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体だけの関係と思っていた相手と実は両思いでした
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そんなある日、僕が仕事で失敗してしまい上司にしこたま怒られるという事があった。僕は下っ端の文官だから任される仕事は簡単な物だった。
上司が会議で使用する重要な書類を忘れていたことに気が付いた人がいた。だけどその日はたまたま人手が足りず、直ぐに動ける人がいない。そこで比較的暇な僕は会議で使用する重要な書類を渡されて会議室まで持っていくよう言われてしまった。
まだ勤め出してから日も浅く、広い王宮内をすべて把握しているわけじゃない。それに僕のような下っ端が入ってはいけない所も当然ある。だけど会議室はその僕が未だ入ったことのない場所だった。
先輩が口早に行き方を説明してくれたが一度で覚えられず、聞き直したものの先輩は自分の仕事に戻ってしまって誰も僕の質問に答えてはくれなかった。
困り果ててしまったが時間がないと言われていて、とりあえずわかるところまで向かうことにした。誰かに聞けば教えて貰えるだろうと楽観的だった。それがいけなかった。
向かった先で運よく人に出会えて会議室への道を尋ねたが、何故か逆に僕が不審者扱いされる羽目になった。初めて会う人と上手く話せない僕は挙動不審だったのだろう。いくら所属部署を告げて名前を言っても信じて貰えず、連れていかれた先は取調室だった。
お陰で重要な書類を渡すことは出来ず。僕がいる場所も誰もわからず。結局会議に出席していた上司は赤っ恥をかくはめになった。
やっとのことで部署に戻ることが出来たがそこに待っていたのは上司の恐ろしい雷だった。『お前のせいで俺は恥をかいた!』などと怒られてしまい、上司が恐ろしくて僕は何も反論できずただただその場に佇んでいるしか出来なかった。
そもそも書類を忘れた上司が悪いのに。そう思っていても思うだけで口にする勇気なんてない。意気地のない僕は、『仕事の出来ないクズ』という不名誉な烙印を押されてしまった。
その日の夜遅く、とぼとぼと独身寮へ向かっていた時だ。マイルズと偶然会い声を掛けられた。こんな僕にも優しく笑って声を掛けてくれたそのことが嬉しくて、不甲斐なくポロリと涙がこぼれてしまった。それを見たマイルズが話を聞くよと言ってくれて、町へと出て飲みに行くことになった。
僕はお酒を飲んだことがなかった。だけどむしゃくしゃしていた僕は、飲んだらどうなるかもわからないのに一気に酒を煽った。マイルズに止められたけどそれを無視して。
そこからの記憶がぷっつりと無くなっている。分かったのは、マイルズと同じベッドで寝ていたことだった。それも裸で。
そんな状況であれば昨夜何があったのか嫌でもわかってしまう。起きたマイルズに聞けば、泣きながら抱いて欲しいと僕が迫ったらしかった。それを優しいマイルズは僕の願いを聞いてくれたのだ。
なんてことをしてしまったんだとその時はひたすらに謝った。そんな事言われて律儀に抱く必要もないのに、謝る僕に対して「気にしないで」と優しい言葉をかけてくれる。
もう二度とこんなことはしないから。だからごめん。本当にごめん。そうはっきり言ったのに、あれから何故かずるずると僕達の体の関係は続いていった。
上司が会議で使用する重要な書類を忘れていたことに気が付いた人がいた。だけどその日はたまたま人手が足りず、直ぐに動ける人がいない。そこで比較的暇な僕は会議で使用する重要な書類を渡されて会議室まで持っていくよう言われてしまった。
まだ勤め出してから日も浅く、広い王宮内をすべて把握しているわけじゃない。それに僕のような下っ端が入ってはいけない所も当然ある。だけど会議室はその僕が未だ入ったことのない場所だった。
先輩が口早に行き方を説明してくれたが一度で覚えられず、聞き直したものの先輩は自分の仕事に戻ってしまって誰も僕の質問に答えてはくれなかった。
困り果ててしまったが時間がないと言われていて、とりあえずわかるところまで向かうことにした。誰かに聞けば教えて貰えるだろうと楽観的だった。それがいけなかった。
向かった先で運よく人に出会えて会議室への道を尋ねたが、何故か逆に僕が不審者扱いされる羽目になった。初めて会う人と上手く話せない僕は挙動不審だったのだろう。いくら所属部署を告げて名前を言っても信じて貰えず、連れていかれた先は取調室だった。
お陰で重要な書類を渡すことは出来ず。僕がいる場所も誰もわからず。結局会議に出席していた上司は赤っ恥をかくはめになった。
やっとのことで部署に戻ることが出来たがそこに待っていたのは上司の恐ろしい雷だった。『お前のせいで俺は恥をかいた!』などと怒られてしまい、上司が恐ろしくて僕は何も反論できずただただその場に佇んでいるしか出来なかった。
そもそも書類を忘れた上司が悪いのに。そう思っていても思うだけで口にする勇気なんてない。意気地のない僕は、『仕事の出来ないクズ』という不名誉な烙印を押されてしまった。
その日の夜遅く、とぼとぼと独身寮へ向かっていた時だ。マイルズと偶然会い声を掛けられた。こんな僕にも優しく笑って声を掛けてくれたそのことが嬉しくて、不甲斐なくポロリと涙がこぼれてしまった。それを見たマイルズが話を聞くよと言ってくれて、町へと出て飲みに行くことになった。
僕はお酒を飲んだことがなかった。だけどむしゃくしゃしていた僕は、飲んだらどうなるかもわからないのに一気に酒を煽った。マイルズに止められたけどそれを無視して。
そこからの記憶がぷっつりと無くなっている。分かったのは、マイルズと同じベッドで寝ていたことだった。それも裸で。
そんな状況であれば昨夜何があったのか嫌でもわかってしまう。起きたマイルズに聞けば、泣きながら抱いて欲しいと僕が迫ったらしかった。それを優しいマイルズは僕の願いを聞いてくれたのだ。
なんてことをしてしまったんだとその時はひたすらに謝った。そんな事言われて律儀に抱く必要もないのに、謝る僕に対して「気にしないで」と優しい言葉をかけてくれる。
もう二度とこんなことはしないから。だからごめん。本当にごめん。そうはっきり言ったのに、あれから何故かずるずると僕達の体の関係は続いていった。
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