【完結】異世界で、家政夫(と聖人)始めました!

華抹茶

文字の大きさ
47 / 66

45.皆にバレてた

しおりを挟む
「ハルト、食事を買ってきた。食べられるか?」
「うん、大丈夫。ありがとう」

 翌日。俺の目が覚めたのは昼を過ぎた時間だった。
 昨日いつまでやっていたのかユリウスに聞けば、朝日が昇った頃までだそうだ。それを聞いて一番最初に思ったことは『俺の体液って凄すぎんか……』だった。朝までヤるなんてもう人間辞めてるレベルだわ。
 そしてまぁ俺も凄かった。何が凄いってここまで抱かれていたのにぐっすり眠ったおかげで腰もお尻も痛くなかったってこと。疲労感は抜けてなかったけど、ベッドの上でゴロゴロしてたらそれも徐々に回復していったのだ。
 自分の体液を舐めても他の人みたいに全快することは出来ないが、尋常じゃない回復力が元々備わっていたらしい。それが今回のえっちで身をもって知ったことになる。もっと別の方法で知りたかったよ。
 ユリウスは流石にやり過ぎたと思っていたようで、今日の俺の仕事はお休み。食事の用意すらさせてもらえないのでユリウスが外で買ってきてくれた。

「あ~……お腹空いた――ってうわぁ!」

 食事をするためにリビングへ移動しようとベッドから下りると、ユリウスは俺を横抱きにした。いきなり抱き上げられて驚き、ユリウスにしがみつく。それを見たユリウスは「ははっ」と笑うと、危なげなくそのまま一階へと降りていった。
 リビングにはユリウスの買った食事が並べられていた。どれも美味しそうでお腹がぐぅ~っと盛大な音を立てた。余りの音に恥ずかしくて真っ赤になる。

「はははっ。腹の虫が満足するまでたくさん食べてくれ」
「う~……こうなったのはユリウスのせいだろ。今度のお出かけは高級レストランを所望します!」
「かしこまりました、聖人様。最高のレストランをご案内いたしますのでお許しください」
「仕方がない。許して進ぜよう」
「有難き幸せ」

 そう言って二人で声を出して笑った。
 その日はほとんど何もせずただひたすらまったりと過ごすだけだった。でも隣にユリウスがいて、読書したり会話をしたり、その合間合間にキスをしたり。心が満たされるただひたすら幸せな時間だった。

 翌日からユリウスが出勤する時、ハグしてから唇へのキスに変わった。しかも「……行きたくない」なんて言うもんだから、なんだか新婚さんみたいだ。俺の顔はきっと嬉しくてだらしないことになっていると思う。
 そして夜は一緒に寝ることになった。ベッドが一人用のため、ユリウスは二人が余裕で寝られるベッドを購入した。ただそのせいでユリウスの部屋が狭くなってしまったが、俺と一緒にいられるならどうでもいいとあっさりしていた。
 寝る時もべったりなおかげでほとんど毎夜のように抱かれている。でも流石に初日のような暴走はない。過ぎた快楽は辛いんだと身をもって知った今は大変ありがたい。何事も程々が一番。
 
「ハルトさんなんだかご機嫌ですね。もしかして上手くいったんですか?」
「はい、おかげさまで」
「それはそれは! よかったですねぇ! おめでとうございます、ハルトさん」

 今日は久しぶりに血液の採取のためにランベルトさんのところへ来ている。部屋に入るなりランベルトさんにそう言われ、傍から見ても浮かれているのがもろバレで恥ずかしいものの、祝福されて嬉しくもある。

「ご結婚が決まりましたらまた教えてくださいね。目一杯お祝いさせていただきますので」
「ええ!? 気が早いですよ!?」
「いえいえ。陛下方もハルトさんとユリウス殿のことを知って大変喜んでおいででした。王妃殿下など今から婚姻式の衣装をどうしようかなんておっしゃっているようですよ」
「ひえっ!?」

 王様達にまで知られているなんて……絶対ヴォルテル様が言ったに違いない。それにしても婚姻式云々って俺とユリウスは付き合ったばっかりだしそこまでいくと飛躍しすぎだ。
 ただ一つ良かったと思ったのは、聖人である俺が自由に恋人を作ったり結婚することを喜んでくれていること。最悪誰かとお見合いだったり政略結婚を勧められるなんてことも考えられたからだ。

「ああ、もちろん陛下方もそれはお考えでしたよ」
「ええ!? やっぱり!? でもそれならなんで俺とユリウスのことをそこまで祝福してくれるんですか?」
「ユリウス殿がここの国民だからですよ」

