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ぐっすり眠った翌日。1週間ぶりの仕事だ。
「やっぱアルテちゃんの顔見ないと落ち着かないよな!」
「寂しかったぜ~。この前来たらアルテちゃんいないんだもん」
「すみません。ちょっと色々あって…。これからもまたよろしくお願いします!」
たった1週間店に出なかっただけで、お客さんからはちらちらと声を掛けられる。親父さんが言ってたのは本当だったんだ。俺がこの店にとって役に立っているってことなのかな。
忙しい昼時も少し懐かしいなんて思いながら必死に店を回していく。やっぱりこの感じ、しっくりくるなぁ。俺にとってこの店は大切な一部なんだってよくわかった。
休憩を挟んだ後は夜の部。俺の顔を見てお酒を追加で注文してくれる人が多いおかげで、いつも以上に忙しい感じがする。でもそのお陰で売り上げも上がるし、皆じゃんじゃん飲んでくれい!
「アルテちゃ~ん! 会いたかったよ~!」
「うわっ! ちょっと! 尻をさわるなぁっ!」
またこの人かっ! いっつも酔っぱらうと俺の尻を触ってくる、ちょっと迷惑なおっさん。
「う~ん、今日のお尻も可愛いねぇ! …ってひぃっ!」
「私のアルテにセクハラはやめて貰おう」
バンっ! とテーブルを叩きながらおっさんを睨みつける大柄な男。
「トレヴァーさん!?」
「アルテは私の大事な恋人だ。どさくさに紛れてセクハラはやめて貰おう」
やだ。こんな堂々と俺の肩を抱いて恋人だなんて宣言するなんて…イケメンかよっ!! 知ってた!!
「え…? アルテちゃん、恋人できたって噂本当だったの?」
「はい! この人、俺の恋人なんです! 世界一カッコいいでしょ?」
ついでに俺もトレヴァーさんに抱き着いてラブラブっぷりをアピールだ!
「マジかよ!?」
「俺の想いはついぞ届かなかったかぁ~! ちくしょー!」
「ひゅーひゅー! 見せつけやがって!」
「アルテちゃん! 嘘だと言ってくれぇ!」
「見事な筋肉だなぁ…アルテちゃんの理想そのものかぁ…負けた…」
「お前全然筋肉ねぇじゃん。そもそもが無理だろうがよ」
ラブラブアピールした途端、店はどっと一気に沸き立った。泣く人、冷やかす人、悔しがる人と様々だ。
「恋人はトレヴァーさんだけだけど、店に来てくれるお客さんたちのことは大好きです! だからこれからもお店にはいっぱい来てくださいね? じゃないと俺、寂しいですから」
「くぅ~! アルテちゃんにそう言われたら来るしかねぇじゃねぇかっ!」
「よし! やっと恋人ができたアルテちゃんに乾杯だ~! 酒持ってこーい!」
「あざーーっす!!」
「……君はたくましいな」
「へへ。使えるものは何でも使わないとね。トレヴァーさんも席に座っててくださいね」
よし。今日の売り上げに貢献出来そうだ。休んだ分、がっつり働くぞ!
いつも以上に酒が出たお陰で、あっちにこっちにと走り回っていたらあっという間に閉店となった。トレヴァーさんは1人で来たのに最後まで飲んでいた。俺と恋人になったと周知されたお陰で、ひっきりなしにトレヴァーさんのところに人が集まってきたせいだ。明日仕事じゃないのかな。そんなに飲んで大丈夫なんだろうか。
「アルテは人気者だな。あの難攻不落の高嶺の花を、どうやって落としたのかと質問攻めだったぞ」
「高嶺の花って大袈裟だな~。…そんなの、抱かせてくれる人なら恋人になってたかもしれないのに…それでなんて答えたんですか?」
「私の体が好みだったようだ、とそう答えたよ」
「ははっ間違いないですね。誰よりもカッコいい体ですもん」
特にその雄っぱいは誰よりも魅力的です! 断言できる!
