最強人外魔法剣士の冒険譚~ソロでクエストを受け続けていたらいつのまにか白金級になっていたらしい~

高岡玄三

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君と駆ける夏

第41話 隠しダンジョン

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 エルゼとゼノは宿「あめあがり」でいつものように目玉焼きとサラダとスープを食べ自室で身支度をしていた。これが最近のルーティーンとなっていた。二人はギルドへと足を運んだ。ギルドの前に着くと既に「星の庭園」メンバーが来ていた。

「ゼノさん、エル・・・エルくんもおはよう!」

「おはよう。早いな。」

「おはよう・・・ございます・・・」

挨拶を済ませた七人はギルドの中へ入っていった。ルークが扉を開けると朝から酒をあおっていた冒険者、今日の作戦会議を開いていたパーティー、クエストを探していた彼らが一斉に注目した。ルークとゼノはその視線に慣れきっておらずお互いの仲間と同伴者の陰に隠れてしまった。

「『渡り』と『星の庭園』が同盟でも組んだのか?」

「『渡り』は『銀の天秤』と同盟組んで『法の女王』を倒したらしいよ。」

「あいつら最難関ダンジョンでも攻略するのかな。」

事実と噂が飛び交いルークとゼノはどこか恥ずかしい気持ちで受付カウンターに寄りダンジョン攻略の手続きをしたのだ。

「あんたたちもすっかり有名人だね~」

エリーシャがゼノ達をからかう。ゼノは彼女をあしらいながら書類にサインをしていく。七人は人目を気にしてギルドを出て馬車を待った。

「あの、ギルドで作戦会議とか立てなくてよかったの?」

「う~んそうだなあ、今回行くのはあるかもわからない隠しダンジョンだしあそこのダンジョンの地図あるから慎重に進んでいれば大丈夫だと思うよ。もしイレギュラーな事態が起きても俺とゼノさんがいるから対処できると思うよ。」

「ルーク!そこは私たちもでしょ!」

そんなやり取りを聞いているとゼノとエルゼは冷めた目で馬車呼びの鈴を使って馬車を呼んだ。しばらくして北西部行きの馬車がやってきて七人は急いで馬車に乗り込んでいった。
馬車に揺られている間エルゼはカバンを開けて転送石と魔力を一時的に補給する青い色をしたポーションの数を確認していた。

「中身の確認かよい心がけだぞ。」

ゼノが褒めるとエルゼはささやかな反抗心でそっぽを向いたのにサラが褒めるとなぜか嬉しそうにお礼を言った。
馬車を走らせてから三十分過ぎた時馬車はダンジョン近くに止まった。
降りた七人は洞窟の形をしたダンジョンの前に立った。エルゼとゼノを先頭にしてダンジョンへと足を踏み入れた。
ダンジョンの中はひんやりとしていて日が昇っている時間帯なのにも関わらず中が薄暗い。通路には生き物の気配と行ったらスライム数体がいるだけだ。ここは数多の冒険者たちが通った後なのでゴブリンやオークなどが長い時間をかけて駆逐されたのでここの生態系はスライムと弱いコボルトぐらいしかいなかった。

「ねえここってあんまり魔物いないからそろそろ廃ダンジョンにするってギルドが決めてませんでした~?」

「廃ダンジョン化はダンジョン内の資源が尽きた時に決められるものだからまだ魔鉱石が採れるうちはギルドが保有しておきたいだろうね。」

ダンジョン内の資源が尽きた時ギルドはそのダンジョンを廃ダンジョン化を宣言する。その時ダンジョンの土地の権利はギルドからその土地の領主に明け渡される。資源をギルドが事実独占しているのだ。その代わり領主はギルドの構成員に対し様々な事に動員する権利がある。

大した魔物がいない中、中盤まで進んでいくとやっと痩せたオークが姿を現したが鍛えたエルゼとルイで難なく倒してしまったのだ。

「ほんとにここに隠しダンジョンでもあるの?」

「このあたりだよ。そこの壁に行くよ。」

エルゼがただの土壁に魔力を流し込むと壁に植物の文様の入った光の門が浮かび上がってきた。

「なんでなんでここ魔力探知でも何もなかったのに!」

エナがつい叫んでしまった。エルゼは冷静に門に魔力を注ぎ込む。

「これは俺の部下が偶然発見したものだ。そいつは魔人でな、スキルを経由しないと魔力を発動できない人間には見つけられない門なんだ。」

「スキル経由で魔力を出すことができるのはエルフと魔人だけっすよね。」

エルゼは青ポーションを一瓶飲むと光の門をゆっくりと開いた。ゼノは念のため門の傍に子供のこぶし大の転送石を埋め込んでおいた。

「ここからだ警戒するなよ。」

「ここからは俺のシマだ。ヘマはしねえよ。」

ゼノとエルゼが先頭に門をくぐった。中は入口こそは小さい魔鉱石だったが中を進むにつれ生えている魔鉱石の大きさが段々大きくなっていく。大きいものは子供の背丈ほどだった。

「すごいっす・・・圧巻っす・・・」

「大きいのあれば一生遊んで暮らせるお金が手に入りますわ・・・」

「ダンジョンにこんな幻想的で美しい場所があったなんて・・・」

庭園メンバーが感嘆の声を上げる中エルゼはいつになく真剣な表情をしていた。

「ここはお前のシマだというのに何をそんなに警戒しているんだ?」

「俺たちが採掘していたのは入口付近だけなんだ。そこから先は皆が恐れて先へ進んでいなんだ。」

その言葉を聞いて浮かれ気味だったパーティーに緊張感が走る。それでもエルゼとゼノは進み続けた。進み続けるにつれ魔鉱石が段々と人の手が入ったような形をしてきてついには大人数人が並んで入れるほどの魔鉱石の門にたどり着いた。