 もし俺が誰とも付き合ったりしなければお見合いすることも検討されていたらしい。それは当然この国の人と。その人と結婚すれば俺はますますこの国から離れる可能性は低くなる。聖人である俺がこの国に留まってもらうための策の一つだそうだ。
 ただ無理やりそういうことをするつもりはなかったようで、もし俺がお見合いをしたとしても俺が気に入らなければその話は当然なくなるようなものだったそうだ。

「以前の聖女様もご結婚はされなかったそうですしね。絶対そうしなければならない、というわけでもないのですよ」
「え? 聖女様って結婚しなかったんですか? 何か勝手に王子様と結婚して幸せになったとか、そんなことを思っていました」
「ああ、なるほど。我々もハルトさんが現れてから過去の文献を漁ったんですがね。どうやらこの世界にご来訪された当時の聖女様は御年六十五歳だったそうですよ」
「六十五!?」

 六十五歳ってもう孫のいるおばあちゃんくらいの人じゃん。それくらいの人だったら結婚せずにいてもおかしくないか。
 いや、前の世界の漫画やアニメでも聖女様って若い女性が多かったし、俺もてっきりそうだと思ってた。俺もまだ二十代だし。

「まぁ今から五百年も昔のことですし、この文献もどこまで本当のことが書かれているかはわかりません。ただ一つ言えることは、我々がハルトさんに対し、ハルトさんが望まないことをするつもりはないということです。それだけご理解いただけていればいいですよ」
「ありがとうございます。俺が飛ばされた来たのがこの国で本当によかったです」

 本当に温かい人達だ。もちろんこの国の人がそんな人ばっかりじゃないことはわかってる。それでも俺とこうして関りのある人達がいい人ばかりで恵まれているなと感じる。だからここまでよくしてくれる人達のために、出来ることはしたいと思えるんだ。
 
「ああ、そうそう。今日この後ヴォルテル殿下からお茶のお誘いがありまして。この前いただいたパウンドケーキのお礼だそうですよ」
「え、そんなの気にしなくていいのに……」
「というのは建前で、ただユリウス殿とのことをお聞きになりたいだけだと思いますよ」
「うっ……それはとてつもなく恥ずかしいんですけど……!」

 何を聞かれるのやら。ちょっとびくびくしながらランベルトさんとヴォルテル様の執務室まで移動。
 中へ入るなり、ヴォルテル様は俺の顔を見てにんまりと笑った。

「ハルト! 聞いたぞ! おめでとう!」
「アハハ……ありがとうございます」

 仕事中だったのに、手に持っていた書類を置いて「さぁさぁ」とソファーへ案内される。ヴォルテル様はウキウキとした様子をちっとも隠していない。ここまでご機嫌になられると嬉しいやら恥ずかしいやら困るやら。
 ヴォルテル様の隣に腰掛けると、ロキュスさんが奥の部屋からワゴンを押して戻って来る。するとルーカスさんと共にお茶の用意を始め、目の前にはケーキやクッキー、サンドイッチなどの軽食も並べられた。折角なのでお茶を一口飲もうとカップを持ち上げた。相変らずいい香りが立ち昇る。

「さぁこれらを食べながらゆっくり話を聞かせてもらおうか」
「アハハ……皆さんもお忙しいでしょうから手短に」
「む。そうか。そう言うなら早速本題に入ろう。ハルト、ユリウスに抱き潰されはしなかったか?」
「ぶふっ!! ゲホッ……ゲホゲホッ……!」
「あはははは! その様子だとそうだったみたいだな」
「ハルトさん!? 大丈夫ですか!?」

 紅茶を口に含んだタイミングでヴォルテル様のいきなりな発言。あけすけにそんなことを言われて思わず紅茶を噴き出してしまった。
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

異世界に転移したら運命の人の膝の上でした!

鳴海
BL
ある日、異世界に転移した天音(あまね)は、そこでハインツという名のカイネルシア帝国の皇帝に出会った。 この世界では異世界転移者は”界渡り人”と呼ばれる神からの預かり子で、界渡り人の幸せがこの国の繁栄に大きく関与すると言われている。 界渡り人に幸せになってもらいたいハインツのおかげで離宮に住むことになった天音は、日本にいた頃の何倍も贅沢な暮らしをさせてもらえることになった。 そんな天音がやっと異世界での生活に慣れた頃、なぜか危険な目に遭い始めて……。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

処理中です...