最強人外魔法剣士の冒険譚~ソロでクエストを受け続けていたらいつのまにか白金級になっていたらしい~

高岡玄三

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君と駆ける夏

第40話 エルゼのお勉強

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 その日は五時半より前にエルゼが起き上がった。ゼノより早く起き上がれたことに対して小さな喜びを感じていたエルゼはつい調子に乗ってしまい、ゼノを叩き起こそうとした瞬間背後を取られ、締め上げられてしまった。
いつものように朝ごはんを食べ身支度をするとゼノはエルゼを連れて市街循環型馬車に乗り込んだ。

「今日はギルドに行かなくていいのかよ。ばあさん知ったら怒られるんじゃねえのか?」

「今日はお前の勉強会だ。よそに行くんだから言葉遣いきちんとしろよ。」

馬車から降りるとゼノ達は郊外の貴族の別荘のような屋敷に着いた。貴族のコネを持っていたのかとゼノに関心しているとゼノは扉をノックした。

「ゼノだ。ルークはいるか?」

扉が開くと出迎えてくれたのはメイドではなくて皮鎧を着た獣人と軽装のダークエルフの白くて長い髪をした美しい女性たちが現れた。

「こんにちはー!ゼノさんやっほー!」

「こら、エナいけませんよ。おはようございます。ゼノさん、エルゼさん。私『星の庭園』のサラといいます。すぐにルークさんを呼んできますので中に入ってきてください。」

サラに導かれてゼノ達は応接室へ通された。エルゼは出された紅茶に手を付けずにいると扉の外から何やら気配がしてきた。

「おおおおっお久し・・・ぶり・・・ですっ!」

「ルークさん緊張しすぎですよ。

「やあ、ルーク。こうして顔を合わせるのは本当に久しぶりだな。今日はお前たちに頼みがあってきたんだが。」

「何でしょう!」

ゼノはエルゼの肩に手を置いた。

「実はな、こいつギルドではエルって名前なんだがわけあって本名を隠しているんだ。本名はエルゼって名前なんだけどな。こいつにいろいろと教えてほしい。できることがあるなら俺も協力する。」

「エルゼ君・・・ですか・・・ゼノさんの頼みなら俺協力しますよ。」

エルゼが仮面を取った瞬間サラがルークを庇う姿勢に入った。

「こいつってここを荒らしていたギャングのエルゼではないでしょうね?」

「そうだがダークエルフ。」

「まあ待て、こいつの組織は俺が壊滅させた。残っているのはこいつ一人だけだ。秋ごろになったらこいつを連れてシルベルスに送ろうかと考えているところだ。」

「騎士団は何を考えているのですか?犯罪者をいくらゼノさんが監視しているとはいえ、一歩間違えたらゼノさんも犯罪者ですよ?」

「辺境伯もなにか目的があってのことだろう。あの差別主義者の考えていることはわからん。なにもお咎めがないというか生きていることの確証がつかめないからな。ははは。」

ゼノが笑ったところでエルゼは「こいつも大笑いするんだ・・・」といったような顔で見ていた。一通り笑ったところでゼノはルークにあの提案を持ちかけてきた。

「さて本題だ。ギルド支所から北西にあるダンジョンあそこに隠しダンジョンがあるって噂があってな俺いや俺らと手を組んでそこ探索しないか?聞いた話によると魔鉱石が大量にあるって話だ。」