「ここまで来て魔物と遭遇しないのはおかしい。罠の気配もない。組織の利益を捨ててまで撤退を選んだんだ何かある用心しろ。」

魔鉱石の門をくぐるとそこには光り輝く魔鉱石の玉座とおもわしき領域に踏み込んでいた。そこの魔鉱石も一般で流通している魔鉱石よりはるかに純度が高い市場だったら小さい石だけでも都市に家を建てることができるほどだ。
七人が領域に足を踏み込んだその瞬間だった。皆が綺麗な魔鉱石に囚われている瞬間を狙われたのか斬撃が皆を襲ったのだ。
無事だったのは即座に対応できたゼノとルイが突き飛ばして斬撃の餌食とならなかったルークとサラに庇われたエルゼだった。

空の玉座の前に現れたのは白い魔鉱石のような結晶で出来た鎧に覆われている騎士らしき異物がそこにいた。それは気配も殺意もなく結晶の剣を持ってエルゼに襲い掛かろうとしたがゼノがその斬撃を防いだのだ。

「ルーク!けが人に回復魔法をかけろ!こいつは俺が何とかする!」

「しています!治療が終わったら俺も参戦します!」

騎士らしき存在は剣を高く上げ光り出した。その刹那周りにある魔鉱石からレーザーが飛び治療中のルークの右わき腹を貫いた。

「動ける奴はエルゼを連れて転送石で逃げろ。入り口付近に石を置いといた!」

スキルでわき腹を直しながらルークはエルゼを連れて転送を開始した。

「治療が終わったら必ずそちらに向かいますから時間稼ぎお願いします!」

そう言い残しルークたちは消えていった。残されたのは結晶の怪物とゼノ一人だった。怪物が剣を使いゼノに攻め立てる。ゼノも応戦していく。そこからは金属の音と結晶というべきがほぼ鋼と同じ硬度の石の剣の鈍い音を響かせながら刃を交わしていく中でゼノは相手の強さに久々の興奮を覚えたのだ。

「ははははははは!この俺と戦ってすぐにくたばらねえ奴は久しぶりだ!壊れねえ人形遊びもなかなかいい趣味だ。自己紹介に加えたいほどだぜ!」

目を見開き戦いの楽しさを見出したゼノは闇を刀に纏わせる。それに対して怪物は剣にエネルギーを纏わせながら周囲の魔鉱石からレーザーを放出しゼノに斬りかかったがゼノはレーザーの網を器用に抜けた。ゼノも体に闇を結晶化して纏わせ怪物の首を狙った。お互い剣の達人同士決まるのは一瞬だった。ゼノが彼の首半分を斬り関節を突きで破壊して行動不能にした。ゼノは外からルークたちの気配を察知したがゼノはそんなのをお構いなしに怪物に手をかけた。ゼノの手から闇が流し込まれ身体がけいれんを始めた。

「苦しいだろう。身体と脳みそを魔人に近い形に入れ替えて洗脳しているんだよ。これからだんだん気持ちよくなっていくから頑張ろうな。」

闇を流し込まれ今まであった記憶が消され新たに思考と思想を植え付けられた怪物は騎士のような佇まいになり自らの身を守るために黒い小さな結晶になった。

「遅くなりました!ゼノさ・・・あれ?」

「悪い終わらせた。敵はした。エルゼは無事だったか?」

ルークの後ろからエルゼが緊張しながらゼノを覗いてきた。

「みんな無事だったし帰るか!」

その後ギルドには隠しダンジョンのことを報告し大量の魔鉱石がギルドの元へ入ることとなった。輝かしい戦果に他の冒険者たちはゼノ達を称えて酒場で大規模な宴会が始まりゼノとエルゼはそこに強制的に組み込まれることとなった。エルゼはそのクエストでの活躍により銀級にあげられることとなった。

宴が終わり宿の自室に着いたゼノは寝間着に着替えているエルゼにある物を渡した。
それは黒い正八面体の結晶であった。

「これってあの怪物が落としたやつでしょ?ギルドに報告しなくていいの?」

「ちょっとこれに魔力を流してみろ。いいから。」

言われるがまま魔力を流すと結晶は白く光り出しあのダンジョンでみた騎士のような怪物が現れた。エルゼは慌てて室内でも関わらず弓を構えた。

「そう焦るな。こいつの意識と思想を俺の闇で壊した人形のようなものだ。こいつに触れて分かったことだがまだ仮説レベルだけどなこいつは結晶を糧に生命活動できる未知の生命体らしい。こいつにお前の転送石を与えれば強い側近ができるぞ。
ただし俺がいるうちは使うのは禁止とする。」

一人用の部屋に大の大人二人と少年部屋が狭かった。でもエルゼは自分にまた忠誠心が高くて強い部下ができると知って持っている手に収まるぐらいの転送石を騎士の口にねじ込んだ。騎士は取りこんだ石に違和感を感じて悶えたが新たな王とみなしたのか狭い室内で騎士は片膝をついて忠誠の意を示したのだ。その姿勢を見たエルゼは久々にかつての「白黒の狂剣」ボスの顔をして騎士を結晶に収めさせた。

「ゼノ感謝しているぞ。こんな貢物を持ってこさせるだなんて俺は心の底からうれしいぞ。」

二人の凶行を見ていたのは月だけだった。月明かりに照らされ、二人は寝酒のワインを口に含んだ後安らかにベッドの上で穏やかに眠りについたのであった。
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