「明日は仕事ですよね? 結構飲んでましたけど大丈夫ですか?」
「問題ない。ちゃんと考えて飲んでいたからな。それと、次にデートが出来そうな日なんだが2週間後になりそうだ。それで……その日は家に来てくれるか?」
ちょっと言いづらそうに話すトレヴァーさん。俺と目を合わせていたのに、ふいっと逸らす。まさか……。
少し思い当たることがあった俺は、ちょいちょいと手招きしてトレヴァーさんに屈んでもらった。素直に屈んでくれたトレヴァーさんの首へ腕を回し、耳元へ顔を寄せる。
「……もしかして、えっちなお仕置きしてほしいんですか?」
するとびくっと体を揺らすトレヴァーさん。可愛すぎかよ。えっちなお仕置きしてほしくって、でも自分で誘うのが恥ずかしくて目を逸らすとか。
「いや、その…………はい」
「……何この人可愛すぎて無理ッ」
エロすぎだろう! 悶え殺す気か!? 絶対殺しに来とる! 間違いない! 死因きゅん死、おかわりきました!
「じゃあ2週間後、えっちなお仕置き楽しみにしててくださいね」
本当は今すぐにでも押し倒してぐっちゃぐちゃにしてやりたいくらいだけど、さすがにそれは時間が許してくれない。だから俺も大人しく2週間待ちます。待ちたくないけど待ちます。
ばいばいのキスをしてトレヴァーさんは満足げに帰っていった。
そしてとうとう来ました2週間後の待ちに待った休みの日がっ!!
その間の俺はいつも以上にがむしゃらに働いた。ちょっとでも手が空くと、お仕置きの事がちらついて冷静でいられなかったのだ。
先週の休みは久しぶりに買い物へ行った。服はトレヴァーさんが買ってくれたものがあるけど、下着とかは古いまま。母さんから渡された金を持って少しいい下着を数枚購入。それからローションも買い足しに行った。おそらくお仕置きの時は足りなくなるだろうからな。むふふ。秘密兵器も用意したし、これでお仕置きの準備も完了だ。
そして今日は事前に店の厨房を借りてサンドイッチを数種類作っておいた。いっぱい食べるトレヴァーさんの為に量も多めに。それだけじゃない。いくつかの摘まめるおかずも作っている。
なぜトレヴァーさんの家で作らないのか。それにはちゃんと理由がある。
お仕置きの為に時間をたくさん使いたいからっ!!
サンドイッチならお腹が空いたら軽く摘まめるし、既に用意してあれば料理を作る時間を節約できる。後は家に着くまでに飲み物でも買っていけば問題ない。
いや俺頭良すぎん? 思いついた時震えが起きたわ。いうなれば神様の神託が下りるがごとく。ま、間違いなくエロ神様だけどな。
「アルテおはよう……その籠はなんだ?」
「トレヴァーさんおはようございます! ちょっと早起きしてサンドイッチとかいろいろ作ったんですよ」
「それは嬉しいんだが……かなりの量だな」
それはそうだろう。大きめの籠が2つもあるんだから。俺めっちゃ頑張った。
トレヴァーさんはその籠を2つとも持つと「行こうか」と歩き出した。流石は力持ち。ちょっと重めなのに軽々と持ってしまっている。
ただ残念なことに手を繋げなくなってしまったので、俺はトレヴァーさんの服をきゅっと掴んだ。
「へへ。ちょっとでもくっついていたくって」
「ぐぅ…相変らずかわいぃ……」
あれ? またプルプルしてる。やっぱりその籠さすがのトレヴァーさんでも重かった?
途中で飲み物もしっかりと買ってトレヴァーさんの家へ到着。
「これはまた美味しそうだな。食べる時が楽しみだ」
早速籠の中身が気になったのか、蓋を開けて中を覗いている。今回は親父さんに何を作ったらいいか聞いて、自分でも作れそうなものを作れるだけ作っている。味見もしたけど、悪くない出来だ。
今の時刻はお昼すぎ。食べるのにはちょうどいい時間帯だが、俺はサンドイッチよりもトレヴァーさんを食べたいのだ。
「ねぇトレヴァーさん。お腹空いてますか? 空いてないなら先にお風呂にしましょ?」
「え……それは、その……もしや……」
「そ。お仕置き。トレヴァーさんも楽しみにしてたんでしょ?」
にっこり笑ってそう言えば、トレヴァーさんの喉がゴクリ。トレヴァーさんてば本当にえっちなんだから。
前回同様、ピッカピカに体を洗っていざ本番に備えて寝室へ行けば、下着だけを履いたトレヴァーさんがベッドの上で待っていた。
今回は自分で準備しないように、俺は後から風呂へと向かった。トレヴァーさんの可愛い蕾を解すところからお仕置きは始まる。
「さ、トレヴァーさん。お仕置きの時間ですよ」
頬を少し赤らめて期待した眼差し。さーて、早速始めますか。
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