家に行った。そしてリビングでコーヒーを飲みながら話をして過ごしていたのだが、しばらくすると逸花がためらいがちに言った。
「ねえ、まだできない?」
「なに?」
「あれ…」
もじもじテーブルの上に指で◯を書きながら言った。俺はすぐに理解したのだが、しらばっくれて言った。
「だからなんだ?はっきり言ってみろよ」
「もうっ、わかってるくせに。いじわるっ!」
とすり寄ってきた。
「わからねーよ。なんだよ」
あくまでしらを切る。ここでは高姿勢を貫くのだ。
「も1回ベッドに行こう。もっといっぱいしたいの」
逸花は頬を赤らめて消え入るような声で言った。
「なんだ、もう淫乱の虫が騒ぎ始めたのか」
「いじわる」
「俺はまだムリだな」
とりあえず冷たく突き放す振りをした。セックスに関しては俺が主導権を持っているんだと今から強く認識させておかなければならない。
すると逸花は俺の股間に手を伸ばし、オレ自身をズボンの上から押さえてそこに耳を近づけて何かを聞くふりをして言った。
「そんなことない、オレ君はもう大丈夫だって言ってる。ほら、もうこんなに膨らんでるよ」
たしかにオレ自身は既に勃起してスボンを押し上げていたのだ。若い健康な男子だからとっくに回復して準備万端整っていたのは間違いない。
「しょうがねーな、こんなんじゃ先が思いやられるよ」
渋々という風情を作って立ち上がった。
「行こう」
逸花はウキウキと俺の手を引いて自分の部屋に連れていき、2回戦が始まった。
1時間後、2人はベッドに並んで横たわっていた。今度はオレも十分に持続した。
「セックスがこんなに素敵なものだってどうして今まで誰も教えてくれなかったんだろう」
「お前、昨日はじめて経験したばっかりなんだぞ」
「だって宗ちゃんがやさしいから素敵なんだもん。子供の頃からこんなにいいものだって知ってたら、大好きな宗ちゃんと毎日でもセックスしていたのになぁ」
「おい逸花、正気か?なに言ってるのかわかってるのか?」
「ふふっ冗談よ」
「何だ、びっくりするじゃねーか。でも今からこんなに迫られてたんじゃ俺身体が持たねーよ」
「ダメよ、ちゃんと私の相手をしなくちゃ。でないと男を求めて街をうろつくようになるかもしれないわよ」
「やめてくれよ。逸花はほんとにやりかねねーからな。そんな恐ろしいことを聞くと、もう逃げ出したくなってきた」
「逃げ出すなんてそんなこと許されないわよ。あなたは私と結婚しないといけない運命なんだから」
「誰がそんな事決めたんだ」
「だってうちの両親も『逸花の結婚相手は宗介くんがいいんじゃないか』って言ってるし、あなたのお母さんも『宗介のお嫁さんは逸花ちゃんで決まり』って喜んでくれてたわ。みんなの期待を裏切っちゃいけないのよ。優しい宗ちゃんはそんな事しないよね」
「…」
「結婚したら毎日いっぱいいっぱい仲良くして楽しむのよ。がんばってね」
勘弁してくれ、やっぱり逸花にはかなわない。俺の自由はないのか。
おわり
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