「それの出どころってもしかしてエルゼ君から・・・?」

「お察しがいい。こいつはその隠しルートを使って魔鉱石を密売していた。今回そのルートを公にするんだ。」

「魔鉱石がある鉱脈を教えるだなんて秘密にしていればいくらでも稼げただろうに・・・」

「これぐらいしないと買収できないだろ?お偉いさんによ。」

「魔鉱石がたくさんある・・・しかも隠しダンジョン俺自身としてはみてみたい気持ちもある。これは皆の意見を取り入れたいと思う。」

ルークは部屋の外で待っていたメンバーを集めゼノとエルゼの話を持ち掛けた。

「ルークがいきたいっていうならついていくけど・・・あの子連れていくのはどうかと思うんだけど・・・」

「ルイに同じ。ダンジョン内は何があるかわからないし信用できる人と行きたい。」

皆エルゼを警戒しているようだ。ゼノはエルゼを彼女たちの前に差し出し、

「こいつと仲良くというかどういうやつかこれからわかってくれないか?こいつにはスキル封じの首輪してるし俺もルークもいるしなっこいつの更生に付き合ってやれよ。」

「確かに隠しダンジョンの位置をわかっている人はこいつしかいなっすよね。エナは賛成っす。」

「俺からも頼むよ。責任は俺が持つからさ。」

そうしてエルゼのお勉強会が始まったのだ。まずはルナが講師を受け持つこととなったのだ。

「いいですか?まず基礎的なことを教えますからよく聞いてくださいね。この世界には大まかに四つの種族に分けられています。一つは人間この世界に多くいる人種です。人によって肌が黒かったり白かったり、髪の色が様々なものがありますがそれを含めての人間です。ここの国も人間が建てた国であります。

次に獣人です。外見は人間に似た姿から獣に近い姿の獣人がいます。人間にも差異があるように獣人にも個人差があるのです。この国から南には獣人の国があります。我がアルテア王国は他種族が共存して生活している国なのです。

次にエルフですが彼らは長い耳と長い寿命を持っています。ここから北東部にはエルフの里があります。エルフは小さな都市国家群を形成しており、部族ごとに各国各地にエルフの里があります。エルフは保守的だったのですが最近になって都市で生活する者や人間の生活様式を取り入れたエルフも存在しているようです。次は・・・」

「魔人だろ。続けてくれ。俺は気にしていない。」

「はい、最後に魔人我々は魔族とも呼びます。全身が異形の姿をしており人間、獣人エルフとは異なる文明、文化を持ちます。人間から見て魔人は残忍な性格に見え冷酷なところがあります。魔力量も高く身体能力も高い種族です。亜人は魔人と人間の混血児に当たります。」

「俺、人間とか獣人とエルフとか魔人の部下とか奴隷を持ったことがあるな。」

「奴隷は持たないでください。ここで何か質問はありますか?」

「亜人はなぜ少ないのですか?」

「それは・・・亜人が生まれるのは人間と魔人がまぐわってできた子供です。生まれた時から差別にあったり、親から殺されることがあるからです。」

「ふーん、わかった。教えてくれてありがと。」

次の講師はサラになった。次はスキルの話になった。

「こんにちは。エルゼ君。ここでは魔力とスキルについて教えましょう。この世界には生まれついての魔力という物を持っています。人によって個人差があり多い人と少ない人がいます。使った魔力は食事や睡眠から回復することができます。魔法を使っても一晩しっかり休息を取り食事をとれば明日の朝には回復します。

スキルについては人間と獣人はある程度身体が育たないと発現しません。スキルとは神からの授かりものといわれています。スキルは親から受け継がれて先祖の霊が我々を守ってくださります。ですが稀に両親のどちらにも似ないスキルを発現することもあります。スキルは一人につき一つですが稀に二つ持って生まれることがあります。
エルフや魔人たちは生まれた時からスキルを持っています。」

「質問。ドロップ型は珍しいんですか?」

「はい、ドロップ型は二つ持ちのスキルと同等のレアといわれるほどです。ドロップ型はスライムでも倒さない限り判明することはありません。ドロップした物が冒険に有用なものから希少な鉱物を生成するタイプもいます。」

「今日はいろいろと教えていただきありがとうございました!」

エルゼの礼儀正しさにルナとサラが少しだけ警戒心が緩んだ。その後ゼノ達とお昼ご飯のビーフシチューを食べた。エルゼの好物だったらしく食べるスピードが速かった。

午後からルイとエナが実技を兼ねた訓練をした。エルゼは弓を使い矢を放った。的を用意してもらい正確な射撃ができるようになった。ナイフさばきもルイと特訓して人並みにできるようになった。

帰り際エルゼは彼女たちに笑顔でお礼を言った。
ゼノ達が帰った夜ルークは温泉に浸かりながら明日の隠しダンジョンとエルゼのことを考えるのであった。
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