【短編集】BLハピエン詰め合わせ

華抹茶

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体だけの関係と思っていた相手と実は両思いでした

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 僕は2度と酒を飲むことはしないと決めた。マイルズとはもう普通でいられないと思っていた。なのに気にした風もなく、また食事に行こうと誘ってくれる。それが嬉しくて、またマイルズと一緒にいられることが嬉しくて、僕はそれに甘えていた。

 外で食事をして帰り際、「まだ時間も早いしたまには部屋に寄って行かないか」と言われ、僕はそう言ってくれたのが嬉しくて付いていった。マイルズも独身寮に住んでいたけど、彼の部屋に入るのは初めてだった。そこで僕はお茶を飲むつもりだったのに出されたのは酒だった。

「僕お酒はもう二度と飲まないように決めたんだ」

「あの時は一気に飲んだからだろう? 少しずつ飲めば大丈夫だよ」

 そんな風に言われて酒を飲むことに慣れてない僕はそうなのかな、とマイルズの言う事を信じて少しずつ飲むことにした。だけど僕は酒に相当弱いらしく、少ししか飲んでいないのに酔ってしまった。
 ふらふらとする僕の肩をそっと抱いてくれたマイルズに寄りかかる。

「ごめん……なんかふわふわ、してて……んぅ!?」

「……そんな潤んだ目で見られたら我慢できなくなるだろ?」

 いきなりマイルズにキスされて驚いたものの、酔って力の入らない僕は流されるままマイルズに抱かれてしまった。その時の事ははっきりと覚えている。彼はひたすら僕を気持ちよくさせて、中を突き上げて何度も中で果てていた。

「はは。アランの中、やべーな。気持ち良すぎ。その顔も可愛すぎて泣かせたくてたまらねーんだけど」

 僕に触れるその手は優しいのに、口調は少し乱暴で爽やか好青年は何処かへと行ってしまっていた。爽やかな彼から獰猛な彼へ。その変化に驚きつつも、そんなマイルズがカッコよくて僕は更に惚れてしまうことになった。

 それからマイルズが僕を抱きたい時は部屋に誘うようになった。一緒に酒も用意して。
 こんなのはいけないと思いつつも、好きな相手に抱かれる喜びを知ってしまった僕はズルズルとその関係を続けてしまう。



 そんな関係がどれほど続いただろうか。ある日マイルズが近衛騎士に昇進したことを知った。平民出の騎士が近衛騎士になるなど異例中の異例だ。

 ある日、お忍びで王都へと出かけたエレイン王女がちょっとした隙をついて護衛を撒き、1人で街を歩いていた時に誘拐されそうになった。その時たまたま休暇で街に出ていたマイルズがそれを見つけて王女を助けたらしい。王女はその時のマイルズの姿に感動して王女の強い希望で近衛騎士となったそうだ。

 第5王女であるエレイン殿下は、綺麗な金髪と透き通った青い瞳で人形のように綺麗な人だ。だけど相当な我儘らしく、周りの人間は困っているらしい。
 だが、王も王妃もそんな王女が可愛くて仕方がないらしく我儘を許しているという話しだ。

 
 近衛騎士となったマイルズは忙しくなってしまい、あれから全くといっていいほど会わなくなった。寂しいと思う反面、これでよかったんだと自分を納得させた。
 そして今回の噂話。僕には詳しいことはわからない。だけどここまで噂が広まり皆が話しているところをみると、婚約の話は本当の事なんだろう。
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