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しおりを挟むそして翌日、愛人は本館へは入れないから庭でお茶会をするといって呼んでもらった。何があってもいい様に、侍女と執事長、そして護衛と見張りを兼ねて兵士を3名待機させておく。
すると愛人がどたどたと足音を鳴らして現れた。
「ふん。来てあげたわよ。感謝しなさい。……それにしてもあなた随分貧相な恰好しているのね。どうせエリオットから何も贈られていないんでしょう? 可哀そうな人。早くここから出て行って私に正妻の座を譲りなさいよ、この悪女!」
………コレにどうやって話をしろというのか。最初から分かっていたけど、人の話をまともに聞く人じゃない。それに愛しいエリオットが話しても無理なら誰が説明しても無理でしょうに。
なんてモノを私に押し付けたのか。
「ジェニーさん、と仰ったわね。随分と着飾っていただいて悪いのだけど、もう少し品のある組み合わせをした方がいいわ。ただギラギラと宝石を身に着ければいいってものじゃないのよ」
「ふん。負け惜しみ言わないでくれる? 自分がエリオットに見向きもされないから悔しいんでしょ? そうやって私をいじめたってエリオットにいいつけてやるんだから」
はぁ。もう既に頭と目が痛い。指にはごてごてとした宝石が付いた指輪をいくつも付けて、ネックレスに髪飾りに統一感もない物がこれでもかとくっついている。これが素敵だと思っている彼女の感性を疑う。なんて下品なのか…。
「はぁ…。ジェニーさん。今日はその話をしに来たんじゃないの。あなたの散財が目に余るから止めてもらいたくてお呼びしたのよ。今見る限りでも十分に高価な物をお持ちだわ。エリオット様からも言われていると思うけれど、しばらくは高価な品物の購入を控えて欲しいの」
「はぁ!? 自分が買ってもらえないからって私にそんな事言うなんて最低ね! エリオットは優しいから私が欲しいって言えば買ってくれるの。残念ね。愛されない自分を恨みなさい」
わかっていたけれど、全く話が通じない…。どうしたらいいんだコレは。
「…ジェニーさん、勘違いしているようだけど私は別にエリオット様に愛してほしいだなんて思っていないのよ。いつまでも2人仲良くいてくれればいいわ。だけど今散財をされるのは困る…「嘘よ! 愛されないからと言って私にいじわるしたいだけじゃない! 一体どこまで最低な悪女なのよ!」
人が話している時に遮って被せてくるなんて…。
「もういいわ! エリオットが可哀そう。こんな悪女が正妻でずっと居座っているだなんて。あんたは一生エリオットに愛されることはないし見向きもされないみじめな女なの。いい加減自覚してさっさとここを出ていきなさい!」
叫ぶように言い放つと、帰りも来たとき同様足音をドタドタと踏み鳴らして帰っていった。
「はぁ~…。もう私にどうしろというの…」
お行儀が悪いことを承知で、テーブルに肘をついて手に額を乗せて打ちひしがれた。
「…若奥様。気をしっかり持ってください。あの人相手だと誰だって同じですわ」
ああ、侍女の優しい言葉が心にしみるわ。
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