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しおりを挟む「なんで学校に来たんだよ!大変な事になるのわかってただろ!?」
家に着いたら早速文句を言ってやった。
「えー、別にいいじゃない。あんたの婚約者なんだから。自慢しちゃえばいいのよ!」
「我もタケルの事を知りたいからな。義母上にお願いしたのだ。」
「あのなぁ…。もう絶対くんなよ!それにまだ婚約者じゃない!」
「あらやだ。この子ったらまだそんな事言って。こっちの服着たサナトスさん見て見惚れてたくせに。素直じゃないわね。ごめんなさいね~、この子って意地っ張りなのよ。」
「いや、問題ない。」
ほんとにこの子は。とブツブツ言いながら台所へ消えて行った。
やっぱり母さんと一緒にさせるんじゃなかった。不安的中だ。
「…サナトスってさ、めっちゃ目立つの。こっちじゃ見ないくらいのイケメンなの。そんな人がこんな田舎に居たら目立つし騒がれるし、俺も明日学校で何言われるかわかんないよ…。隠しておきたかったのに。」
「なぜ隠す必要がある?我らは魂の伴侶だ。そう説明すればよかろう?」
こっちの世界との考えとそもそも違うからな。理解してくれるんだろうか…。
「あのね、こっちはまず魔法もないし、魔王もいないし、魂の伴侶とか番とかもないの。あくまでも架空の世界の話なわけ。それを説明してもただのイタイ奴にしかならないから、絶対だめ。」
「だがタケルの家族は皆、それで納得してくれたぞ?」
「うん、そうだね。それは俺も意味がわからない。アレが特殊なだけ。」
「ふむ…。難儀よの。」
「サナトス、お願いがあるんだけど。まず、こっちの世界のことをちゃんと知ってほしい。向こうの世界とどう違うのか理解して。そうじゃなかったら外に出るの禁止にする。」
「なんと!それではタケルが外に出たら我は一緒にいられないではないか!」
「そ。だからそれが嫌ならちゃんと理解して欲しい。…だめ?」
自分でやってて気持ち悪いけど、必殺上目遣いだ!俺のことが好きなサナトスなら効いてくれるだろう。
「ぐぅ…そんな可愛い顔で言われたら了解するしかないではないか。…わかった。タケルの頼みだ。なんとかしよう。」
やったー!必殺上目遣いが効いた!
「だが我にも条件がある。…これから毎日、口づけとタケルの蜜を飲ませること。」
「え!? なんで!?」
「我も我慢しておるのだ。タケルの頼みを聞くことはやぶさかではないが、我の願いも叶えて欲しい。」
うーん、うーん、うーん…………うん、条件を飲もう。俺の平穏な日常と、フェラの時間を天秤にかけたら俺が我慢すれば済む話だ。
それに俺だけお願いするのはフェアじゃないよな。決して気持ちいいからとかそんな理由じゃない!
「……わかった。それでいい。でもちゃんと理解しなかったら外出許可出せないからな!」
「もちろんだ。我に任せよ。」
そしてサナトスの監禁?に成功する。あとは明日の学校でどう説明するかだけど…。あ!ホームステイに来た外国人って事にすればいいんじゃん!俺あったまいーい!
あとは家族にも口裏合わせてもらえばOKだな!
