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二人を繋ぐ夜光花の灯り
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「え? じゃあ俺、死なないの?」
「死ぬわけねぇだろ。今だってぴんぴんしてんじゃねぇか」
「え!? 俺死なないの!?」
マジかよ! もうすぐ死ぬって思ったから、俺はクロードに媚薬と痺れ薬を仕込んであんなことやったんだぞ!? ってことは今、俺は絶体絶命真っ只中じゃないか!!
「あ、あのっ……クロード様、本当に申し訳ないことをいたしまして大反省しておりますのでそのお怒りを鎮めていただけると大変嬉しく思うのですがいかがでございましょうか!?」
「あ? 俺にあんな勝手なことしておいて、簡単に許されると思ってんのか?」
ですよね!! だからここまでわざわざ追いかけてきたんですもんね!!
「てめぇ、なんで余命三か月って言われたこと俺に黙ってた? なんで一言も相談しなかった? 俺はお前にとって一体なんなんだ?」
「え……?」
クロードの顔はさっきとは違って苦しそうな表情をしていた。俺の胸倉を掴む力も緩くなっている。
「なんで俺にあんなことをした? 俺が動けないあの時の気持ちを考えたか? お前をちゃんと抱きたいのに何も出来ない俺の情けない気持ちがお前にわかるか?」
「は……? え? ちょ、っと待って……ちゃんと、抱きたい……?」
俺の聞き間違いだろうか。『俺を抱きたい』って言われた気がするんだけど?
「俺はなぁ! お前のことがずっと好きだったんだよ! 好きな奴だからちゃんと抱きたいのにお前は俺の動きを封じやがって!!」
「は?」
「は? じゃねぇよッ! 俺はずっと我慢してたんだぞッ! お前、男が好きだなんて一言も言ったことねぇじゃねぇかッ! それどころか女にモテる俺を羨ましいとかなんとかほざきやがって! だから俺はお前は女が好きなんだって思ってたんだぞこの野郎!」
俺は女好きなクロードに、クロードのことを好きだとバレたらまずいと思って確かにそう言っていた。『お前ばっかりモテていいよな、俺だって可愛い女の子といちゃいちゃしてぇ』って。
「だ、だけど! クロードだって声かけてきた女の子といっぱいヤラシイことしてたじゃないか! 俺は男だぞ!?」
俺のこと抱きたいとか好きだとか言ってるけど、お前は女の子といっぱいえっちなことしてたじゃないか! そんなこと言われても信じられるわけないだろ!?
「俺の止まらない性欲発散の為に使ってただけだ! 本当は女じゃなくてお前を抱きたかったんだよ! わかれよバカ!」
「はぁ!? そんなのわかるわけないだろ!? なんでちゃんと言ってくれないんだよ!?」
「お前だって言わなかったじゃねぇか!!」
なんだこれ。俺、一体何のためにあんなことしてこんな所まで来たんだ? クロードが言ってることが本当なら、俺は無駄な事しかしてないじゃないか!
