【完結】世界で一番嫌いな男と無理やり結婚させられました

華抹茶

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11※ こんなことされても文句は言えないよな?

「いや~、今日は気持ちよく寝られるな!」

「逆に興奮しすぎて寝られないんじゃないか?」

「かもな! じゃあ今日は久々に長風呂でもして癒されてくるかな」

 食事が終わったジョシュアは自分の分を片付けるとさっさと浴室へと向かう。そして言ったとおりゆっくりと湯に浸かり体の力を抜いた。

 その間もずっと頭の中を巡っているのはヴァージルの新魔術だった。雷がバチバチとなる火魔法をトレントに向けて放ったのだ。するとドッカン! という大爆発音と共に一帯が炎上。開けた平野に誘い込んでからの攻撃だったためよかったのだが、これが森の中だったらあっという間に全体に火が燃え広がり大火災になってしまうところだった。

 また団員は全員ヴァージルより後方で待機していて、かつ結界を張っていたため人的被害はなかったが、一歩間違えればとんでもないことになっていた。爆発が起こった後、ジョシュアは慌てて結界を強化。ここまでの威力になるとは思わずあの時はちょっと焦った。恐らくだが、ヴァージル本人が一番驚いていただろう。

 そして直接攻撃を受けたトレントは跡形もなく消え去っていた。

 あの時はあまりの事に慌てていたが、今はあの魔術を放ったヴァージルがカッコイイと思っている。あんなことを出来るのはこの世界で唯一ヴァージルだけだ。

 同じ魔術師として尊敬するし、他の団員がヴァージルを崇拝する気持ちもよく分かる。あの時のヴァージルは本気でカッコ良かったのだ。

 そんなヴァージルと協力して新魔術を開発出来た事が本当に誇らしく感じる。これならいつ戦争が始まったとしてもこの国は勝つことが出来る。ヴァージル一人で魔術師百人分はくだらない。そしてそのヴァージルを最高潮の状態でサポート出来るのは恐らく自分だけだろう。そう思うと嬉しくて堪らない。

 そんなことをつらつらと思っていたらかなりの時間が経っていたようだ。そろそろ上がろうとすると、若干のふらつきを感じる。どうやら少しのぼせたらしい。体も芯から温まったおかげで熱すぎるくらいだ。水を飲みにキッチンへ行こうと雑に体を拭き上げると浴室を出た。

 冷たい水をぐいっと一気飲みし、頭をガシガシとタオルで乱暴に拭く。ふわりと冷気を自分に当てながらまた水を飲む。風呂上りに冷たい水が最高に美味しい。

 すると後ろからガタン、と音がした。振り向けばヴァージルが呆然とした表情でそこに立っていた。足元には本が落ちている。先ほどの音はどうやらヴァージルが本を落としたからだったみたいだ。

「お前……またそんな恰好をっ……」

 ジョシュアは暑いからとまた下着一枚の姿で水を飲んでいたのだ。

「ん? どうしたヴァージル? え? 何? 何!?」

 ヴァージルはすとんと表情を無くすと無言でジョシュアに近づきその腕を掴んだ。そしてそのままずるずると寝室へと向かう。ジョシュアがいくら呼びかけても返事をしない。

 そして寝室に入るなりジョシュアはベッドに投げ出された。

「ヴァ、ヴァージル……??」

 ベッドに放り出されたジョシュアの上に覆いかぶさるようにヴァージルは陣取った。突然の事に意味が分からないジョシュアは混乱する。

「こんな格好でいて、こんなことされても文句は言えないよな?」

「は……? んんーーっ!?」

 そのままヴァージルはジョシュアの唇を奪った。ジョシュアは驚きヴァージルの肩をどんどんと叩く。だが逆にその手を掴まれてしまい上へと上げさせられた。
 いつの間にか舌が入り込みジョシュアの舌に絡められた。

「んふっ……! んんっ……」

 ヴァージルの舌は無遠慮にジョシュアの口内をかき乱す。逃れることも出来ずされるがまま。ヴァージルの肉厚の舌はねっとりと蠢き、それをジョシュアは気持ちいいと感じてしまった。

 そしてヴァージルはある程度満足したのか、じゅっとジョシュアの舌を吸い上げた後に唇を放した。

「な……なんでこんな、こと……」

「なんで、だと? 人の気も知らないでっ……」

「んあっ!?」

 ヴァージルはそのままジョシュアの乳首に吸い付いた。舌で転がしてやればすぐにピンと勃つ。硬くなったそこを舌で舐めて、じゅっと吸い上げ、甘噛みする。初めて味わう感覚にジョシュアは情けなくも喘いでしまう。ヴァージルに攻められる度に体も揺れた。

「は? おいっ……これっ!」

 ヴァージルはジョシュアの手を魔法で縛り付け、そのまま上に固定した。お陰でヴァージルの手は自由になりジョシュアの体を弄っていく。ジョシュアはそれを解こうと試みるもなかなか解くことが出来ない。

「諦めろジョシュア。これは新魔術を利用した拘束魔法だ」

「は……? おまっ……こんなことに新魔術使ってんじゃねっ……って、あぁっ!」

 ヴァージルはジョシュアの乳首を堪能しながら、空いた手をジョシュアの股間へ伸ばしていた。下着越しに軽く触れてやれば面白いほどにジョシュアは喘ぐ。その声をもっと聞きたくてヴァージルは緩急を付けてジョシュアを翻弄した。