それからは学校なんかで質問攻めにあったが、ホームステイに来た外国人でゴリ押しした。会わせて欲しいとか言われたけど、それは無理なので断りまくった。どんだけ人気者なんだよ。なんかもやもやする。
それからサナトスの本気がやばかった。文字を教えたらすぐに覚えるわ、ネットの存在を教え、パソコンの使い方を教えたらすぐに使いこなして調べまくっていた。…魔王様のスペックまじやべぇ。その頭の良さ少し分けてくれ。
そんで一度あっちの世界へ帰るまでに知識の擦り合わせが終わってしまった。
…俺はその間、毎日あんあん言ってたがな。
「尊、明日向こうの世界に戻るんでしょ?いいなぁ、あたしも行きたいなぁ。」
「無理無理。姉ちゃんやめてくれよ。」
「ケチ~。」
俺だってまだあっちの世界のこと、あんまりわかってないのに姉ちゃん連れて行ったら問題だらけだろ。怖いわっ。
「サナトスさん、尊のことよろしくお願いします。」
「任された。安心せよ。」
そんで、俺たちは一度向こうの世界へと戻った。
「魔王様、タケル様お帰りなさいませ。」
召喚の間に着いてしばらくしたらラルフィーが出迎えてくれた。
「あ、これお土産です。母さん達が持たせてくれて。」
「それはそれはありがとうございます。」
俺の世界の有名なお菓子をいっぱい渡した。あちらの世界でお世話になるんだから。と母さんが張り切って。
その日の夜は、前に言われた通り歓迎の宴が催された。エマを崇拝しているというのはでまかせじゃないみたいで、本当にいろんな人から質問攻めにされた。
王宮で開かれるパーティーなんて、マナーやらなんやら全然わからないと言ったら、「タケル様は何もお気になさらず自由にお過ごしください」と言われた。本当に大丈夫か?と思ったけど、別世界の住人だと知られてたからみんな温かい目で見守ってくれてた。
それからサナトスの番だということも認知されてたみたいで、たくさんおめでとうと祝われた。違うんですとは言えない雰囲気で、すごく困った。サナトスはもうにっこにこだったけど。
色んな人と話しまくって疲れて、俺とサナトスは例の番部屋に戻ってきた。
「サナトスって、本当に人間から感謝されてるんだな。今日、それを感じてなんか嬉しかった。」
皆サナトスを怖がったりするどころか、すごく好意的だったんだ。
「そなたに会うためにした事だがな。…本来ならば人間などどうでも良いのだが、人間を知っていくとなかなか面白くてな。昔、ただただ破壊していた時には知り得なかったことだ。今は魔族と人間が一緒になる者も増えたくらいだ。」
「うん…。本当にすごいよ。俺、エマの時のサナトスより今のサナトスの方が好きだな。尊敬する。」
「タケルっ!あー!タケルからそんな風に褒められるとはっ!頑張ってよかった!タケル、タケル!くんかくんか、すーはーすーはー!ペロペロペロ…。」
「ぎゃぁぁぁ!匂いを嗅ぐな!舐めるな!やめろぉ!」
そして勢いそのまま、またフェラされてあんあん言ってしまった。
サナトスって興奮すると手に負えんし、残念な感じになる。そして今日も気持ちよかったよちくしょう!
またくったりと力が抜けて俺は寝てしまった。
* * * * *
「ラウムよ、来い。」
「魔王様、お呼びでしょうか。」
尊が寝た後、サナトスは腹心のラウムを呼び寄せた。
「我が不在の間、何かあったか?」
「こちら側は特に問題はございません。部下達がしっかりと仕事をしております。……ただ…。」
「何か不都合でもあったか?」
「…まだはっきりとはしていないのですが、強大な力を一瞬感じ取りました。上手く隠蔽していたので、おそらく殆どのものが感じとってはいないと思われます。…ですが、何か嫌な予感が致します。」
サナトスは顎を摩り、一瞬考えるそぶりを見せる。
「そうか。お前の勘は当たるからな。何かわかったらまた報告せよ。」
「はっ。では失礼致します。」
ラウムは黒い渦に飲まれ消えて行った。1人残されたサナトスの眉間には皺が刻まれる。
「…まさか彼奴が来たのではあるまいな。であれば……まずい事になりそうだ。」
自分に言い聞かせるようにそう呟き、ため息を一つこぼす。
隣の寝室へ向かうと、愛しい者がすやすやと寝息を立てている。そっと額に口づけを落とすと、尊の横に滑り込み抱き込んで目を瞑った。愛しい者を守るかのように。
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