「お前がいなくなって俺がどれだけ心配したと思ってる。勝手に早まって死んでるんじゃないかって、どれだけ怖かったと思ってる……」
「クロード……」
クロードは俺の胸倉を掴んでいた手を放し、包み込むように抱きしめた。その体は震えていて俺はどうしていいかわからなくなる。
「お前があの街を出てどこかに行ったんだってわかったけど、目撃者もいなくてどこにいったのかわからなかった。でもお前は一度、この夜光花を一緒に見たいって言ってたよな? だからもしかしたらここにいるんじゃないかって必死に追いかけて来た」
「……」
「お前らしき奴を見たって話を聞いて、絶対にここにいるって信じて俺は来たんだ。よかったっ……生きてたっ……!」
「クロード……」
クロードはとうとう泣き出してしまった。こいつが泣くなんて初めてで、俺が生きてることに心から安堵してるってそれだけで痛いほどに伝わってくる。こいつがここまで俺を想ってくれたことが嬉しくて、俺もぼろぼろと涙が零れてきた。
「クロードッ……ごめんっ、本当に、ごめん! 俺、クロードのこと好きだったんだっ……だけどそれを言ったら嫌われるって、思っててっ……どうせ死ぬなら最後に思い出が、欲しくってっ……! だから、だからっ……!」
「馬鹿野郎! もう絶対隠し事すんな! 俺をここまで心配させるのも、この先は絶対に許さねぇからな!」
それから大の男が二人して抱きしめ合いながらわんわん泣いた。生きててよかった、会えてよかった。泣きながらそう言って、また泣いて。
泣くだけ泣いたら気持ちも落ち着いて心もすっきりした。こんなに泣いたのはたぶん子供の時以来だ。俺の体の中にたまっていたいろんなものが流れていったようで、目は腫れてるし泣き疲れてしんどいけど清々しい気持ちでいっぱいだった。
「もう俺から逃げんなよ」
「うん。クロードが嫌がるまでずっと一緒にいる」
「お前と何年一緒にいると思ってんだ。嫌になんてならねぇよ」
「んっ……」
クロードは泣きはらした顔でにやっと笑うと俺に深く激しいキスをした。あの無理矢理襲った夜は軽いキスしかしていない。クロードからこんな情熱的なキスをしてもらえるなんて夢みたいだ。
夜光花に囲まれたこんな幻想的な場所で、好きで好きで仕方なかったクロードにキスをしてもらえる。あり得ないことばっかりで、夢の中にいるんじゃないかと錯覚する。
クロードの舌が俺の舌に絡みつく。こんな風にキスをしたかった。それが今叶っている。息が苦しくなるほど何度も深く口づけし、俺も舌を絡めて気持ちを伝えた。
クロードはキスをしたまま俺達に浄化の魔法をかける。そしてそのまま俺の体に手を這わせていろんなところを触ってきた。触られたところが熱くなる。こうやって触ってもらえることが嬉しくて堪らない。
「お前は動くなよ。あの夜の仕返しだ」
クロードは俺の服を全部脱がせると、もうギンギンにそそり立った俺のイチモツをその大きな口で包み込んだ。
「死ぬわけねぇだろ。今だってぴんぴんしてんじゃねぇか」
「え!? 俺死なないの!?」
マジかよ! もうすぐ死ぬって思ったから、俺はクロードに媚薬と痺れ薬を仕込んであんなことやったんだぞ!? ってことは今、俺は絶体絶命真っ只中じゃないか!!
「あ、あのっ……クロード様、本当に申し訳ないことをいたしまして大反省しておりますのでそのお怒りを鎮めていただけると大変嬉しく思うのですがいかがでございましょうか!?」
「あ? 俺にあんな勝手なことしておいて、簡単に許されると思ってんのか?」
ですよね!! だからここまでわざわざ追いかけてきたんですもんね!!
「てめぇ、なんで余命三か月って言われたこと俺に黙ってた? なんで一言も相談しなかった? 俺はお前にとって一体なんなんだ?」
「え……?」
クロードの顔はさっきとは違って苦しそうな表情をしていた。俺の胸倉を掴む力も緩くなっている。
「なんで俺にあんなことをした? 俺が動けないあの時の気持ちを考えたか? お前をちゃんと抱きたいのに何も出来ない俺の情けない気持ちがお前にわかるか?」
「は……? え? ちょ、っと待って……ちゃんと、抱きたい……?」
俺の聞き間違いだろうか。『俺を抱きたい』って言われた気がするんだけど?
「俺はなぁ! お前のことがずっと好きだったんだよ! 好きな奴だからちゃんと抱きたいのにお前は俺の動きを封じやがって!!」
「は?」
「は? じゃねぇよッ! 俺はずっと我慢してたんだぞッ! お前、男が好きだなんて一言も言ったことねぇじゃねぇかッ! それどころか女にモテる俺を羨ましいとかなんとかほざきやがって! だから俺はお前は女が好きなんだって思ってたんだぞこの野郎!」
俺は女好きなクロードに、クロードのことを好きだとバレたらまずいと思って確かにそう言っていた。『お前ばっかりモテていいよな、俺だって可愛い女の子といちゃいちゃしてぇ』って。
「だ、だけど! クロードだって声かけてきた女の子といっぱいヤラシイことしてたじゃないか! 俺は男だぞ!?」
俺のこと抱きたいとか好きだとか言ってるけど、お前は女の子といっぱいえっちなことしてたじゃないか! そんなこと言われても信じられるわけないだろ!?