「ヴァージルッ! なんでっ……やめっ……!」

「もう諦めて僕に抱かれろ。こんな姿を見せたお前が悪いんだから」

「は? どういう事だよ!?」

 ヴァージルはジョシュアへの愛撫を止め、視線を合わせた。
 
「好きな相手の裸を見て冷静でいられると思うのか?」

「え……? 好き、な相手……?」

 想像もつかなかった一言にジョシュアの動きが止まった。ヴァージルの顔は真剣で、嘘や冗談を言っているようには見えない。そのせいでヴァージルが放った言葉がより真実味を増す。

「お前だけだったんだ。僕の望みを叶えてくれたのは。僕がずっと望んでいたものを、お前は僕にくれた。乾いた地面に水が染みこむように、お前の存在が僕の心の隙間を埋めてくれたんだ」

 何かをあげた覚えのないジョシュアはヴァージルの言葉を理解することが出来ない。だけど何かがヴァージルの気持ちを揺さぶったのだろうとそれだけはわかった。
 
「ジョシュア、好きだ。好きなんだ。本当はまだ時間をかけるつもりだったけど、こんな姿を見せられてこれ以上我慢が出来なかった。だから諦めて僕に抱かれて」

「ヴァージル……」

 ジョシュアに告白したヴァージルは今にも泣きそうな表情を浮かべていた。自分が何をやっているのかわかっているのだ。同意も得ず無理矢理にジョシュアを暴こうとしている。本当は止めるべきだと頭では理解している。だけどヴァージルの気持ちに抑えが利かず止められなかったのだ。

 嫌われるかもしれない。そう考えるだけでヴァージルは恐怖のどん底に叩きつけられたような気分になる。どうせ嫌われるなら一度だけでも抱いてしまいたい。

 そう思ってヴァージルはまたジョシュアの体に手を伸ばした。ジョシュアの股間は膨れて下着を押し上げている。自分がしたことでジョシュアが快感を覚え体が反応したのだと、その事実にヴァージルは喜びを覚えた。はずだった。

「馬鹿……なんでお前が泣いてんだよ」

 ヴァージルの目からはぽたぽたと涙が零れ落ちていた。それを乱暴に手で拭うも止まる気配はなくヴァージルの頬を濡らしていく。それでもヴァージルはジョシュアを抱くことを止める気はなく、下着を降ろそうと手をかけた。だがその手は震え動く様子はない。

「ヴァージル、手の拘束を取ってくれ。頼むから」

 ヴァージルは諦めたように項垂れるとジョシュアを拘束していた魔法を解いた。そしてもうダメだと何もかも諦めたヴァージルは、ジョシュアの体から離れベッドを下りようとした。

「馬鹿っ……!」

 だがジョシュアはそんなヴァージルの手を掴み自分の方へと引き寄せた。そのままヴァージルの頭を抱き込むようにして抱きしめる。
 
「泣くくらいなら最初からやるなよ、ったく。お前は最低なことをしたんだぞ。わかってるか? 俺を無理やり抱こうとしやがって……」

「ごめっ……」

「で? お前は俺の気持ちとか聞かないのか? 一方的に話して、俺のことを置き去りにするのか?」

 ジョシュアがそう言えば、腕の中にいるヴァージルはぴくりと動いた。

「お前にキスされて、正直言うと嫌じゃなかった。嫌じゃなかったんだよ。自分でもどうかしてるって思うけど」

 ジョシュアは先ほどの行為に対し興奮していた。ヴァージルに無理やり襲われたことを嫌だと思う事はなく、むしろ嬉しいと感じてしまった。勢いよくされたキスも、その舌の動きも、ヴァージルによって性的にされた行為そのものが嬉しいと思ったのだ。

 どうしてそう思ったのか。ヴァージルに対し好意がなければ成立しないはずだ。そしてヴァージルに好きだと言われて自分の気持ちの正体に気が付いた。ああ、自分もヴァージルを好きだったのかと。

 ヴァージルにああ言われなければいつ気付けたかはわからない。今まで誰かを好きになったことのないジョシュアは、その気持ちがわからなかった。だけど新魔術を開発するために二人で一緒になって語り、技術を磨いたあの時から。屈託のない笑顔で笑って自分を認めてくれた時から。きっとヴァージルに惚れていたんだと思った。

 今日、新魔術を放ったヴァージルがカッコイイと、こんなにもときめいたのはヴァージルのことを好きだったからだ。

「俺もお前の事が好き、らしい。今までわからなかったけど、お前に言われて気が付いたんだ。……だから止めるなよ」

 ジョシュアは真下にあるヴァージルの頭にちゅっとキスを落とした。それを受けてヴァージルがぴくっと動きそろりと顔を上げる。涙はもう止まっていて驚愕の表情を浮かべていた。

 ジョシュアはヴァージルのその顔を見て「お前、可愛すぎ」と一言呟き、今度はその唇にキスをした。

「こんなに俺をそのままにするなんて許さねぇ。だから来いよ」

 ジョシュアはヴァージルの手を掴むと自分の股間へと導き、まだ収まっていないその熱に触れさせた。
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