【短編集】BLハピエン詰め合わせ

華抹茶

文字の大きさ
77 / 83
続・あなたは僕の憧れの人~聖夜に性夜を~

7.最終話

しおりを挟む
 颯真は抱きしめていた体を離すと、俺の腰を強く掴み抽挿を速めた。パンパンと肌がぶつかる音が大きく響く。それと同時に与えられる快感が強すぎて眩暈がする。
 俺の手は自然とシーツを握り締めていて、強すぎる快感を逃がそうと必死だ。だけどそんなことに意味はなく、ただ体を揺さぶられて翻弄された。これで何度目なのか、また俺はあっという間に絶頂へ昇り詰める。

「いっ、あっ……! イクッ、イクッ……アッーー!」
「ぐっ……!」
 
 今日一番の絶頂を迎え、強い痙攣に襲われる。息も上手く吸えずに口だけがパクパクと動いていた。颯真も一際強く腰を打ち付けるとその動きが止まる。俺の中に吐き出したようで、軽く数回抽挿すると俺の中からずるりと引き抜いた。

「はぁっ、はぁっ……す、凄かった……」

 今までのセックスは手加減されていたのだと思うほど、快感が強く激しいものだった。それが嫌ではなく、むしろここまで気持ちよくなれたことに驚きと感動を覚えている。ストッパーが外れた颯真の本気が凄かった。

「恭介さん、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。めちゃくちゃ疲れたけど。……でも気持ちよすぎて最高だった」
「よかった。僕も、最っ高に気持ちよかったです」

 颯真は俺の隣に体を横たえると、そのままギュッと抱きしめた。俺もその背中に腕を回してしがみ付く。

「ねぇ、恭介さん。今日は本当にどうしたの? こんなエロい下着着たり、僕を煽ったり」
「……だって、颯真の周りは若くて綺麗な子が多いから」
「ん? どういうこと?」

 俺は颯真のキスシーンをドラマで観て強い衝撃を受けたことを話した。それから強い不安感に襲われ、颯真を繋ぎ留めるために今回のことを計画したことも。

「あれは仕事でやったことだってちゃんとわかってる。わかってるのに、どうしても嫌だと思ってしまって……同じ俳優として恥ずかしいよ。ごめん……」
「え? ということは、恭介さんは焼き餅を焼いたってこと、ですよね?」
「……そうだよ。この歳になってこんなに嫉妬深かったなんて初めて知った」
「恭介さん!」
「ぅわっ!?」

 颯真は俺を抱きしめたまま、ぐるんと回転して俺をその体の上へと乗せた。凄い力だ。若いって凄い。

「僕、凄く凄く嬉しいです。……僕も本当は不安だったんです。半ば無理やり体から落としたようなものだから」

 メッセージアプリでの連絡も、デートの約束も、こうしてセックスに誘うのも、基本的には全部颯真からだ。俺がそれに断ったり無視をしたりすることはないが、気持ちを確認し合ったとしても俺からのアクションがあまりなかったことが不安だったそうだ。
 それに対して俺は反省しなければならない。颯真に甘えてばかりだった俺の落ち度だ。

「あ、言っておきますけどそれに不満があったわけじゃないんです。恭介さんが僕を好きになってくれたこともわかってます。でも僕ばっかりが好きで、恭介さんにウザく思われてたらどうしようって……」
「……本当にごめん。自分でも颯真のことをこんなにも好きだったんだって最近になってやっと気が付いたんだ。あのキスシーンを見て、颯真を取られたくないって強く思った」

 でも俺はどうやったっておっさんで、颯真が若くて綺麗な子に気持ちを向ける日が来るかもしれない。そうなったら俺はあまりのショックにどうなるかわからない。だからそうならないよう、俺もちゃんと颯真が好きなんだって伝えたかった。
 
「それがこのエロい下着なわけですか」
「……自分でもやってしまった感はあるけど、あの時はこれしか思いつかなくて」
「もう最高です。僕、もっともっと恭介さんのことが好きになりました」
「よかった……これで引かれたらどうしようって、半ば賭けみたいなものだったから」
「引かないですよ。僕の恭介さんを想う気持ちは、何があっても変わりませんから」

 颯真はにっこり笑って、軽くチュッとキスをする。嬉しくて、俺も颯真の頬にキスを返した。

「ねぇ恭介さん。僕、まだ興奮が冷めてないんです。もう少し付き合ってくれますよね?」
「え……? まだ、ヤレるの?」
「当然です! まだブラに隠れた乳首を舐めてないし、この下着を脱がしたりしないといけないので!」

 若いって凄いな。これが若さか。若いってそれだけで凄い。

「……まぁ明日も休みだしいいけど」
「やった! 僕を煽った責任、ちゃんと取ってくださいね」

 それから俺は長時間、颯真と爛れに爛れまくったクリスマスを過ごすことになった。明日も休みだからいいとか言ったのは俺だが後悔しかしていない。だって颯真がずっと全力でくるとは思わなかったんだ! 最終的に俺は気絶したんだと思う。若さを侮るなかれ。肝に銘じよう。
 とはいえ颯真の気持ちは痛いほどにわかったし、俺もいっぱい気持ちを伝えられたと思う。きっと、今後は颯真のキスシーンを見たとしても前みたいなことにはならないだろう。

 それから颯真とドラマ共演した女優が勘違いして一悶着あったり、颯真が俺のことをいろんな人に話したことで俺にドラマの主演の話がきたり、俺がドラマでキスシーンがあった時に颯真が荒れて大変なことになったり、颯真と一緒にモデルの仕事までしたり、颯真が新たな下着をたくさん購入して俺に着せてきたり、それに対抗してアナルビーズなどの大人なオモチャを俺が用意したら颯真が発狂したり、と忙しい日々が訪れることになる。
 俺達は同性だから結婚は出来ないけれど、家族になりたいと颯真が言ってくれて養子縁組をすることになった。
 体から始まった関係だったが、俺は最高の彼氏と幸せを手に出来たのだ。諦めの悪い性格でよかったと思う。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている

春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」 王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。 冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、 なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。 誰に対しても一切の温情を見せないその男が、 唯一リクにだけは、優しく微笑む―― その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。 孤児の少年が踏み入れたのは、 権謀術数渦巻く宰相の世界と、 その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。 これは、孤独なふたりが出会い、 やがて世界を変えていく、 静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

処理中です...