「俺の止まらない性欲発散の為に使ってただけだ! 本当は女じゃなくてお前を抱きたかったんだよ! わかれよバカ!」
「はぁ!? そんなのわかるわけないだろ!? なんでちゃんと言ってくれないんだよ!?」
「お前だって言わなかったじゃねぇか!!」
なんだこれ。俺、一体何のためにあんなことしてこんな所まで来たんだ? クロードが言ってることが本当なら、俺は無駄な事しかしてないじゃないか!
「お前がいなくなって俺がどれだけ心配したと思ってる。勝手に早まって死んでるんじゃないかって、どれだけ怖かったと思ってる……」
「クロード……」
クロードは俺の胸倉を掴んでいた手を放し、包み込むように抱きしめた。その体は震えていて俺はどうしていいかわからなくなる。
「お前があの街を出てどこかに行ったんだってわかったけど、目撃者もいなくてどこにいったのかわからなかった。でもお前は一度、この夜光花を一緒に見たいって言ってたよな? だからもしかしたらここにいるんじゃないかって必死に追いかけて来た」
「……」
「お前らしき奴を見たって話を聞いて、絶対にここにいるって信じて俺は来たんだ。よかったっ……生きてたっ……!」
「クロード……」
クロードはとうとう泣き出してしまった。こいつが泣くなんて初めてで、俺が生きてることに心から安堵してるってそれだけで痛いほどに伝わってくる。こいつがここまで俺を想ってくれたことが嬉しくて、俺もぼろぼろと涙が零れてきた。
「クロードッ……ごめんっ、本当に、ごめん! 俺、クロードのこと好きだったんだっ……だけどそれを言ったら嫌われるって、思っててっ……どうせ死ぬなら最後に思い出が、欲しくってっ……! だから、だからっ……!」
「馬鹿野郎! もう絶対隠し事すんな! 俺をここまで心配させるのも、この先は絶対に許さねぇからな!」
それから大の男が二人して抱きしめ合いながらわんわん泣いた。生きててよかった、会えてよかった。泣きながらそう言って、また泣いて。
泣くだけ泣いたら気持ちも落ち着いて心もすっきりした。こんなに泣いたのはたぶん子供の時以来だ。俺の体の中にたまっていたいろんなものが流れていったようで、目は腫れてるし泣き疲れてしんどいけど清々しい気持ちでいっぱいだった。
「もう俺から逃げんなよ」
「うん。クロードが嫌がるまでずっと一緒にいる」
「お前と何年一緒にいると思ってんだ。嫌になんてならねぇよ」
「んっ……」
クロードは泣きはらした顔でにやっと笑うと俺に深く激しいキスをした。あの無理矢理襲った夜は軽いキスしかしていない。クロードからこんな情熱的なキスをしてもらえるなんて夢みたいだ。
夜光花に囲まれたこんな幻想的な場所で、好きで好きで仕方なかったクロードにキスをしてもらえる。あり得ないことばっかりで、夢の中にいるんじゃないかと錯覚する。
クロードの舌が俺の舌に絡みつく。こんな風にキスをしたかった。それが今叶っている。息が苦しくなるほど何度も深く口づけし、俺も舌を絡めて気持ちを伝えた。
クロードはキスをしたまま俺達に浄化の魔法をかける。そしてそのまま俺の体に手を這わせていろんなところを触ってきた。触られたところが熱くなる。こうやって触ってもらえることが嬉しくて堪らない。
「お前は動くなよ。あの夜の仕返しだ」
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